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2章

研究発表開始

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退屈な開会式のお話が終わって、展示物やテイムされたモンスターを見て回る時間になった。

ショーのように曲芸をさせている姿も見かける。
火の輪くぐりやらお手やらお座りやら。犬みたいだなあ。
ああいう発表の方法はどうなんだと思うけど、戦わせるわけにもいかないし仕方ないのかな。


紙に研究内容を書いて展示しているところにきた。
中には中々興味深いものもある。私がやっているのと似たようなことをやっている人がいるのだ。


人為的に魔犬を3つ頭のケルベロスへと進化させる研究や、ぷちドラゴンはなかなか上位のドラゴンに進化しないが、それを火竜、水竜、木竜、土竜などへと進化させるまでの研究なんかがある。かなりの回数試行しているが、なかなか難しいみたい。

やっぱり食べ物や周囲の環境、マナの濃淡なんかが関係するんじゃないかって考察だ。



「すごいなあ。私もドラゴン育ててみてもいいなあ」

「いいと思うわよ。ぷちドラは魔族領のドラグロアダンジョンでしか出ないけどね」

「そうなの?じゃあ帰りに寄っていこ?」

「だめ。持って帰るのも大変だしね。他にはドラゴンの卵からって手もあるわよ。一つ5000万ゼニーくらいするけど」

「5000万……」


5000万は高すぎ?
あの良さそうな魔道具が一つ30万でかえちゃうのに。
でも、ドラゴンの卵って孵化したら最初に見た人にすごく懐くって言うし、親ドラゴンが守ってる所を横から取りに行かないとゲットできないって言うし、そういうの込みでの値段なんだろうなあ。


「まあ、卵は孵化しないこともあるって言うし、高いお金使って孵化しないってのもきついからぷちドラから育てようって話じゃないかなあ。パパは卵も夢があっていいと思うけどね」

「でも高いよ?」

「卵からじゃないと進化できない種類があるらしいよ。光竜とか闇竜もの上位種である白輝竜とか深淵竜ってドラゴンは卵からと野生のしか確認ができてないよ。あとは古竜だね。あっちは別系統って噂もあるくらいさ。」

「ほほう。白輝竜に深淵竜とそれに古竜ね」


中々カッコイイ名前のドラゴンさんたちじゃないか。

そのうちダンジョンでいっぱいお宝ゲットしてドラゴンちゃん達もお迎えしよう。かっこいいドラゴンちゃん達にいっぱい囲まれちゃうのだ。スラちゃんもいいがドラちゃんも良いではないか。


「ぷちドラゴンちゃんにアーシャちゃんの魔力をたーっぷり注げばいいドラゴンに進化するんじゃないかな?そのうちがんばろうね。」

「たのしみだね!」


やっぱり来てよかった。他の発表者さんたちの展示物もすばらしい

色々見て回っているとパパは他の国の王族の人に捕まっちゃったから私とママはご挨拶だけしてささっと抜け出した。だってさっきの話の長い学長さんだったんだもん。



パパを生贄にして紙で研究内容を展示してあるところに戻る。こっちにあるのはトレントの挿し木についてだ。なんと生きてるトレントをテイムして林檎やみかんの木を挿し木するという実験を行った人がいるらしい。トレント種は元々が木だから、痛覚はかなり鈍いらしい。だけど、鈍いからってこれはちょっと酷いんじゃないかと思った。最初はね。


でもその研究結果はすごいの一言だ
なんと、一本のトレントに林檎と桃とみかんの上に更にブドウを作ることに成功したらしい。しかもトレントなので自分で収穫して持ってきてくれる。

しゅごい!これはしゅごい研究だよ!

これ農家の人は収穫の仕事が一切なくなっちゃうくらいすごい。いや、それはそれで農家の人がすごく困るかもしれないんだけどすごい。しかもトレントなら鳥がつついたり虫がわいたり、サルやら鹿やらの害獣対策もバッチリだ。むしろそれが肥料になるって書いてある。おそろしい。


「これすごいけど消費魔力もすごいみたいよ。アーシャちゃんやママから見たら誤差だけど普通の人は中々きついんじゃないかな」

「そうなんだ?」


そういえば魔力についても書かれている。そんなところさっぱり読んでなかったけど、沢山の魔力水や魔晶石が肥料として必要だったらしい。なるほどなるほど。ちゃんとそういうデメリットも書いてあるとは尊敬できる人だ。えっとお名前は……カムヤン・アポジカ?カムヤーン?


「それはわいの発表でんがな。お嬢ちゃんに気に入ってもらったようで嬉しいでんなあ」

「遅かったじゃない豚」


現れたのは背の高い、でも横幅も大きい温和な顔立ちのおじさんだ。
でもこの魔力の感じは、オークキングさんだ。


「キングさんだよね。お久しぶりです!」

「お嬢ちゃんよー分かったなあ。『纏い』も綺麗にできとるし、だいぶ上達してきたみたいやな」

「そうかな?えへへ。それはそうとこれおじさんの発表なんでしょ?すごいね!」

「せやろ?庭木のトレント同士が喧嘩してな。枝が折れてもまだ戦っとったから、怒った後に縛り上げて林檎の枝をくくりつけたったんや。林檎がなってたらケンカせんやろと思ってな。そしたら案外上手く育って本人も気に入ったみたいやから色々と試したって訳や。別に酷い拷問したわけやないで」

「そうなんだ?べ、別に酷いことする飼い主さんだとか思ってないよ。ホントだよ」

「思ってたやろ。わいかて他人が同じ事しとるの見たらそう思うわ。」

「えへへ。」


そりゃ思ってました。
最初のきっかけはともかく途中からはノリノリでやってたんじゃないだろうか?
うちのスラちゃんたちみたいに偶々実験でできたんじゃないでしょ。1種類じゃなくて2つも3つも同じトレントに植える必要ないもん。


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