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2話
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「大きいし、豪華ぁぁ~」
豪邸どころの話じゃない。お城だった。
なんか、こうお姫様が階段からドレスを着て降りてきそうなお城。
日本風のお城ではなく、誰もがイメージするようなヨーロッパ風の真っ白なお城だった。
「はぁ~」
とにかく、周囲をキョロキョロしては、間抜けなため息をつくだけだった。
「さあ、こちらへ。凛夏様」
「あ、はい」
私、初瀬 凛夏の今の状況は、
川で王子を助けたらお城に招かれれてしまった、だ――
桃ではなく王子が流れてきたのは理由があった。
王子だけでなく、乳母も一緒だったけど。
橋が壊れて落ちた。そういうことらしい。
で、乗っていた馬車ごとドボンと、川に落ちた。
マーニャさんという乳母の人が、王子の寝ていた寝台を救い上げ、バシャバシャやっていた。
そこに、海で溺死したはずの私が遭遇して、助けてあげた。
一緒に川に落っこちた他の家来さんたちは、自分たちが溺れないようにするのが精一杯だったらしい。
で、陸に上がった彼らと合流して、私は大感謝された。
なんせ、王子の命の恩人なのだから。
よく、分からないけど、こんな感じだ。
そして、城に招かれて今に至る――
(ここは、死後の世界なのかなぁ…… でも、これ……)
今まで死んだ経験もないので、死んだという実感もない。
しかも、日本人の私が死後にファンタジーっぽい、ヨーロッパ中世風のお城のある世界に来るというのも変な感じだし。いまひとつ、納得はできない。で、頭の中は「?」しかない。
(そもそも本当に私は死んだの?)
と、根本的な部分も疑問を抱くわけだけども、考えても正解がでるわけではない。
一方で、頭の中には――
(ここは、もしかして異世界とか? 異世界転移とか? アニメとかラノベみたいに)
と、いう考えも浮かんでくる。
結局のところ、安易だけどそんな考えが面倒くさくないというか、納得出来そうな気がした。
まあ、納得してもしなくても、私の現状が変わるわけではないんだけど。
とにかく、問題はこれから、どうするかだ。
不思議に不安はそんなに無いというか、どうにかなるんじゃないかという思いがあったりする。
私は、騎士なのか剣士なのか兵隊なのか良く分からないいかつい男たちが並ぶ通路を歩く。
とにかく、今は状況の流れに身を任すしか方法はなかった。
◇◇◇◇◇◇
見た瞬間、息を飲むという感じの部屋。大広間?
そこで、王様と、家来の中の偉い人に会った。
お礼を言われて、金貨をいっぱいもらった。
私は調子に乗って「すいません。お仕事があれば欲しいのですが――」とお願いしてみた。
一回溺れ死んでしまったせいか、まだこの事態に対し現実感が希薄で、怖いとか畏れとかの感情が薄かったせいかもしれない。
開き直っているとか、腹が据わったとかとは、ちょっと違う感覚だけど、私の行動そのものはそんな感じだった。
「そうか。では―― ちょうど第四王子、リロイ殿下の女官に欠員がいただろう」と、偉い家来の人が言った。
「はい」って感じで乳母のマーニャさんが答える。
こんな感じで私はあっさりと、王子お付の女官、つまりメイドみたいなものになった。
身辺調査とかしないのかな――と、思ったけど、もし王子の命を狙うような者なら王子を助けることなどしないだろうと判断したのかもしれない。
また、後で分かったことだけど、第四王子という王子としては低い地位にいるということも理由だったかもしれない。
まあ、そんなことはどうでもいい。
とにかく、私は第四王子リロイ殿下の、お付の女官になった。
とりあえず、この異世界で生きていく(?)ことができそうだった。
豪邸どころの話じゃない。お城だった。
なんか、こうお姫様が階段からドレスを着て降りてきそうなお城。
日本風のお城ではなく、誰もがイメージするようなヨーロッパ風の真っ白なお城だった。
「はぁ~」
とにかく、周囲をキョロキョロしては、間抜けなため息をつくだけだった。
「さあ、こちらへ。凛夏様」
「あ、はい」
私、初瀬 凛夏の今の状況は、
川で王子を助けたらお城に招かれれてしまった、だ――
桃ではなく王子が流れてきたのは理由があった。
王子だけでなく、乳母も一緒だったけど。
橋が壊れて落ちた。そういうことらしい。
で、乗っていた馬車ごとドボンと、川に落ちた。
マーニャさんという乳母の人が、王子の寝ていた寝台を救い上げ、バシャバシャやっていた。
そこに、海で溺死したはずの私が遭遇して、助けてあげた。
一緒に川に落っこちた他の家来さんたちは、自分たちが溺れないようにするのが精一杯だったらしい。
で、陸に上がった彼らと合流して、私は大感謝された。
なんせ、王子の命の恩人なのだから。
よく、分からないけど、こんな感じだ。
そして、城に招かれて今に至る――
(ここは、死後の世界なのかなぁ…… でも、これ……)
今まで死んだ経験もないので、死んだという実感もない。
しかも、日本人の私が死後にファンタジーっぽい、ヨーロッパ中世風のお城のある世界に来るというのも変な感じだし。いまひとつ、納得はできない。で、頭の中は「?」しかない。
(そもそも本当に私は死んだの?)
と、根本的な部分も疑問を抱くわけだけども、考えても正解がでるわけではない。
一方で、頭の中には――
(ここは、もしかして異世界とか? 異世界転移とか? アニメとかラノベみたいに)
と、いう考えも浮かんでくる。
結局のところ、安易だけどそんな考えが面倒くさくないというか、納得出来そうな気がした。
まあ、納得してもしなくても、私の現状が変わるわけではないんだけど。
とにかく、問題はこれから、どうするかだ。
不思議に不安はそんなに無いというか、どうにかなるんじゃないかという思いがあったりする。
私は、騎士なのか剣士なのか兵隊なのか良く分からないいかつい男たちが並ぶ通路を歩く。
とにかく、今は状況の流れに身を任すしか方法はなかった。
◇◇◇◇◇◇
見た瞬間、息を飲むという感じの部屋。大広間?
そこで、王様と、家来の中の偉い人に会った。
お礼を言われて、金貨をいっぱいもらった。
私は調子に乗って「すいません。お仕事があれば欲しいのですが――」とお願いしてみた。
一回溺れ死んでしまったせいか、まだこの事態に対し現実感が希薄で、怖いとか畏れとかの感情が薄かったせいかもしれない。
開き直っているとか、腹が据わったとかとは、ちょっと違う感覚だけど、私の行動そのものはそんな感じだった。
「そうか。では―― ちょうど第四王子、リロイ殿下の女官に欠員がいただろう」と、偉い家来の人が言った。
「はい」って感じで乳母のマーニャさんが答える。
こんな感じで私はあっさりと、王子お付の女官、つまりメイドみたいなものになった。
身辺調査とかしないのかな――と、思ったけど、もし王子の命を狙うような者なら王子を助けることなどしないだろうと判断したのかもしれない。
また、後で分かったことだけど、第四王子という王子としては低い地位にいるということも理由だったかもしれない。
まあ、そんなことはどうでもいい。
とにかく、私は第四王子リロイ殿下の、お付の女官になった。
とりあえず、この異世界で生きていく(?)ことができそうだった。
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