オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ

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その16 広場にて


武科の校舎の中庭の噴水のある広場で危機一髪。

後は噴水。
前には一角ウサギ。

対するのは魔道士騎士団長子息とその仲間たち。

条件揃いすぎ!
しかし守られているのは悪役令嬢志望の公爵令嬢。
違う!違うでしょう~!!

「シャーロレット嬢。こっちへ!」

ライアネス様が私の手をひいた。
わたしはディラン様とアレクシス様の後ろに回った。

「アレクシス、一角ウサギが襲ってくるまでは手を出すな。これ以上興奮させるな。」
「ライアネス、後ろのシャーロレット嬢を必ず守れ!」

ディラン様…かっこ良すぎます。
黒髪!好きです!惚れてしまいそうです!

あっちへ行って!の願いも虚しく一角ウサギは私達に向かって走り出した。

「来るぞ!」
ディランが手を前に出して魔力を貯める。
周りは騒然としている。叫び声が響き渡る。
バタバタと走り出す人がいたがきっと先生を呼びに行ってくれたんだろう。

一角ウサギの体当たりをディラン様が魔法の壁を作ってまず防ぐ。
壁に跳ね返った一角ウサギは更に興奮する。
どうしよう…また体当たりされたら次は無理かも…。
私もみんなも無事では済まない。

「きゃっ…」

ふと耳に止まった悲鳴の方を見た。
いた~!いたわよ。ヒロインいた!!
少し離れた場所でルピアさんが倒れていた。多分逃げる人に押されたのだろう。
彼女もまた一角ウサギの視界に入ってしまっていた。

不謹慎だがこれでヒロインのイベント発生だ!

しかし一角ウサギはまた私達の方に突進してきた。

『一角ウサギはたいあたりをくりだした。』

いけない…私はこの窮地になんでこんな事しか考えられないのだ。
もう頭が飽和状態なのだろうか…。
人間、窮地に陥ればまた陥るほど頭が壊れていくんだわ。

ディラン様が一角ウサギの体当たりに対して再び壁を作る。
しかし透明の壁が赤く光だす。
一角ウサギの体当たりのエネルギーの方が勝っている。

私は怖がっている場合ではない。
どうする?どうしたらいい?
攻撃したら逆に興奮させるだけ。
私達が無事でもこのままでは他の人が危ない。
さあ、落ち着いて考えるのよ!

コマンド→まほう…何がいい?

『眠らせる。』

「眠りの魔法だ!」

そう叫んだ途端、ディラン様が作り出していた魔法の壁がパリンと音をたてて壊れた。
間に合わない!!
もうだめだ!私は身を丸めた。
ライアネス様が私の前に出た。 

「ルース…!」 

そんな時に声にでるのはルースの名前だった。
もう会えないのか。やだな。
悲しとき、嬉しいとき…いつも一緒にいてくれたよね。
私はあなたに何もしてないね。あなたに何も返してないね。

ごめんね…ルース…嫌だ!死ぬのは嫌だ!あなたにもう会えないなんて嫌だ。

「…リー…」

やだわ、ルースに会いたいからってルースの声が聞こえてくるわ。

私は多分来るだろう衝撃に備えた。しかし衝撃はこなかった。
目の前の一角ウサギが寝ている?大きな寝息をたてている。幸せそうな寝顔だ。

「シャーリー!」
何故かディラン様の隣にルースが立っていた。
「ルース…。」
そして私に駆け寄ってきた。
そして私と同じ目線になるように立ち膝をした。

「ごめん。来るのが遅かった。ごめん。」
「ルース…ルース…」
「間に合ってよかった。シャーリー怪我はない?」
泣きながらルースにしがみついた。
「怖かった…怖かったんだから。」

ディラン様がルースに話しかけた。
「ルースありがとう。ごめんよ。私はまだ眠りの魔法を使えないんだ。練習中で…失敗したら自分が寝てしまうんだよ。でもさすがだね。君が魔科にいたら太刀打ちできないや。」
「たまたま得意な魔法だっただけさ。ありがとう。君がシャーリーを守ってくれなかったら間に合わないところだったよ。って…シャーリー……あっ。」

…ルースが赤くなってる。ん?何?下?下に何があるの!

スカート!!!嫌っ!

私は短いながらもスカートを引っ張って足を隠した。

ん?ルピアさんは?ルピアさんが倒れた方を見る。まだ彼女はお尻をついて座っていた。放心状態といったところだろう。

「ルース…ルピアさんが立てないみたい。私は大丈夫だから助けてきてあげて。」
「えっ?シャーリーだって怖い思いをしたんじゃないか!」

私は首を振った。

「私は大丈夫って言ったじゃない。私の周りにはみんないるわ。だけど見て。今彼女の周りには誰もいないわ。心細いと思う。だから…」
「仕方ないな。シャーリーのお願いだから断れないや。」

ルースが立ち上がった。

「ん?」

咄嗟にルースの服を引っ張ってしまった。

「シャーリー??」
??何でだろう。
「あ、えっ?」
私はルースの服から手を離した。

「何で?ごめんなさい…」

何か嫌だった…。
ルースがヒロインのところへ行ってしまうともう戻ってこなくなってしまいのかもしれないと思った。

「行ってもいい?」
「あ、うん…」
「シャーリー、離してくれないといけないよ。」
「あ…っ…」

さっき離したはずの手がまたルースの服を掴んでいた。

「シャーリー、可愛い。」

ルースが私をお姫様だっこして立ち上がった。

「ディラン、申し訳ないけどあそこで倒れているお嬢様に手を貸してあげてくれないか?僕はみてのとおりシャーリーが離してくれなくてね。ふふふ」

あ、やだ。まだ掴んだままだ。でも離したくないな。
このままでいいや…。
私はルースの首に手を回して彼の胸にギュッと顔を埋めた。

チラッとルピアさんを見たがすごく睨まれている感じがした。

「シャーリー…短すぎ…これじゃあ…見えちゃう…」
「えっ!えっ!やだ!降ろして!降ろして!ルース…」

ルースは一旦私を降ろして自分の上着を足元にかけてくれた。
そして何故かまたお姫様だっこをされた。
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