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第一章-すれ違い-

-part2-幼馴染と登校

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 部屋を出て、学校へと向かう途中。

 「紘一。おっはよう」

 後ろから声をかけられた。

 「おはよう、奈菜」

 声をかけて来たのは、斎藤さいとう 奈菜なな
 奈菜とは、幼少期からの知り合いで、いわゆる幼馴染って奴だ。

 「なんで、わざわざこっちにまで、来てるんだ?」
 
 奈菜の家は俺の実家のすぐ近く。
 実家の方が学校の近くにあるのに、奈菜がいるという事は、わざわざ遠回りをして登校しているという事になる。

 「ひどい。せっかく、幼馴染が知らな
 「俺は幼い子供か?!」
い人に連れていけれないように見に来てあげたのに」

 ツッコミを入れると「ふふ」と笑う、奈菜。
 それにしても、ここ最近は毎日のように登校中に声をかけてくる。
 俺に気が・・・・ある訳ないか。
 また、その気だと思って告白し、痛い目に合うのは嫌だ。
 俺は一度、奈菜に気があると思って、ラブレターを送った事がある。
 結果は、残念。
 ラブレターの返事に書かれた手紙には「付き合うのは、無理だけど。これからも幼馴染として、いい友達でいよう」と書かれていた。

 「なぁ。奈菜。俺の他に友達いないのか?」

 「いるよ!てか、同じクラスなんだから、知ってるでしょ」

 「だよな。じゃあ、なんで友達と登校しないんだ?」

 「えっ!・・・そ、それは・・・こ、紘一と・・・」

 「あっ。奈菜ちゃん。おはよう」
 
 奈菜と話している途中に、同じクラスの女子が話に割って入ってきた。

 「今朝の占い見た?今日、奈菜ちゃんの星座が一位だったよ」

 「お、おはよう。そうなんだ・・・」

 「それでさ・・・」

 「おい。もう少し、ゆっくりしゃべってやれ」

 奈菜が勢いに付いていけてないのを察して、女子に注意した。

 「あっ。ごめん」

 「うんうん。いいよ。ごめね。私、ちょっとテンパっちゃって」

 そこから、女子は奈菜に合わせるように会話をして、奈菜も笑顔でおしゃべりをしていた。これ以上、口を出すこともないだろうと思い、俺は先に学校へと向かった。
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