我が忠義を、あなたに ー 命の恩人が前世で読んだ漫画で厄災の使者として討伐されるキャラクターみたいなので、彼の悲惨な運命を回避したい ー

Leon

文字の大きさ
14 / 16

第14話 こう見えてダウナー系

しおりを挟む
ルアンが医者を紹介するということで話がまとまったところで、二人は一度椅子に腰を落ち着けた。
気づけば、もう日付が変わろうという頃だった。アルトゥールをこの部屋に連れてきたころにカーテンの隙間から滲んでいた夕日は、もう宵闇に変わっていた。

「ところで、その医者はすぐに見つかるものなのですか?」

何だかどっと疲れたなとルアンが伸びをしていると、ローデリックがそう問いかけてきた。
ルアンは、んー、と腕を組む。

「いや、一応王都に診療所はあるんですが、ほとんどそこにいない人で。紹介するとは言いましたが、そもそも居場所を探すところから始めないといけないですね。まあ酒場をしらみつぶしに周れば見つかると思いますけど」

ローデリックがあからさまに眉をひそめた。

「頼んでおいて何ですが、大丈夫なんですかその医者」
「ははは、本当に腕はいいんですよ。何せ、毎度毎度連れ込まれるのは重症の患者ですから」
「ならいいんですが・・・あなたも世話になったことがあるんですか?」
「ありますよ、何度か。まあ、そのたびにグダグダ絡んできてちょっとうざかったんですよねえ」

ルアンは、初めてその医者の診療所に訪れた時のことに思いをはせる。
あの時は確か、暗殺業を始めて数回目の任務が終わった時だった。
慣れがあだとなって、右わき腹に大きな傷を負わされたのだ。
自分で手当てできていると思っていたが、傷口から菌が入ったようで高熱を出し、組織の上司から診療所に担ぎ込まれたのだった。

「実はあなたの事を気にかけてくれていたのかもしれませんね」

ローデリックが笑いながらそんなことを宣う。
ルアンは思わず嫌な顔をした。

あくる朝。
ルアンは、王都の通りに立っていた。
朝市の活気とは裏腹に、一人頭を抱える。

「全く見つからない・・・」

シュヴァルツ伯爵邸と王都の距離は近く、乗合馬車に乗ればすぐである。その為、ルアンは早朝から医者を探しに出ていた。

今は、医者が診療所に不在だったためあちこち探し回っているところである。どこにいるか分からないとはいえ、ある程度酒場にあたりはつけていたのに全く見つからない。急がないと、そろそろ日も登りきってしまう。

道のど真ん中で立ち尽くすルアンを、人々は冷めた目で見てよけていく。ルアンは悪態をつきながらそばの路地へと入った。
ふと、路地の奥の方に看板が立っていることに気が付く。
酒場というより、バーのような雰囲気である。
巨大な一枚板で作られた無骨なドアが特徴的な店構えで、軒先で小さなランタンが揺れていた。

「ここにいるとは思えないけどなあ。まあ入ってみるか・・・」

子どもが開けるには少し重いドアを、身体全体で押すようにして開ける。
真っ先に目に飛び込んできたのは、バーにふさわしい重厚なカウンター。それと、

「嘘だろ・・・マジでいたよ」
「え、うっそお。ニハ君じゃーん。生きてたんだあー。やっほー」

昼間っからブランデーのグラスを傾ける、真っ赤なボブの髪が特徴的な女医であった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー
短いですが、キリがいいのでここまでにします
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

気づいたら美少女ゲーの悪役令息に転生していたのでサブヒロインを救うのに人生を賭けることにした

高坂ナツキ
ファンタジー
衝撃を受けた途端、俺は美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生していた!? これは、自分が制作にかかわっていた美少女ゲームの中ボス悪役令息に転生した主人公が、報われないサブヒロインを救うために人生を賭ける話。 日常あり、恋愛あり、ダンジョンあり、戦闘あり、料理ありの何でもありの話となっています。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

【短編】子猫をもふもふしませんか?〜転生したら、子猫でした。私が国を救う!

碧井 汐桜香
ファンタジー
子猫の私は、おかあさんと兄弟たちと“かいぬし”に怯えながら、過ごしている。ところが、「柄が悪い」という理由で捨てられ、絶体絶命の大ピンチ。そんなときに、陛下と呼ばれる人間たちに助けられた。連れていかれた先は、王城だった!? 「伝わって! よく見てこれ! 後ろから攻められたら終わるでしょ!?」前世の知識を使って、私は国を救う。 そんなとき、“かいぬし”が猫グッズを売りにきた。絶対に許さないにゃ! 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。

処理中です...