スキルを得られない特殊体質の少年。祠を直したらユニークスキルもらえた(なんで??)

屯神 焔

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1 なんで??

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 「なんだったんだろう。」

 まだ太陽が顔を出していない早朝。

 闇のような黒い髪と燃えるような紅い瞳の少年が村のはずれに立っていた。

 彼、ギル・フィオネットは、先ほどの出来事を思い返していた。

 長年手入れをしてきた祠が、なんか「ありがとう」とかいって突然消えた。

 今年で15になる彼には、理解できなかった。

 「とりあえず、リーナを起こしにいくか。」

 煌く様な金髪と、宝石のような蒼い瞳をした少女が眠る部屋。
 その窓から顔をのぞかせるギル。

 リーナとは、普段彼と接してくれる数少ない人間で、ギルと同い年の少女だ。
 リーナの母リリナと、ギルの母は親友で、ギルの母が周囲から白い眼で見られていたとき何もできなかったことに後悔し、せめてもの罪滅ぼしにギルを家に迎え入れてくれている。

 リーナの父グランは気の良い冒険者で、ギルにも優しかった。
 スキルを得られないのなら、スキルとは関係の無い技術を磨けば良い、そして筋肉をつけるのだ。と、ギルにさまざまなことを教えている。

 「リーナ。起きろ。もう朝だ。俺は家畜の世話をしてくる。」
 「・・・ま、まって。いま起きる。」

 リーナの家は、決して裕福とはいえない。ベッドも硬く、体にかかっているのは布1枚だ。

 「ん。」
 「水をかければ起きるか?」
 「もー、そこは優しく抱き起こしてよ。」

 ベッドの上から両手を伸ばす幼馴染を一蹴し、ギルは先に家畜の世話を始める。

 家畜の世話が終わると水をくみ上げ、リーナの両親を手伝い、朝食をとる。
 昼からは村の住民の雑用を請け負い、自分の生活費を稼いでいく。
 日が傾き始めると、グランから訓練を受ける。
 日が沈むころになると、訓練を終了し体を拭き、夕食をとる。
 その日の終わりになると、ギルは必ずその日の稼ぎをリリナに渡す。

 そして、自分の部屋である屋根裏部屋へはいり、自分のステータスを眺める。

 「無駄。ってことは、とっくに理解してるんだけどな。」

 自嘲気味に言葉を漏らす。
 毎晩自分のステータスを開いては、無記入のスキルを想像する。

 もしも、自分がスキルを得られたら。
 どんなスキルを授かっていたのだろう。
 『農業』だろうか。もしかしたら、なにかしらの『魔術』かもしれない。

 そんなもしもの世界を広げていく。

 「今日も変化なし、か。まあ当たり前、だ、けど?」

 ふと、自分のステータスに見慣れないものが見えた。

       『ステータス』
   ギル・フィオネット 人族Lv6
   職業 村人Lv11 魔導傀儡子マギ・パペットマスターLv1
   HP 50/25
   MP 80/4
   攻撃力 物:18 魔:25
   防御力 物:16 魔:20
   器用 31
   速さ 29

     『スキル』
   ユニーク【魔導傀儡マギ・パペットLv1】
   スキルポイント:115

     『加護』
   古代龍の加護LvMAX
   古代龍の寵愛LvMAX

 「え?」

 いつのまに加護なんか貰ったんだ?
 なぜ新しい職業が?
 どうして自分にスキルがある??

 もしかしたらあの祠だろうか?

 ・・・・・・。

 「無いな。あんな小さな祠に古代龍なんかいないだろう。」

 古代龍なら未知の職業やスキルを与えるなんて造作も無いだろうが、こんなところにいるはずが無い。

 いたら問題だろう。

 古代龍とは、太古の時代を支配し、魔王に心身の自由を奪われ、最後にはさまざまな種族が手を取り合い討ち取ったはずだ。
 魂だけとはいえそんなものが、こんな辺境の田舎の村のはずれの薄汚れた祠にいたらだめだろう。

 「・・・寝よう。」

 これは夢だ。ギルはそう思うことにした。





 「・・・。夢、じゃあ、無かったのか。」

 朝起きてまず頭に浮かんだのが祠だ。
 なにせ毎朝手入れをしてきたのだ。

 そして、昨晩のスキルや職業を思い出す。

 ステータスを見るが、そこには、やはり見慣れないスキルがある。(職業と加護にほとんど興味なし。)

 今日はいつもより早く起きていたので、ステータスをタップし、詳細を確認する。

 「まずは、加護から見るか。」

 おいしいものは最後にとっておく派のギルは、スキルを見るのは最後にした。

     『加護:古代龍の加護』
   古代龍に認められたものの証。
   あらゆるプラス補正がかかる。
   (経験値・スキルポイント・上昇値の増加)

     『加護:古代龍の寵愛』
   古代龍に愛されたものの証。
   あらゆるプラス補正がかかる。
   (経験値・スキルポイント・上昇値の倍増)

 なんてふざけた効果だ。頭がおかしいのか。
 こんな効果の加護、知られたらマズイどころの話じゃない。

 かならず国家・宗教・大商会がからんでくる。下手したら頭と体が永遠にさよならするかもしれない。


 ・・・ギルは考えるのやめた。

 ・・・次だ。

     『職業:魔導傀儡子』
   魔導によって創造される傀儡を操る。
   鍛え方しだいで自身の強化も可能。
   本人の意思しだいで大陸を支配することも可能。

 ・・・ギルは考えるのをやめた。(2回目)

 「ふぅ。もう頭がおかしくなりそうだ。」

 この流れだと、おそらくスキルもぶっ飛んでいるだろう。
 しかし、ギルはスキルの効果を確認する。

 なにせ、物心ついたときから思い焦がれていたスキルだ。

 「よし、スキルの効果は「ギールー! もう朝だよー! おーきーてー!!」・・・。まあ、寝る前に確認すればいいか。」

 ギルは、薄い布を払いのけはしごを降りる。

 下には、不思議そうな顔をしたリーナがいた。

 「? どうした。おかしな顔をしてるぞ。」
 「ギル、なんかうれしそう。」

 自分はそんな分かりやすい顔をしていたのか?

 ギルは、思わず顔に手を当てる。


 「いっつもしかめっ面してたのに。あっ、分かった! 私みたいな美少女が起こしにきてくれて嬉しいんでしょ! そうでしょ!」
 「・・・そうだな。お前見たいなかわいい美少女がわざわざ起こしに来てくれるなんて、確かに嬉しいよ。」

 内心嬉しいという感情であふれかえっているのは正解なので、ギルは珍しくリーナをほめる。
 リーナが美少女というのも事実なので、嘘は言っていない。

 「えっ、かっ、かっ、かわっ、かわ!?」

 首から上をトマトと大差ないほど赤くし、口をあんぐりあけるリーナをほうって、ギルはいつものように家畜の世話をしにいく。
 家から、「パパー! ママー! ギルが壊れたー!」などと失礼な言葉が聞こえるが、ギルは気にせずに自分の仕事を始めた。
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