乙女ゲームで唯一悲惨な過去を持つモブ令嬢に転生しました

何この鎧を着た人の集団は!?（心の叫び）

　イーサン商会が管轄している森の中を約100人程の鎧を着た人が馬に乗りながら旋回している…2日前から
　まさか本当にハリーじいの言っていた通りになるとは…
　そうハリーじいは言っていた
「多分だがスファルニア公爵家の騎士団が森を彷徨くだろうからもし逃げるなら気をつけな。まぁ私なら諦めるかな」と
　本当に来たよ？来たけど…まさかこんなに大人数だと思わなかった
　来ても10人くらいだと思ったのにまさかのその10倍の人数で来るなんて
　しかも…
「あれ絶対スファルニア公爵家夫婦（多分両親）と息子（多分兄）でしょ？」
　その騎士団の中心にいるのが白銀の髪に赤い瞳の美丈夫、その右隣に青い髪に紫色の瞳の妖艶な美女、そして左隣に前あった兄（仮）...そう公爵家総出の騎士団
「何となくハリーじいが諦めろって言った理由がわかる気がする」
　この状況は諦めたくなる
　何より……
「スファルニア公爵家は、イーサン商会の管轄している所に最高で1ヶ月の滞在許可を、申請したって数日前に言ってたよね」
「え？てことはつまり…もしかしたら１ヶ月この状態が続くって事？」
　そう考えて私は決めた
　一応家に1ヶ月分の食事は家にあるから、騎士団が去るまで家にいようと


　そうしてスファルニア公爵の騎士団が来て約30日が経った
　この世界の１ヶ月は31日であり、1年は12ヶ月の372日ある
　この世界は地球温暖化がないから全体的に少し気温が低いが、日本と季節は変わらない
　まぁ簡単に言うとこの世界は、前世の世界...地球の問題が全く存在しない住みやすい世界だ
　そして今の季節は春なので日本で言う四月
　いつもならこの森の木の全てに花が咲きカラフルな桜みたいな木の下にシートを置いてピクニックをしていたのに…
　この森の木に咲く花の色は特殊で、私が把握しているだけでピンクや白の一般的？な色から紫や青、透明、虹色など色々な色がある
　そんな花達は、四月の１ヶ月間しか見られないし毎年花の形が微妙に違うのを楽しんでいたが……きっと今年は見れないだろう
　この森には唯一花の咲かない木が私の家のツリーハウス…この森で一番大きな木だそれだけでも目立つのにそれに加え唯一春に花が咲かないことで色が目立つ
　そのおかげで私は、絶体絶命の状況に置かれている
　何故なら…ツリーハウスの存在がバレたから
「ヤバイヤバイヤバイヤバイ」
　いつぞやのヤバイを顔を真っ青にしながら繰り返すこと早数分、家の前までスファルニア公爵家の両親（仮）と兄（仮）が登ってきた
　私の頭には、ゲームのウィンドウ画面のように【𝐆𝐚𝐦𝐞 𝐨𝐯𝐞𝐫】の文字が浮かんでいる
「はぁ諦めるか」
　流石にここまで来られて転移で逃げるほど無情ではない
　だから私は扉を開けた