信州観劇日記

ことい

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犀の角・別役実

『クランポンは死んだ』 広田ゆうみ+二口大学 犀の角(上田市) 2024/10/6

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前日のワークショップが『いつか来た道』の男女の微笑ましいシーンで、バラエティに飛んだ男女の組み合わせの妙に浮かれ、油断した。

昨年の『舞え舞えかたつむり』で二人の心の交流が見えた気がしたのもある。

強烈な女の拒絶、殺意。そういえばそうだった。ゆうみさんの所作がまたキレッキレで、二口さんの眼前に切っ先を向ける様が、まさに先端恐怖症まっしぐらでは?ってくらい。

アフタートークのGOKUさんだったか?結局、クランポンとはなんだったのか?不親切なままの描写も、そういえばそうだった。

そして、全編に渡る死の気配。

個人的事情により、その直前まで介護施設を数カ所まわったばかりだった。予算的に余裕のない場所にばかり行ったのもあるかと思う。死を待つ空気。恐れ、苛立ち、怒り、八つ当たり。

だから、その時の自分にはことさらに重くて、苦しくて。

劇中だったか、職員の優しさをなじる場面があったように記憶してる。仕方ないじゃないか、こんな状況だからこそ優しくしたいじゃないか。優しくさせて欲しいじゃないか。仕方ないじゃないか…そう、反発してみる。

それでもその人にとって死はある種の救いのようで、ラスト月明かりに照らされる彼女がどうしようもなく美しくて、愛おしくて堪らなくなった。

髪の毛の一本、一本を際立たせるようにチリチリと音がするように繊細かつ鋭く斬りつけるような光。戻ってきた茶色さんによるものだと後から気付き、脳内で『おかえり』と言ってみる。その感情も愛おしい。

自分にしては珍しく送り出しときにゆうみさんとお話する。この重さに向き合うことを称え、感謝を伝えた気がする。別にゆうみさんが特別な訳ではなく、この公演などを目標に一日一日を重ねている…そんな答えだったと思う。であれば、私も。

結局、受け取ったのは『生』であり、転じて希望であったと思う。また、来年も是非。楽しみにしている。
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