信州観劇日記

ことい

文字の大きさ
33 / 53
松本いろいろ

『アートプロジェクトひとひと ×「十月十日の旅」 ひとが生まれる、ということについて』(出居番丸西・長野県松本市) 2025/6/16

しおりを挟む
平日なので迷ったが、例のやさぐれも手伝って、残業時間が引っかかりそうなのを理由に定時前に退社する。


今一度、住処である松本に目を向けようという意識から、気になっていた『居出番丸西』へ。聞き覚えのない名前に警戒していたが、上土や想雲堂に近く、想像通りかつてのカンデラゲストハウスの空気。今回はおにぎりも豚汁も用意されていて、ご馳走になるばかりだったが、最後の片付けと食器洗い&拭きの感じがなんだか懐かしい。「米がある」が水曜なのがな…また来たい。



とは言え、メインは語らい。

犀の角のスタッフ茶色さんの妊娠に気付いてから出産するまでを対話で記録した『十月十日の旅』をモチーフに「ひとが生まれるということについて」語らう。ある意味自分は異物かなと思ったけど、早めに水を向けてもらえたのと、割と当たり障りないアルアルな感想が言えたみたいでよかった。まぁ、一番は某知人が席を外しててくれてたこともある。しがらみはね、仕方ないね、ハハハ。

そんな自分のことより、やはり当人含めた多種多様な「母」な方々の語りが興味深かった。ちょっと油断したら『正しい母親論』みたいな争いになってもおかしくなかった気もする…が、場の雰囲気のおかげか、多様すぎたのか、「そういうのもありか」って素直に思えた。っていうか、実際『正解』なんかないんだなって感じた。もしかしたら『失敗』はあるかもだけど、それもそれぞれな気がする。あるケースでは失敗だけど、別のケースでは無問題みたいな。



自分の里親登録の間、「楽しんで」と再三言ってもらったけど、どうしても『正解』を求めずにいられなかった。結果は変わらないにしろ、このイベントが先にあったら少しは違ったのかもな。
お腹のいる時から『他人』で「初めましてから始めて関係性を作っていった」って方がいて、ちょっと理想論に聞こえながらもしっくり来た。だって、別の生物だもの警戒心はお互いにあるよ。時間も必要なのよ。

『役割』で居ようとすると無理が出てくるって話も印象的だった。自分としては『父』の方が深刻に感じていて、ずっと『嘘つき』の扱いになってる。本人そのものがお話にならないのは仕方ないとして、作り物の『父』にずっと違和感を感じていて、もう終わろうとしている今の父にもそれを感じる。本人の見栄でもあるのだろうけど、こっちが求めてない父親像なのもお互い切ない。何かの時に見せた勤め人としての共感みたいなのが一番『父』っぽかったんだけどな。
どう外しながら関係性をつくっていくか、それも興味深い。

とかく貴重な時間でした。また何かしらで。感謝。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...