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第14話 こう見えてダウナー系
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ルアンが医者を紹介するということで話がまとまったところで、二人は一度椅子に腰を落ち着けた。
気づけば、もう日付が変わろうという頃だった。アルトゥールをこの部屋に連れてきたころにカーテンの隙間から滲んでいた夕日は、もう宵闇に変わっていた。
「ところで、その医者はすぐに見つかるものなのですか?」
何だかどっと疲れたなとルアンが伸びをしていると、ローデリックがそう問いかけてきた。
ルアンは、んー、と腕を組む。
「いや、一応王都に診療所はあるんですが、ほとんどそこにいない人で。紹介するとは言いましたが、そもそも居場所を探すところから始めないといけないですね。まあ酒場をしらみつぶしに周れば見つかると思いますけど」
ローデリックがあからさまに眉をひそめた。
「頼んでおいて何ですが、大丈夫なんですかその医者」
「ははは、本当に腕はいいんですよ。何せ、毎度毎度連れ込まれるのは重症の患者ですから」
「ならいいんですが・・・あなたも世話になったことがあるんですか?」
「ありますよ、何度か。まあ、そのたびにグダグダ絡んできてちょっとうざかったんですよねえ」
ルアンは、初めてその医者の診療所に訪れた時のことに思いをはせる。
あの時は確か、暗殺業を始めて数回目の任務が終わった時だった。
慣れがあだとなって、右わき腹に大きな傷を負わされたのだ。
自分で手当てできていると思っていたが、傷口から菌が入ったようで高熱を出し、組織の上司から診療所に担ぎ込まれたのだった。
「実はあなたの事を気にかけてくれていたのかもしれませんね」
ローデリックが笑いながらそんなことを宣う。
ルアンは思わず嫌な顔をした。
あくる朝。
ルアンは、王都の通りに立っていた。
朝市の活気とは裏腹に、一人頭を抱える。
「全く見つからない・・・」
シュヴァルツ伯爵邸と王都の距離は近く、乗合馬車に乗ればすぐである。その為、ルアンは早朝から医者を探しに出ていた。
今は、医者が診療所に不在だったためあちこち探し回っているところである。どこにいるか分からないとはいえ、ある程度酒場にあたりはつけていたのに全く見つからない。急がないと、そろそろ日も登りきってしまう。
道のど真ん中で立ち尽くすルアンを、人々は冷めた目で見てよけていく。ルアンは悪態をつきながらそばの路地へと入った。
ふと、路地の奥の方に看板が立っていることに気が付く。
酒場というより、バーのような雰囲気である。
巨大な一枚板で作られた無骨なドアが特徴的な店構えで、軒先で小さなランタンが揺れていた。
「ここにいるとは思えないけどなあ。まあ入ってみるか・・・」
子どもが開けるには少し重いドアを、身体全体で押すようにして開ける。
真っ先に目に飛び込んできたのは、バーにふさわしい重厚なカウンター。それと、
「嘘だろ・・・マジでいたよ」
「え、うっそお。ニハ君じゃーん。生きてたんだあー。やっほー」
昼間っからブランデーのグラスを傾ける、真っ赤なボブの髪が特徴的な女医であった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
短いですが、キリがいいのでここまでにします
気づけば、もう日付が変わろうという頃だった。アルトゥールをこの部屋に連れてきたころにカーテンの隙間から滲んでいた夕日は、もう宵闇に変わっていた。
「ところで、その医者はすぐに見つかるものなのですか?」
何だかどっと疲れたなとルアンが伸びをしていると、ローデリックがそう問いかけてきた。
ルアンは、んー、と腕を組む。
「いや、一応王都に診療所はあるんですが、ほとんどそこにいない人で。紹介するとは言いましたが、そもそも居場所を探すところから始めないといけないですね。まあ酒場をしらみつぶしに周れば見つかると思いますけど」
ローデリックがあからさまに眉をひそめた。
「頼んでおいて何ですが、大丈夫なんですかその医者」
「ははは、本当に腕はいいんですよ。何せ、毎度毎度連れ込まれるのは重症の患者ですから」
「ならいいんですが・・・あなたも世話になったことがあるんですか?」
「ありますよ、何度か。まあ、そのたびにグダグダ絡んできてちょっとうざかったんですよねえ」
ルアンは、初めてその医者の診療所に訪れた時のことに思いをはせる。
あの時は確か、暗殺業を始めて数回目の任務が終わった時だった。
慣れがあだとなって、右わき腹に大きな傷を負わされたのだ。
自分で手当てできていると思っていたが、傷口から菌が入ったようで高熱を出し、組織の上司から診療所に担ぎ込まれたのだった。
「実はあなたの事を気にかけてくれていたのかもしれませんね」
ローデリックが笑いながらそんなことを宣う。
ルアンは思わず嫌な顔をした。
あくる朝。
ルアンは、王都の通りに立っていた。
朝市の活気とは裏腹に、一人頭を抱える。
「全く見つからない・・・」
シュヴァルツ伯爵邸と王都の距離は近く、乗合馬車に乗ればすぐである。その為、ルアンは早朝から医者を探しに出ていた。
今は、医者が診療所に不在だったためあちこち探し回っているところである。どこにいるか分からないとはいえ、ある程度酒場にあたりはつけていたのに全く見つからない。急がないと、そろそろ日も登りきってしまう。
道のど真ん中で立ち尽くすルアンを、人々は冷めた目で見てよけていく。ルアンは悪態をつきながらそばの路地へと入った。
ふと、路地の奥の方に看板が立っていることに気が付く。
酒場というより、バーのような雰囲気である。
巨大な一枚板で作られた無骨なドアが特徴的な店構えで、軒先で小さなランタンが揺れていた。
「ここにいるとは思えないけどなあ。まあ入ってみるか・・・」
子どもが開けるには少し重いドアを、身体全体で押すようにして開ける。
真っ先に目に飛び込んできたのは、バーにふさわしい重厚なカウンター。それと、
「嘘だろ・・・マジでいたよ」
「え、うっそお。ニハ君じゃーん。生きてたんだあー。やっほー」
昼間っからブランデーのグラスを傾ける、真っ赤なボブの髪が特徴的な女医であった。
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短いですが、キリがいいのでここまでにします
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