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その20 廊下にて

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交流会も終わり、いつもの日常が戻ってきて数日経った。

4限目が終わりお昼休み時間前にちょっとお手洗いに行く。

ヒソヒソ。コソコソ。
廊下を歩くと何故か周りの人が避ける。
何やら私を見ながら話をしている。

「えっ…あの方が。」
「ええ、なんだかお可哀想に。泣いていたみたいよ。」

なんだ?なんだろう。
私の横でも後ろからもいろいろな方向から視線を感じる。

教室への帰る廊下でもそうだ。

「そうそう。今朝らしいわよ」
「階段から?」
「ひどいことを」
「ザイン公爵家の…」
「やだ、取りあい?」

?階段とか…ザイン公爵家?ルースのこと?
何かあった?
何だか心地が悪いわ。
なんか私、噂されることした?
いやいやこの頃あまり暴走してないよね?

教室までの道のりが長く感じる。

「交流会の時も…」
「自作自演…」
「え~怖っ。」
「嫉妬?」
「被害者面…。いやね。」

何だ?交流会とか嫉妬とか自作自演?被害者面?
いやいや私は襲われた被害者よ。
正真正銘被害者です!!
ったく何のよ。もう!!

ようやく教室についたのでドアに手をかけた。
何だか教室もザワザワしてる。

思い切ってドアを開けた。
私が教室の扉をあけたら何故か注目された。
先ほどまで騒ついていた教室が一気に静かになる。
机までの道のりまでも長い。何かみんなの視線が私に集まる。

私はようやく自分の机に辿り着き椅子に座った。
「デェリス様、なんかどうかしたのかしら。」
「シャーリー様、お昼食べましょう。お腹空きましたわ。」
あ、彼女はいつも通りだわ。
「あのシャーリー様、お昼食べ終わりましたら少しお話しがあるのですがよろしいでしょうか?」
「はい、大丈夫ですよ。」

「シャーロレット嬢。デェリス嬢。お食事中に失礼。」

ディラン様が声をかけてきた。

「少し話があるんだがいいかな?」
「はい。私はかまいませんが、食事後はデェリス様とお話しすることになっていますので…」
「多分、ミストローガ様と私の話は同じだと思います。
ミストローガ様、大丈夫です。女の私から話した方が良いと思いますのでお任せ下さい。」
「ああ、そうなのか。よかった。どう話そうか迷っていて。申し訳ないけどよろしく頼む。」

教室は終始ヒソヒソと私を見ながら何か話していた。
落ち着かない…。

すると私達のところから自分の席に戻ろうとしたディラン様が突然
「お前達、噂話もほどほどにしとけよ。知らないことを憶測で言うのはやめろよな。」
と大声で叫んだ。

教室中がシーンとした。
せっかく静かになったのだがこれはこれで落ち着かない。
いやはや何が起こってる?

お昼を食べ終えた。
早く教えて欲しい…。
「デェリス様。話って何でしょうか?」
「ここでは…少し廊下へ行きましょう。」
心配そうにディラン様が見ていた。

二人で立ち上がって歩き出した。

バン!いきなり教室のドアが開いた。
「シャーリー!!」
「あら?ルース。」
「今日、僕達朝一緒に来たよね?」
「ええ。」
「だよね。朝一緒に来たよね。今日の朝!一緒に来たよね?
魔科の校舎の前まで一緒だったよね?」
「いやだわ、ルース。いつも一緒じゃない。今日もそうだったわ。
どうしたの?」
「ああ、そうだよね。いつも朝一緒に学校来るよね。」
「だっていつもルースが迎えに来てくれて、魔科の校舎前まで送ってくれるじゃない。」
「そうそうシャーリーに突然会いたくなったんだよ。」
「そんなこと言って実は教科書借りに来たんでしょ?政経と歴史、文学、聖学のどれ?」
「いや、それと朝言い忘れたことを言いにきたんだ。今日も一緒に帰ろうね。」
「へっ?何よ?いつも一緒じゃない?わざわざ言わなくても待ってるわ。今日遅くなるの?」
「だから朝!朝!言い忘れただけ。遅くならない。僕が迎えに来るまで教室で待っててね!」
「わかったわ。ルースが迎えにくるまで教室で待ってる。」
「あっ!授業間に合わなくなる!戻るね。」
「じゃあ、帰りね。」
「うん!シャーリー、大好き!」

??何??一番最後の言葉要る??
みんな聞いているじゃない。
恥ずかし…。??
本当、ルースどうしたのかしら?

ルースが行ったと思ったらまた教室の扉から声をかけられた。
「シャーリー。」
「あ、レイクルーゼ様。どうされました?わざわざ魔科の1年の教室に……?」
「ええ、今日だけど朝、あなたと校門でお会いしてルーズローツ様とご一緒に魔科側の校舎にある生徒会室の前までご一緒しましたわね。」
「はい、そうでしたよね?」
「あ、いえ。今日の朝!私と一緒でしたわよね。」
「はい…」  
「それじゃあ」

それだけ?レイクルーゼ様もどうかしました?妙に今日や朝にこだわるわね?

レイクルーゼ様は教室の扉の前で振り返り
「そうそう、交流会の時はごめんなさい。本当に怖い思いをさせたわ。
幼なじみのルーズローツ様のおかげで何もなくてよかったわ。
本当にルーズローツ様はシャーリーが大好きなのね。大事にされてて羨ましいわ。
では失礼しますね。」

嵐のように去っていった。
いやいやルース関係の言葉、要らないよね?恥ずかし過ぎるわ。

さっきのルースといい、レイクルーゼ様といい、何なの。
いづらい教室が更にいづらくなくでしょう。

隣でデェリス様が声を出して笑っていた。
「本当にあなたは愛されてるわね。」

ヒソヒソヒソヒソ
「ねぇ?今のって三年のアインシュバッツ侯爵令嬢のレイクルーゼ様だよね?生徒会の?」
「その前に見えたのはザイン公爵家のルーズローツ様だったわ。」
「そのお二人が今日の朝一緒だったって言ってるわよ。」
「じゃあ人違い?」
「あの二人が一緒だって言ってるのよ。間違えないわよ。」
「あの平民の子が勘違いしてるんだ。」
「なんかあの平民、ルーズローツ様を狙ってるって噂よ。」
「ルーズローツ様はシャーロレット様の幼なじみよね?」
「今、大好きだとか言ってなかった?」
「レイクルーゼ様が交流会とこと謝ってなかった?」
「今の話からして逆に平民の自作自演じゃないの?」
「今日の事もそうかもね。」
「ルーズローツ様が振り向いてくれないからって…」
「いやね。シャーロレット様に敵うはずないじゃない。」
「ねぇ。」

ヒソヒソ。ヒソヒソ。コソコソ。
また何?どうしたの??

「シャーリー様。私の出番はなさそうですね。」
「はい?」
何があったの?そして何が起こってるの?そして何かもう終わってるの?
今の会話を繋げて考えるとどうなるの?
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