深窓の令嬢はダンジョンに狂う ~ハイエルフの姫に転生したけどなかなかダンジョンに行かせてもらえません~

吉都 五日

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1章

シエラ先生の特別レッスン③

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「はい、と言うわけで今日はモンスターについてです。」

「いやったー!待ってましたー!どんどんぱふぱふー!」

「なんですかそれ?」

「ママがやれって言いました。」


ママがやれって言ったんだ。それ以上でもそれ以下でもない。どんどんぱふぱふーにどんな意味があるかは私にもよく分からないけど。とにかくやってみたら面白いからって言われたんだい!


「王妃様には参りますね。まあ、それは置いといて。今日はモンスターについてですよ」

「いやったー!どんどn「それは結構です」……はい。」

「このままでは始められませんのでね。仕方ないですね。」

「ごめんなさい」

「はい。アーシャ様はスライムをテイムしましたが、ダンジョンのモンスターはダンジョン外に連れ出すと凶暴性が抑えられるようです。その後に一部の種族は人間に懐いていうことを聞いてくれることがあります」

「はい。スライムとかヤツホシテントウとかですね?」

「そうです。ユグ裏に出るその2種はこのあたりでは有名ですが、2階層に出現するゴブリンはどうにも言うことを聞かなかったようです。昔、檻に入れて外に運んでみたりだとか、手足を切り落として口を縛って運んだりだとか、薬で眠らせたりだとか、色んな方法で外に連れ出して懐かせようとした人がいるらしいですが、どうやっても懐かずに死んでしまったらしいです。」

「ひええ。手足を……」


なんて乱暴な。私ならそんなことされたら絶対にその相手には懐きたくない。


「暴れて連れて帰れなかったので、仕方なくそうしたみたいですよ。手段はかなり乱暴ですけど、外に出してからはしっかり治癒をして、おいしいご飯をあげてと頑張ったみたいです。でもダメでした。どうやっても何回やってもダメだったようです。それから檻で傷をつけずに試してもだめだったみたいです。ちなみにそのゴブリンをなつかせようとしたのは同じ方ですけどね」

な、なるほど。その人はゴブリンに並々ならぬ愛情でもあったんだろうか。
私なら素直にスライムとかもうちょっとかわいらしいモンスターにしたいなあ。


「ですが、その方がモンスターカードを使えばゴブリンはあっさり懐きました。それはそれで嫌だったようで、すぐに放流してしまいましたが」

「こだわりがあったんですかね?」

「そのようです。虚しくなったとの言葉を書き残しています」

「わかる気がします」


あれこれと色々頑張ったのにダメだった。

それをきわめて簡単に、あっさりと出来てしまう方法があるって言われて、結果だけほいっと渡されてもそりゃ微妙だよね。


「他所のダンジョンですが、スケルトンは懐くどころか外に出したらすぐに消滅しました。アンデットは全般的に無理だと言われていますね。それから有名どころはプチドラゴンでしょうかね。5層にいましたが、頑張ってつれて帰って無事テイムできたそうですよ。ただ、大きくなってミドルドラゴンになってからはほとんどのケースがそれ以上進化しなかったと言われています。」

「ほとんど進化しないんですか?じゃあちょっと微妙?」

「そうですね、ミドルドラゴンで止まった個体はただの大きなトカゲみたいな状態だったらしいです。」

「微妙ですねえ」

「ですね。基本的にはダンジョンのモンスターを捕獲できるのは3層目くらいまでだと言われています。それ以上深層からだと負担が大きすぎて難しいですし、そもそも大型のモンスターは持って帰る事が不可能ですしね。ゴブリンではなく、ドラゴンの手足を切り落とした所で持って帰れるのか?という話です。」

「ドラゴンなら胴体だけでも重そうですねえ。それにひどい虐待です」

「ですね。それだけやられて懐くのかどうか。ただ、何事にも例外があります。それは卵を持って帰って地上で孵化させるパターンです。ドラゴンの卵を持ち帰るとほぼ必ずと言っていいほど懐くようですよ」

「すごい!それはやばいです!ぱないっす!」

「なんですかその言葉遣いは?」

「ギルドにいた若い冒険者さんが……」

「だめです。そんな言葉遣いをしてはいけません。品位が損なわれますよ!」

「はーい。」


カリナもシエラ先生も言葉遣いには厳しいなあ。言ってる内容は大して変わらないと思うんだけどなあ。

とりあえずモンスターを直接持って帰ってきて懐かせるのと、卵から育てるのと、モンスターカードからという方法があることが分かった。一番良さそうなのはカードから?出ないけど。


「一番いいのはモンスターカードからかなあ?」

「そうとも限りませんよ。カードからだと元と同じ進化先のモンスターが出現しますが、それ以上は進化できません。その逆にモンスターをテイムしたり卵から孵した場合は様々な種族へと進化する場合があります。そういう研究をしてみるというのも楽しいものかと思いますよ」

「なるほど!それは楽しそう!」

「あとはダンジョンではなく、外にいるモンスターをテイムするという方法もあります。王妃様のドラゴンはこちらからなのかと思いますが、これはかなり困難です。圧倒的な力の差がないと、モンスターにしても逃げればいい話ですから。壁も天井もない外界ではかなり難しいでしょう」

「つまり圧倒的な力を手にすれば可能ということですね?」

「そうとも言えますが、普通は……いえ、姫なら努力次第で可能でしょう。これからも努力を怠らないようにしてくださいね」

「はーい。」

「では今日もお勉強と訓練ですね」


今日もがんばって修行修行だ。最近は武術の修行には剣の素振りに加えて槍、弓、素手格闘の訓練も加わった。ほとんどが素振りや的に当てたりとかそういう訓練だけだけど。


武術よりは魔術の方が遥かに進んだ授業をしている。

初級魔法は概ね終わり、中級魔法と一部の上級魔法を習っている。上級魔法はまだほんの少しだけなんだけど、発動は成功している。でも、上級以上は規模が大きくなる事がメインで、あんまり威力自体は上がらないケースが多いらしいのだ。例外もあるからなんともいえないけど。

治癒魔法も少しずつ上達している。ナイフで薄く切ったくらいの切り傷は治るようになった。シエラ先生は魔力量で強引に治してるって言ってるけど。強引に治るならそれでいいじゃないか。
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