15 / 53
上田いろいろ
『ゲバルトの杜 〜彼は早稲田で死んだ』(上田映劇・長野県上田市)
しおりを挟む
アフタートークとともに。
いや…ついこの間まで「モアパッション!」って言ってた人に内ゲバの話ってのは、なかなか酷い…と思いつつ、野次馬根性込みで馳せ参じる。
日本赤軍のあれこれについては人間の動きで記憶しているので、再現ドラマ付きのドキュメンタリーかなんかを見たんだと思う。若さと閉鎖空間で剥き出しになる本能と欲望。それを正当化するためだけの存在に成り果てる大義。重い。
因みに漫画『RED』は未見。いつかはと思いつつ、あれを浦上さんの絵で見たら、立ち直れないだろうなと、自分のコンディションを整え切れずにいる。
そういう意味では、今回の内容はまだ素直に捉えられた。
端的に言うなら『生き残り』と『敵討ち』が行動のベースでシンプルに思えた。まぁ、だからこそ質が悪いわけだが。厳密な意味での「目には目を」にしろ「右の頬も差し出せ」にしろ、仲間やら団結やらが醸す正義を前にして…結局、第三勢力にしかならんのだろうな。
組織がいくつにも分裂し、互いに抗争を複雑化させていく。今、この瞬間、誰が敵やら味方やら。よく紡ぎ切ったと思う。
鴻上さんの作中劇は、正直、再現ドラマの印象だったが、オーディションから映される今どきの若者らが事実を知り、そこに身を置き、追体験することに意味があったのではないかと思う。途中、演じるにあたっての感情を若者が鴻上さんに問うていたが、本人の内面に湧き上がるもので良いとしていたことでも、そういうことだと解釈した。
池上彰さんを講師として迎えて若者らが座学を受ける場面、質疑で「学生運動が残したのは?」との問いに「机と椅子が固定されただけ」と答えられた。それは冗談めいて片付けられていたが、個人的には自分の幼少期の例えようもない閉塞感と厭世感の理由が理解できた気がする。この前提で、今どきの若者はって言われても「あんたらのせいじゃ」としか言いようがない。
無論、自分もヒッピー的な自由に救われた経験もあり、個人がどうとか世代がどうとかではなく、大局的には陰と陽の大きな揺らぎの一場面でしかない…と、今は理解しているけども。
監督は革マル派の方の声も残したかったという。サインを貰うときに「家族への影響を懸念されてね」と教えてくれた。そうか…と…。だからこそ、あの極限と今を行き来した人達の言い分と記録は残っていて欲しく、自分も耳にしておきたい…そう感じた。
そんなこともあり、ノンフィクションに対しては失礼かもしれないが、事件の正確性に対しては鵜呑みにしていない。片方の視点を素直に並べたものと理解した。関係者や後継者にはけして風化しておらず、センシティブな内容だとも理解した。
が、一つひとつの発言、写真、そして若者らの言葉、それらも一つの真実だろう、と。
また、ひとつ、学べた気がします。
そして、こういう諸々の生々しさも踏まえた上で、「モア、パッション!」っ言わせちゃう、つかこうへいさんの凄さもあらためて実感した次第です。
お疲れ様でした!
いや…ついこの間まで「モアパッション!」って言ってた人に内ゲバの話ってのは、なかなか酷い…と思いつつ、野次馬根性込みで馳せ参じる。
日本赤軍のあれこれについては人間の動きで記憶しているので、再現ドラマ付きのドキュメンタリーかなんかを見たんだと思う。若さと閉鎖空間で剥き出しになる本能と欲望。それを正当化するためだけの存在に成り果てる大義。重い。
因みに漫画『RED』は未見。いつかはと思いつつ、あれを浦上さんの絵で見たら、立ち直れないだろうなと、自分のコンディションを整え切れずにいる。
そういう意味では、今回の内容はまだ素直に捉えられた。
端的に言うなら『生き残り』と『敵討ち』が行動のベースでシンプルに思えた。まぁ、だからこそ質が悪いわけだが。厳密な意味での「目には目を」にしろ「右の頬も差し出せ」にしろ、仲間やら団結やらが醸す正義を前にして…結局、第三勢力にしかならんのだろうな。
組織がいくつにも分裂し、互いに抗争を複雑化させていく。今、この瞬間、誰が敵やら味方やら。よく紡ぎ切ったと思う。
鴻上さんの作中劇は、正直、再現ドラマの印象だったが、オーディションから映される今どきの若者らが事実を知り、そこに身を置き、追体験することに意味があったのではないかと思う。途中、演じるにあたっての感情を若者が鴻上さんに問うていたが、本人の内面に湧き上がるもので良いとしていたことでも、そういうことだと解釈した。
池上彰さんを講師として迎えて若者らが座学を受ける場面、質疑で「学生運動が残したのは?」との問いに「机と椅子が固定されただけ」と答えられた。それは冗談めいて片付けられていたが、個人的には自分の幼少期の例えようもない閉塞感と厭世感の理由が理解できた気がする。この前提で、今どきの若者はって言われても「あんたらのせいじゃ」としか言いようがない。
無論、自分もヒッピー的な自由に救われた経験もあり、個人がどうとか世代がどうとかではなく、大局的には陰と陽の大きな揺らぎの一場面でしかない…と、今は理解しているけども。
監督は革マル派の方の声も残したかったという。サインを貰うときに「家族への影響を懸念されてね」と教えてくれた。そうか…と…。だからこそ、あの極限と今を行き来した人達の言い分と記録は残っていて欲しく、自分も耳にしておきたい…そう感じた。
そんなこともあり、ノンフィクションに対しては失礼かもしれないが、事件の正確性に対しては鵜呑みにしていない。片方の視点を素直に並べたものと理解した。関係者や後継者にはけして風化しておらず、センシティブな内容だとも理解した。
が、一つひとつの発言、写真、そして若者らの言葉、それらも一つの真実だろう、と。
また、ひとつ、学べた気がします。
そして、こういう諸々の生々しさも踏まえた上で、「モア、パッション!」っ言わせちゃう、つかこうへいさんの凄さもあらためて実感した次第です。
お疲れ様でした!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる


