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その背には伝説の黒龍(シスコンの怒り)が見えた
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ツゥーと首から血が伝い腕から神殿の床に垂れた
「いっ……勝った…!」
シエルは、目の前の倒れた男性を見つめた
呼吸は荒く、ヒューヒューと不規則な音を鳴らし喉を抑えながらこちらを眼光鋭く睨め付けていた
「まだ意識があるの!?」
正直ドン引きである
ユミリアもいるのでユミリアが死なない程度に収めていたが、ユミリアは、元から魔力量が多く軽く男性の三倍程の魔力量があった
それなユミリアでも少し息苦しそうにしているのに、意識が未だにある男性は正直言って化け物だ
そうシエルは、最悪彼を殺す覚悟で魔力濃度を上げた
でも実際蓋を開けてみると、意識はあるし、呼吸も苦しそうだが武器を力強く握り、こちらを眼光鋭く睨め付ける余裕もある
シエルは、そんな彼に近づきゆっくりと丁寧に念入りに一から魔法を詠唱して彼を拘束した
それこそ前に、ハリーじいと出会うきっかけとなったナメルウルスを倒した時よりも数十倍も強い拘束魔法だ
さてシエルは今、ゲーム風に言うと詰んでいる
それこそ乙女ゲームで選択肢を間違えて、好感度がマイナスに下がったのと同じくらい詰んでいる
「……ユミリアは寝ているし、ツェリーシアも気絶、男性も拘束した時に限界が来たのか気絶したし……え?どうするの?」
入ってきた場所は遥か上にあり、他の出口も見つからない、魔法も何らかの影響でまともに使えない
しかも何よりも不味いことにここは、時間の進み方がツェリーシアによって大幅にズレている
この世界では魔力の流れるスピードと時間の速さは比例していて、魔力の流れが早ければ時間早く進み、遅ければ遅く進む
前世では重力によって時間の進み方が変わるように、この世界では、魔力が重力と同じような役割をしている
因みにこの原理で行くならば、時間を止める魔法は、対象の周りの魔力の流れを停めればいいだけなのだが、緻密なコントロールと周囲の魔力を操れるだけの魔力量がなければ不可能だし、出来たとしても最悪の場合魔力の大幅な減少によって魔力枯渇状態になるので正直、オススメは出来ない
いや、それはそれとして本当に困った
さすがのシエルでもこの何千mも上にある地上に、三人を持っていく魔法を使ったとしてもできない
もし飛んだとしても、最悪途中で魔力の流れが狂い落ちる事になる
二人までならギリギリ魔力を必要以上に消費してその全ての影響から守れば、抱えて戻ることが可能だが、三人だと話は別
魔力は物凄い消費するし、男性はとても筋肉質で重い
なら先に二人連れていけばいいと思うが、ツェリーシアとこの男性は置いていけないだろうし、逆にユミリアを置いていったらユミリアが起きた場合混乱するだろう
そして、危険人物二人のどちらかを置いていくのも論外である
それになりより……運ぼうとしている人?神?の一人元神のツェリーシア
彼女は、今いる神殿を心臓としてここに存在している
そんな存在を地上に連れて行ったらどうなるか……
そうシエルが悶々と悩んでいると、キラッと上から微かな光に反射する銀色の髪が見えた
………銀色の髪?
まさか……
チラリと銀色の髪が反射した方向をシエルは向いた
「……お兄ちゃん」
そして一言小さく呟き、すぐにぐるんっと顔を逸らした
あの顔はブチ切れてるこれ以上無いほどブチ切れてる
怒っているのは私ではないと分かっているけれど怖い
シエルは、銀色の髪の持ち主──シファルニア公爵令息こと我が兄カルムをもう一度見た
その背後には、黒いそれはもうドス黒い龍が見えた
それこそ伝説の生き物と言われた黒龍に呪龍が混ざったような、そんなドス黒いオーラを放っていた
その姿を見たシエルは、すぅーと気配を消して逃げようとしたが、一足遅く目がパチリとあった
「あぁ…………」
あ……終わった
それが目が合って最初に思った言葉だった
シエルは、遠い目で兄を見つめ現実逃避をした
聞かれることが分かったしこの後の展開も読めたからだ
シエルの身体には小さいといえど傷がある
そして兄カルムは手に負えない程のシスコンである
つまり…
カルムはシエルの肩を優しく掴んで、自分の方に引き寄せ抱きしめながら言った
「シエル?誰にその傷をつけられたんだい?正直に教えて。その相手と少し話し合いがしたいから」
……話し合いですか
シエルは心の中で御愁傷様と呟き男性とツェリーシアを指差しながら、「そこの二人です……」と言った
その後が怖いが、シエルは兄がきたことによる安心感から安堵の息を吐いた
そんなシエルは、これから兄がやりすぎないように全力で止めることになる事をまだ知らない
尚、その兄の後ろに実は隠れていたセバスは、魔法でシエルの父、ブルーワに手紙を送った
…………セバスの存在は、その場にいる誰一人として気づいていない
✿.•¨•.¸¸.•¨•.¸¸❀✿❀.•¨•.¸¸.•¨•.✿
セバス:元暗殺者のシエルの父ブルーワの執事
気配を消すことに関しては、ブルーワを出し抜けるほど上手い
「いっ……勝った…!」
シエルは、目の前の倒れた男性を見つめた
呼吸は荒く、ヒューヒューと不規則な音を鳴らし喉を抑えながらこちらを眼光鋭く睨め付けていた
「まだ意識があるの!?」
正直ドン引きである
ユミリアもいるのでユミリアが死なない程度に収めていたが、ユミリアは、元から魔力量が多く軽く男性の三倍程の魔力量があった
それなユミリアでも少し息苦しそうにしているのに、意識が未だにある男性は正直言って化け物だ
そうシエルは、最悪彼を殺す覚悟で魔力濃度を上げた
でも実際蓋を開けてみると、意識はあるし、呼吸も苦しそうだが武器を力強く握り、こちらを眼光鋭く睨め付ける余裕もある
シエルは、そんな彼に近づきゆっくりと丁寧に念入りに一から魔法を詠唱して彼を拘束した
それこそ前に、ハリーじいと出会うきっかけとなったナメルウルスを倒した時よりも数十倍も強い拘束魔法だ
さてシエルは今、ゲーム風に言うと詰んでいる
それこそ乙女ゲームで選択肢を間違えて、好感度がマイナスに下がったのと同じくらい詰んでいる
「……ユミリアは寝ているし、ツェリーシアも気絶、男性も拘束した時に限界が来たのか気絶したし……え?どうするの?」
入ってきた場所は遥か上にあり、他の出口も見つからない、魔法も何らかの影響でまともに使えない
しかも何よりも不味いことにここは、時間の進み方がツェリーシアによって大幅にズレている
この世界では魔力の流れるスピードと時間の速さは比例していて、魔力の流れが早ければ時間早く進み、遅ければ遅く進む
前世では重力によって時間の進み方が変わるように、この世界では、魔力が重力と同じような役割をしている
因みにこの原理で行くならば、時間を止める魔法は、対象の周りの魔力の流れを停めればいいだけなのだが、緻密なコントロールと周囲の魔力を操れるだけの魔力量がなければ不可能だし、出来たとしても最悪の場合魔力の大幅な減少によって魔力枯渇状態になるので正直、オススメは出来ない
いや、それはそれとして本当に困った
さすがのシエルでもこの何千mも上にある地上に、三人を持っていく魔法を使ったとしてもできない
もし飛んだとしても、最悪途中で魔力の流れが狂い落ちる事になる
二人までならギリギリ魔力を必要以上に消費してその全ての影響から守れば、抱えて戻ることが可能だが、三人だと話は別
魔力は物凄い消費するし、男性はとても筋肉質で重い
なら先に二人連れていけばいいと思うが、ツェリーシアとこの男性は置いていけないだろうし、逆にユミリアを置いていったらユミリアが起きた場合混乱するだろう
そして、危険人物二人のどちらかを置いていくのも論外である
それになりより……運ぼうとしている人?神?の一人元神のツェリーシア
彼女は、今いる神殿を心臓としてここに存在している
そんな存在を地上に連れて行ったらどうなるか……
そうシエルが悶々と悩んでいると、キラッと上から微かな光に反射する銀色の髪が見えた
………銀色の髪?
まさか……
チラリと銀色の髪が反射した方向をシエルは向いた
「……お兄ちゃん」
そして一言小さく呟き、すぐにぐるんっと顔を逸らした
あの顔はブチ切れてるこれ以上無いほどブチ切れてる
怒っているのは私ではないと分かっているけれど怖い
シエルは、銀色の髪の持ち主──シファルニア公爵令息こと我が兄カルムをもう一度見た
その背後には、黒いそれはもうドス黒い龍が見えた
それこそ伝説の生き物と言われた黒龍に呪龍が混ざったような、そんなドス黒いオーラを放っていた
その姿を見たシエルは、すぅーと気配を消して逃げようとしたが、一足遅く目がパチリとあった
「あぁ…………」
あ……終わった
それが目が合って最初に思った言葉だった
シエルは、遠い目で兄を見つめ現実逃避をした
聞かれることが分かったしこの後の展開も読めたからだ
シエルの身体には小さいといえど傷がある
そして兄カルムは手に負えない程のシスコンである
つまり…
カルムはシエルの肩を優しく掴んで、自分の方に引き寄せ抱きしめながら言った
「シエル?誰にその傷をつけられたんだい?正直に教えて。その相手と少し話し合いがしたいから」
……話し合いですか
シエルは心の中で御愁傷様と呟き男性とツェリーシアを指差しながら、「そこの二人です……」と言った
その後が怖いが、シエルは兄がきたことによる安心感から安堵の息を吐いた
そんなシエルは、これから兄がやりすぎないように全力で止めることになる事をまだ知らない
尚、その兄の後ろに実は隠れていたセバスは、魔法でシエルの父、ブルーワに手紙を送った
…………セバスの存在は、その場にいる誰一人として気づいていない
✿.•¨•.¸¸.•¨•.¸¸❀✿❀.•¨•.¸¸.•¨•.✿
セバス:元暗殺者のシエルの父ブルーワの執事
気配を消すことに関しては、ブルーワを出し抜けるほど上手い
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