27 / 49
1章
シエラ先生の特別レッスン②
しおりを挟む
「さて、ダンジョンそのものについての考察は横においてですね、次はレベルアップについてです」
「おお!私も昨日レベルアップしました!」
「おめでとうございます。先ほどチラッと言いましたが、レベルが上がればあらゆる身体能力が上昇する、と言われていますが……どうですか?自分で分かりますか?」
「いえ……全く。全く変わったような気がしません」
全く自分じゃ分からない。どこか変わったような気がする?と聞かれると、いいえ!ってはっきり答えちゃうくらい何処も変わってないし、背も伸びてない!
まじめな話、特に筋力が強くなっただとか魔力が強くなったとかって感覚は全くない。
あれが本当にレベルアップだったのかも分からない。
勘違いだよ、と言われればそうなのかなと思う。そんな状況だ。
「ふむ、しかし私の見た所アーシャ様はほんの少しレベルが上がっていますよ。レベルアップとはダンジョンへの順応だと言う研究者もいます。そして不用意に順応が進みすぎると、ダンジョンに取り込まれて帰ってこれなくなるともね。実際の所、ダンジョン深層の魔力に慣れてしまうと外の環境がつらく感じるケースは沢山報告されています。」
「順応ですか。ダンジョンに慣れるだけならいいと思いますが?」
「慣れるだけならね。深層に慣れきってしまうと、だんだんと地上に帰るのが億劫になり、ダンジョンの中で暮らすと。そうすると行き着く先は廃人であったりだとか、あるいはモンスターのようにダンジョンにはいったものを襲うというケースもあるそうですよ。」
「それはちょっと困ります。私はママとパパの子供をやめる気はないですよ?」
「もちろんです。心配せずとも表層ではそういうことは起こりませんよ」
そうなんだ?じゃあとりあえず心配ないか。
あと、聞いておきたいことはと言えば……
「レベルアップしたら何が強くなったとかっていうのが数字で見られるようになるって聞いたんですけど、どうやったら見られますか?」
「ギルドにもあるはずですが、解析用の水晶があります。でもアーシャ様にはあんまりお勧めしません」
「何でですか?」
「恐らくですが、ギルドの水晶では測定が困難だからです。あそこはある程度ダンジョンに順応した者の順応の数値を測定するように出来ていますから、アーシャ様のように地上で鍛えてあって、ダンジョンにちょこっと行っただけみたいな方の測定にはあまり向いていません。」
「ふーん?そういうものなんですね?」
「そうなのです。初心者のうちは気にしなくっていいってことですよ。どうせ、アーシャ様はこれから色んな魔術や武術を覚えますから。今のうちに測定しても特にメリットはありませんよ」
「なるほど。」
わかったようなわからないような。
とりあえずギルドに行けばレベルやらスキルやらを測定してもらえるらしい。でも別にやんなくていーよってシエラ先生は言ってる。興味はあるけどそんなの気にするよりもっと頑張って訓練訓練ってことかな。よし、今日もがんばらないと。
「その意気です。本日からは武術の訓練も少しづつ始めましょう。」
「おお!剣とか槍とかですね!」
「そうですが、アーシャ様はハイエルフなので弓をやりたいのかな?と勝手に思っていました。と言っても今のままだと筋力不足で強い弓は引けませんが、子供用の弓で良ければ用意しますよ?」
「弓より剣がいいです。ママと同じように」
「剣もまだ筋力が足りませんので、打ち合いなんかは難しいです。体に過剰な負荷がかかるようなことをした場合、不足した筋力を魔力で補うようになります。短時間ならいいのですが、いつもいつもとなると筋力にも魔力にも負担がかかりすぎて怪我をしたり成長が遅れたりということが起こってきますよ。もっとしっかり体が出来てくれば魔力を筋力を掛け合わせて強大な力に変える事もできますけどね」
「そこはダンジョンのレベルアップで補っちゃダメなの?」
「それは止めておいた方がいいと思いますが。レベルアップするためには今より深層へと行くわけですし、色々と危ないです。無理をせずにゆっくり大きくなるしかないのでは?」
結局そこだ。
私の体は何時までたっても大きく育たない。
ハイエルフって実は損してるんじゃないか!?
「やっぱりそこかあ。ハイエルフってなかなか大きくなれないですよね」
「それは仕方ないことですね。その分寿命が長いし、魔力も豊富なのですから。少なくとも普通の人族よりは遥かに上位種だと言って差し支えないでしょう。それでも効率的な訓練をしないとなかなか強さは手に入りません。魔力の扱いももっと上手になって、魔法だってもっともっと自由に操れるようにならないと」
一朝一夕で強くなるなんて事は土台無理だったのだ。
あきらめてお勉強に戻ろう。
その後は普段どおり座学を行い、続けて外に出て素振りを行った。
素振りのキレが少しよくなったんじゃないかと言われたけど、あんまり自分で差があるような気がしない。
レベルアップの影響か、それともただ単にスライムとテントウムシを撲殺して度胸が付いたから?
わっかんないなあ。
スライムと言えばプリンちゃんだ。
できるだけ積極的に育成しよう。私の体はすぐには大きくならないけれど、スライムは多分ドンドン強くなれる素質がある、とおもう。モンスターは進化するって言うしね。そういえばその辺の事もじっくりと教えてもらいたいなあ。次回の特別レッスンはモンスターについてにしてもらおっと。
それまでに頑張ってプリンちゃんの育成だ!
「おお!私も昨日レベルアップしました!」
「おめでとうございます。先ほどチラッと言いましたが、レベルが上がればあらゆる身体能力が上昇する、と言われていますが……どうですか?自分で分かりますか?」
「いえ……全く。全く変わったような気がしません」
全く自分じゃ分からない。どこか変わったような気がする?と聞かれると、いいえ!ってはっきり答えちゃうくらい何処も変わってないし、背も伸びてない!
まじめな話、特に筋力が強くなっただとか魔力が強くなったとかって感覚は全くない。
あれが本当にレベルアップだったのかも分からない。
勘違いだよ、と言われればそうなのかなと思う。そんな状況だ。
「ふむ、しかし私の見た所アーシャ様はほんの少しレベルが上がっていますよ。レベルアップとはダンジョンへの順応だと言う研究者もいます。そして不用意に順応が進みすぎると、ダンジョンに取り込まれて帰ってこれなくなるともね。実際の所、ダンジョン深層の魔力に慣れてしまうと外の環境がつらく感じるケースは沢山報告されています。」
「順応ですか。ダンジョンに慣れるだけならいいと思いますが?」
「慣れるだけならね。深層に慣れきってしまうと、だんだんと地上に帰るのが億劫になり、ダンジョンの中で暮らすと。そうすると行き着く先は廃人であったりだとか、あるいはモンスターのようにダンジョンにはいったものを襲うというケースもあるそうですよ。」
「それはちょっと困ります。私はママとパパの子供をやめる気はないですよ?」
「もちろんです。心配せずとも表層ではそういうことは起こりませんよ」
そうなんだ?じゃあとりあえず心配ないか。
あと、聞いておきたいことはと言えば……
「レベルアップしたら何が強くなったとかっていうのが数字で見られるようになるって聞いたんですけど、どうやったら見られますか?」
「ギルドにもあるはずですが、解析用の水晶があります。でもアーシャ様にはあんまりお勧めしません」
「何でですか?」
「恐らくですが、ギルドの水晶では測定が困難だからです。あそこはある程度ダンジョンに順応した者の順応の数値を測定するように出来ていますから、アーシャ様のように地上で鍛えてあって、ダンジョンにちょこっと行っただけみたいな方の測定にはあまり向いていません。」
「ふーん?そういうものなんですね?」
「そうなのです。初心者のうちは気にしなくっていいってことですよ。どうせ、アーシャ様はこれから色んな魔術や武術を覚えますから。今のうちに測定しても特にメリットはありませんよ」
「なるほど。」
わかったようなわからないような。
とりあえずギルドに行けばレベルやらスキルやらを測定してもらえるらしい。でも別にやんなくていーよってシエラ先生は言ってる。興味はあるけどそんなの気にするよりもっと頑張って訓練訓練ってことかな。よし、今日もがんばらないと。
「その意気です。本日からは武術の訓練も少しづつ始めましょう。」
「おお!剣とか槍とかですね!」
「そうですが、アーシャ様はハイエルフなので弓をやりたいのかな?と勝手に思っていました。と言っても今のままだと筋力不足で強い弓は引けませんが、子供用の弓で良ければ用意しますよ?」
「弓より剣がいいです。ママと同じように」
「剣もまだ筋力が足りませんので、打ち合いなんかは難しいです。体に過剰な負荷がかかるようなことをした場合、不足した筋力を魔力で補うようになります。短時間ならいいのですが、いつもいつもとなると筋力にも魔力にも負担がかかりすぎて怪我をしたり成長が遅れたりということが起こってきますよ。もっとしっかり体が出来てくれば魔力を筋力を掛け合わせて強大な力に変える事もできますけどね」
「そこはダンジョンのレベルアップで補っちゃダメなの?」
「それは止めておいた方がいいと思いますが。レベルアップするためには今より深層へと行くわけですし、色々と危ないです。無理をせずにゆっくり大きくなるしかないのでは?」
結局そこだ。
私の体は何時までたっても大きく育たない。
ハイエルフって実は損してるんじゃないか!?
「やっぱりそこかあ。ハイエルフってなかなか大きくなれないですよね」
「それは仕方ないことですね。その分寿命が長いし、魔力も豊富なのですから。少なくとも普通の人族よりは遥かに上位種だと言って差し支えないでしょう。それでも効率的な訓練をしないとなかなか強さは手に入りません。魔力の扱いももっと上手になって、魔法だってもっともっと自由に操れるようにならないと」
一朝一夕で強くなるなんて事は土台無理だったのだ。
あきらめてお勉強に戻ろう。
その後は普段どおり座学を行い、続けて外に出て素振りを行った。
素振りのキレが少しよくなったんじゃないかと言われたけど、あんまり自分で差があるような気がしない。
レベルアップの影響か、それともただ単にスライムとテントウムシを撲殺して度胸が付いたから?
わっかんないなあ。
スライムと言えばプリンちゃんだ。
できるだけ積極的に育成しよう。私の体はすぐには大きくならないけれど、スライムは多分ドンドン強くなれる素質がある、とおもう。モンスターは進化するって言うしね。そういえばその辺の事もじっくりと教えてもらいたいなあ。次回の特別レッスンはモンスターについてにしてもらおっと。
それまでに頑張ってプリンちゃんの育成だ!
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
神は激怒した
まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。
めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。
ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m
世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
アタシたち第四救護団!~頭を使う戦場の天使は回復魔法ゼロで駆け抜ける~
夕姫
ファンタジー
怪我して治すのは二流。怪我させないことこそ一流。分かるか?頭を使え!
自称「布団の妖精」ことガチニートのアリス・ミリエル(18)の野望は、一生働かずに寝て暮らすこと。
しかし、その夢は地上最強の母・マリアンヌの物理攻撃(ドア爆破)で粉砕される。
「誕生日おめでとう、今日で子育て終了よ♡」
という慈愛に満ちた宣告と共に、アリスは家から物理的に追い出され、所持金ゼロで庭に放置。野宿回避の道は、嫌々ながらも王宮騎士団に就職することのみ。
安眠と食い扶持のため、不純度MAXの動機で試験会場へと殴り込むが、元々、魔力ゼロで態度も悪い彼女は、騎士団の就職試験にことごとく不合格。
路頭に迷い、空腹の限界で辿り着いたのは、変人ばかりが集まる掃き溜め部署「第四救護団」だった
そして、アリスは屁理屈を使い、なんとか「第四救護団」に採用されることになるのだが……
凝り固まった戦況を打破し、歪んだ常識を打ち砕く、回復魔法ゼロの彼女の衝撃的な「手当て」とは――。
痛みこそが生きている証。最底辺の救護団が世界を揺るがす、痛快医療(?)ファンタジー開幕!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる