1 / 1
凍てつく夜も、暖かい夜も
しおりを挟む
大学からの帰り道、君へメールを送るかどうか迷っている。昨日も同じような事を考えていた。でも、勇気が出なくてメールを送ることは出来なかった。情け無い。ただ情け無い。
君と僕が出会ったのは、大学のテニスサークルだった。初めて君を見たとき、美しいと感じた。この時は、何の下心もなく、ただ純粋に美しいと感じた。恐らく、僕の子供のような無邪気な部分が反応したためだろう。そして君への恋愛感情が芽生えるのは、それからすぐだった。君と会話をしているうちに、君の魅力の虜になってしまった。物事をはっきりと言う性格。この部分は、僕が今まで出会った女の子にはあまり無かった特徴だったので、かなり印象が良かった。そして、一番魅力的だと思った部分。それは言葉で表現するのは、とても難しい。だが、頑張って言葉に表してみようと思う。太陽と言ったら少し違うのだが、彼女には光り輝くものがあった。瞳が純粋な美しさを持っていたと言えばいいのだろうか。街を歩いていて、すれ違う人々とは全く異なるオーラを放っていた。だめだ。上手に表現できない。とにかく、彼女のそんな魅力的なところが大好きだ。しかし、この想いを彼女に素直に伝えられるような僕ではない。
僕は恋愛というものを知らない。大学三回生になった今迄、僕は恋愛未経験で生きてきた。もちろん、彼女が欲しく無かった訳ではないのだが、昔からの恥ずかしがり屋という性格のため、様々な恋心が時間の経過とともに、叶わぬ夢となり、儚く散っていった。だが、その恋心は桜が散るように綺麗に散っていった訳ではない。全ての恋心が後悔というものを残していった。それはそれは辛いものだった。枕を濡らした夜も、幾つかあったと記憶している。そして今回、彼女を好きになった。僕は彼女に想いを伝えようと思った。もちろん、簡単にはいかない。何しろ全てが初めてだからだ。何をすれば良いのかさえ、分からず、ただ時間が足早に走り去っていく。僕は追いかける。走り去る時間に負けないように。でも、いつもあと少しで届きそうなところで、石につまづいてしまう。そして、その痛みに泣いてしまう。傷口は小さくない。血が溢れるように噴き出してくる。真っ赤な海が見えている。そして僕の意識は少しずつ消えていく。
今日、彼女にメールを送った。遂に送ってしまった。まずは一言、
「明日の授業終わりって、空いてたりするかな?」
それに対する彼女返信は、
「人違いじゃない?」あまりにも冷たい。傷口さえも凍ってしまうほどだ。拒絶された訳ではないのだが、僕は少なからずショックをうける。次にどういう返信をすればいいんだろう。一度、冷静になるためにシャワーを浴びる。水は僕の迷いを少しずつ流してくれたみたいだった。
「人違いなんかじゃないよ、空いてたりするかな?」
「普通に用事あるんだけど」何という冷たい返信。シャワーを浴びて温まったはずの僕の身体は、すぐに凍ってしまった。何か大事なものが凍ってしまうのが、自分でも理解できた。もう無理だ。
「オッケー、ありがとうね。」文面だけを見れば、大した用事ではないかのように見せておく。あぁ、辛い。青春の一枚に恋を書き記すことは、どうやら叶いそうにない。僕には恋愛など、向いていないのだろう。もういいんだ。今日は早く寝よう。そして夢の中で君に別れを告げよう。
君が部屋に入って来る。僕は手足を動かすことはできない。目で君を追う。君は少しずつ僕に近づいてくる。足音を立てないように、ゆっくりと。ゆっくりと。君は僕の布団をめくる。そして数十秒動きを止める。何を考えているんだろうか。僕には理解できない。君は僕の隣に座り込む。そして僕のパジャマの下を、ゆっくりと下ろしていく。声を出したい。だが、声は出ない。君は僕のパンツにも手をかける。焦らすようにゆっくりとゆっくりと僕のパンツを下ろしていく。そして僕のペニスを両手で包み込む。君の手の温もりを感じる。君はそのまま、また数十秒動きを止める。温かい。そして心地良い。まるで、ペニスだけを温泉に入れているように温かい。僕はペニスが勃起していくのを感じる。恥ずかしい。でも君は何も反応しない。そして両手でペニスを包み込んまま、上下に運動させていく。どんどん勃起していく。僕にはそれを止めることは出来ない。君は少し笑顔を見せる。その笑顔を見た途端、ペニスが一気に膨張し、爆発を起こしそうになる。僕は目で君に、止めてと訴えかける。でも君は微笑を浮かべたまま、首を左右に振り、運動を止めない。そして僕のペニスは我慢の限界とともに、爆発を起こす。それは今までに経験したことのない程の快楽だった。爆発は一回では止まらず、立て続けに数回起きる。君は笑顔を浮かべている。そして何も言い残すことなく、蜃気楼のように、ふわっと消えていく。僕は君ともう少し、時間をともにしたいと思う。でも、身体は動くことなく、目で君を見送ってしまう。どっと汗が噴き出す。
電話が鳴る音で目を醒ます。額の汗を拭い、電話に出る。テニスサークルの友人の俊からだった。
「なんだよ、こんな早くに」と、冗談を話すような口調で俊に問いかける。しかし俊からは、言葉がない。
「おい、俊、なんかのドッキリか?」と、もう一度、俊に先ほどと同じような口調で話しかける。
「実は…」俊が、かなり重たい口調で口を開く。
「奈津美が亡くなった…」
僕は一分ほど、沈黙する。俊の言葉の意味が分からなかった。頭をフル回転させて、理解しようとする。
「奈津美ってテニスサークルの奈津美?」
「馬鹿、それ以外どの奈津美がいるんだよ。」やっぱり僕の頭で考えて出した結論と、残念ながら合っていたようだった。
「でも奈津美は夜中に…」と言いかけた。だが、うまく話せない。目の前が潤んでくる。そんなのおかしいよ。だって、奈津美は夜中に僕の部屋に来たはずなのに。僕に笑顔を見せてくれたのに。一旦、電話を切り、トイレに向かう。トイレが凄く遠く感じられた。トイレに着き、座り込む。なんだか、パンツが濡れていて気持ち悪い。そして冷たい。傷口が大きく開いていくのが分かる。血が噴き出す。目の前が真っ暗になる。ここは何処だろう。僕は知らない真っ暗な部屋に閉じ込められてしまったみたいだ。そして真っ暗な部屋に冷気が入り込む。寒い。僕は身体が凍っていくのを感じる。
君と僕が出会ったのは、大学のテニスサークルだった。初めて君を見たとき、美しいと感じた。この時は、何の下心もなく、ただ純粋に美しいと感じた。恐らく、僕の子供のような無邪気な部分が反応したためだろう。そして君への恋愛感情が芽生えるのは、それからすぐだった。君と会話をしているうちに、君の魅力の虜になってしまった。物事をはっきりと言う性格。この部分は、僕が今まで出会った女の子にはあまり無かった特徴だったので、かなり印象が良かった。そして、一番魅力的だと思った部分。それは言葉で表現するのは、とても難しい。だが、頑張って言葉に表してみようと思う。太陽と言ったら少し違うのだが、彼女には光り輝くものがあった。瞳が純粋な美しさを持っていたと言えばいいのだろうか。街を歩いていて、すれ違う人々とは全く異なるオーラを放っていた。だめだ。上手に表現できない。とにかく、彼女のそんな魅力的なところが大好きだ。しかし、この想いを彼女に素直に伝えられるような僕ではない。
僕は恋愛というものを知らない。大学三回生になった今迄、僕は恋愛未経験で生きてきた。もちろん、彼女が欲しく無かった訳ではないのだが、昔からの恥ずかしがり屋という性格のため、様々な恋心が時間の経過とともに、叶わぬ夢となり、儚く散っていった。だが、その恋心は桜が散るように綺麗に散っていった訳ではない。全ての恋心が後悔というものを残していった。それはそれは辛いものだった。枕を濡らした夜も、幾つかあったと記憶している。そして今回、彼女を好きになった。僕は彼女に想いを伝えようと思った。もちろん、簡単にはいかない。何しろ全てが初めてだからだ。何をすれば良いのかさえ、分からず、ただ時間が足早に走り去っていく。僕は追いかける。走り去る時間に負けないように。でも、いつもあと少しで届きそうなところで、石につまづいてしまう。そして、その痛みに泣いてしまう。傷口は小さくない。血が溢れるように噴き出してくる。真っ赤な海が見えている。そして僕の意識は少しずつ消えていく。
今日、彼女にメールを送った。遂に送ってしまった。まずは一言、
「明日の授業終わりって、空いてたりするかな?」
それに対する彼女返信は、
「人違いじゃない?」あまりにも冷たい。傷口さえも凍ってしまうほどだ。拒絶された訳ではないのだが、僕は少なからずショックをうける。次にどういう返信をすればいいんだろう。一度、冷静になるためにシャワーを浴びる。水は僕の迷いを少しずつ流してくれたみたいだった。
「人違いなんかじゃないよ、空いてたりするかな?」
「普通に用事あるんだけど」何という冷たい返信。シャワーを浴びて温まったはずの僕の身体は、すぐに凍ってしまった。何か大事なものが凍ってしまうのが、自分でも理解できた。もう無理だ。
「オッケー、ありがとうね。」文面だけを見れば、大した用事ではないかのように見せておく。あぁ、辛い。青春の一枚に恋を書き記すことは、どうやら叶いそうにない。僕には恋愛など、向いていないのだろう。もういいんだ。今日は早く寝よう。そして夢の中で君に別れを告げよう。
君が部屋に入って来る。僕は手足を動かすことはできない。目で君を追う。君は少しずつ僕に近づいてくる。足音を立てないように、ゆっくりと。ゆっくりと。君は僕の布団をめくる。そして数十秒動きを止める。何を考えているんだろうか。僕には理解できない。君は僕の隣に座り込む。そして僕のパジャマの下を、ゆっくりと下ろしていく。声を出したい。だが、声は出ない。君は僕のパンツにも手をかける。焦らすようにゆっくりとゆっくりと僕のパンツを下ろしていく。そして僕のペニスを両手で包み込む。君の手の温もりを感じる。君はそのまま、また数十秒動きを止める。温かい。そして心地良い。まるで、ペニスだけを温泉に入れているように温かい。僕はペニスが勃起していくのを感じる。恥ずかしい。でも君は何も反応しない。そして両手でペニスを包み込んまま、上下に運動させていく。どんどん勃起していく。僕にはそれを止めることは出来ない。君は少し笑顔を見せる。その笑顔を見た途端、ペニスが一気に膨張し、爆発を起こしそうになる。僕は目で君に、止めてと訴えかける。でも君は微笑を浮かべたまま、首を左右に振り、運動を止めない。そして僕のペニスは我慢の限界とともに、爆発を起こす。それは今までに経験したことのない程の快楽だった。爆発は一回では止まらず、立て続けに数回起きる。君は笑顔を浮かべている。そして何も言い残すことなく、蜃気楼のように、ふわっと消えていく。僕は君ともう少し、時間をともにしたいと思う。でも、身体は動くことなく、目で君を見送ってしまう。どっと汗が噴き出す。
電話が鳴る音で目を醒ます。額の汗を拭い、電話に出る。テニスサークルの友人の俊からだった。
「なんだよ、こんな早くに」と、冗談を話すような口調で俊に問いかける。しかし俊からは、言葉がない。
「おい、俊、なんかのドッキリか?」と、もう一度、俊に先ほどと同じような口調で話しかける。
「実は…」俊が、かなり重たい口調で口を開く。
「奈津美が亡くなった…」
僕は一分ほど、沈黙する。俊の言葉の意味が分からなかった。頭をフル回転させて、理解しようとする。
「奈津美ってテニスサークルの奈津美?」
「馬鹿、それ以外どの奈津美がいるんだよ。」やっぱり僕の頭で考えて出した結論と、残念ながら合っていたようだった。
「でも奈津美は夜中に…」と言いかけた。だが、うまく話せない。目の前が潤んでくる。そんなのおかしいよ。だって、奈津美は夜中に僕の部屋に来たはずなのに。僕に笑顔を見せてくれたのに。一旦、電話を切り、トイレに向かう。トイレが凄く遠く感じられた。トイレに着き、座り込む。なんだか、パンツが濡れていて気持ち悪い。そして冷たい。傷口が大きく開いていくのが分かる。血が噴き出す。目の前が真っ暗になる。ここは何処だろう。僕は知らない真っ暗な部屋に閉じ込められてしまったみたいだ。そして真っ暗な部屋に冷気が入り込む。寒い。僕は身体が凍っていくのを感じる。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
包帯妻の素顔は。
サイコちゃん
恋愛
顔を包帯でぐるぐる巻きにした妻アデラインは夫ベイジルから離縁を突きつける手紙を受け取る。手柄を立てた夫は戦地で出会った聖女見習いのミアと結婚したいらしく、妻の悪評をでっち上げて離縁を突きつけたのだ。一方、アデラインは離縁を受け入れて、包帯を取って見せた。
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
強面夫の裏の顔は妻以外には見せられません!
ましろ
恋愛
「誰がこんなことをしろと言った?」
それは夫のいる騎士団へ差し入れを届けに行った私への彼からの冷たい言葉。
挙げ句の果てに、
「用が済んだなら早く帰れっ!」
と追い返されてしまいました。
そして夜、屋敷に戻って来た夫は───
✻ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
婚約破棄したら食べられました(物理)
かぜかおる
恋愛
人族のリサは竜種のアレンに出会った時からいい匂いがするから食べたいと言われ続けている。
婚約者もいるから無理と言い続けるも、アレンもしつこく食べたいと言ってくる。
そんな日々が日常と化していたある日
リサは婚約者から婚約破棄を突きつけられる
グロは無し
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる