追放された聖騎士は《武具分解》と《武具融合》を駆使して成り上がる

くぬぎ

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冒険者としての才能

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  リリの「鑑定」と俺の《武具融合》によって、ガラクタ同然だった武具は、一晩で見違えるような性能を秘めた逸品へと生まれ変わった。ショートソードには『俊敏性』と『斬れ味』の特性を幾重にも重ねがけし、子供の力でも扱いやすいように軽量化も施した。円盾と革鎧には、ありったけの『頑丈さ』と『物理耐性』を注ぎ込み、オークの棍棒の一撃にも耐えうるほどの強度を持たせた。

「すごい……! 剣さんが、すごく軽いのに、シュンって音がする!」
「よかったな。大事に扱うんだぞ」
「盾さんも、カッチカチだよ! これなら、おにいちゃんを守れる!」

 生まれ変わった自分の装備を身につけ、リリは興奮した様子でその場で剣を振ったり、盾を構えたりしている。その姿は、まだおもちゃで遊ぶ子供のようだが、瞳に宿る光は真剣そのものだ。

「いいか、リリ。装備がいくら良くても、使いこなせなければ意味がない。今日から、お前に戦い方を教える」
「うん! おにいちゃん! リリ、おにいちゃんを守れるようにがんばるね!」
「ああ」

 俺たちは早速、街の外れにある、ゴブリンやスライムしか出ない初心者向けの狩場へと向かった。

「まずは構えからだ。盾は常に体の中心。剣は盾の陰から、いつでも突き出せるように構える。いいか、相手の動きをよく見るんだぞ」
「う、うん!」

 リリは俺の言葉を素直に聞き入れ、小さな体で一生懸命に盾を構える。その姿はまだぎこちなく、見ていて少しハラハラする。

 最初に現れたのは、一匹のゴブリンだった。棍棒を振りかざし、奇声を上げながら突進してくる。

「リリ、落ち着け! 俺が言った通りに、盾で受け止めろ!」
「う、うん!」

 リリは緊張で体をこわばらせながらも、盾をぐっと前に突き出した。

 ガッ!

 鈍い音がして、ゴブリンの棍棒が盾に弾かれる。強化した盾のおかげで、リリの体はびくともしない。

「よし、今だ! 剣で突け!」
「えいっ!」

 リリは教えられた通りに剣を突き出すが、その一撃は浅く、ゴブリンの肩を掠めただけだった。逆上したゴブリンが再び棍棒を振り上げる。

「わっ!?」

 リリは咄嗟に身をすくめ、盾を構えるのが一瞬遅れた。

 まずい……! 
 ……と思った瞬間。

 信じられないような動きを見せた。

  リリは、まるで獣のようにしなやかに体を沈めると、ゴブリンの攻撃を紙一重で回避。そのまま地面を蹴り、驚くべき速さでゴブリンの懐に潜り込んだのだ。

「やっ!」

 そして、下から突き上げるような鋭い一閃。軽量化したショートソードが、ゴブリンの胸を深く貫いた。ゴブリンは断末魔の叫びを上げる間もなく、その場に崩れ落ちる。

 俺は、一瞬、何が起こったのか理解できず、呆然と立ち尽くしていた。

「お、おにいちゃん……? リリ、ちゃんとできた……?」

 リリは、まだ心臓をばくばくさせながら、不安そうに俺を振り返る。

「……ああ。よくやった」

 俺はリリの元に駆け寄り、その頭をくしゃくしゃと撫でた。内心の驚きを悟られないように、必死に平静を装っていた。

 なんだ、今の動きは……

 教えた通りの動きでは全くなかった。だが、危機的状況で咄嗟に見せたあの身のこなしは、明らかに常人のものではない。俊敏性、反射神経、そして体幹の強さ。人間離れした身体能力だった。

 そうか。リリは獣人なんだ。
 獣人は俺みたいな普通の人間とは違い、身体能力が高いんだ。
 子供でも大人の人間並みのパワーとスピードが出せるって聞いた事がある。だからあんな俊敏な動きができたんだ。

 それに加えて防具に武具融合させた素材もある。『俊敏性』や『物理耐性』とかの特性を使いまくったからな。
 つまり獣人としての才能と特性の相乗効果で予想以上にパワーアップしているんだろう。

「すごいじゃないか、リリ。お前、思ったよりずっと筋がいいぞ」
「えへへ……。なんだか、危ないって思ったら、体が勝手に動いたの」
「それがお前の強さだ。その感覚を忘れるな。だが、それに頼りすぎるなよ。基本はあくまで、俺が教えた戦い方だ」
「うん!」

 その後も、俺たちは訓練を続けた。最初は不慣れで危なっかしい場面も多かったが、リリは驚異的なスピードで戦闘技術を吸収していった。特に、俺が敵の攻撃を受け止め、体勢を崩したところに、リリが素早く回り込んで追撃を加える連携は、面白いように決まった。

 夕暮れ時、訓練を終えて街に戻る頃には、リリはすっかり自信をつけたようだった。

「おにいちゃん、リリ、もっと強くなれるよね?」
「ああ。お前は、俺が思った以上の逸材だ」

 俺は正直な感想を口にした。この子の才能は、俺のスキルと同じくらい、規格外のものかもしれない。

「明日からは、もう少し骨のある依頼を受けてみるか」
「うん! まかせて!」

 力強く頷くリリの横顔は、もうただのいたいけな少女ではなかった。俺の隣で、共に戦う覚悟を決めた、一人の立派な冒険者の顔をしていた。
 この小さな相棒となら、どんな困難な道も乗り越えていける。俺は、リリの隣で、未来への確かな手応えを感じていた。
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