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第40話
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熱いだけではなく、歓喜を知らせるように力強く脈打つ感触を身の内に感じ、和彦は声を震わせる。自分ではどうしようもない反応として、食い千切らんばかりに締め付けると、短く息を吐き出した千尋に、繋がった部分を指でなぞられた。
「ねえ、俺の美味い? すげー、締まってる」
緩く腰を揺らされて、内奥の発情しきった襞と粘膜に刺激を与えられる。異物を咥え込んだ苦しさは、あっという間に肉の愉悦へと姿を変えていた。その証拠に、反り返ったまま震える和彦の欲望は、先端からとめどなく透明なしずくを垂らしている。
千尋のてのひらが、微かに震える下腹部へと押し当てられる。慰撫するように優しく撫でられたあと、濡れそぼった欲望を握られ、軽く扱かれる。
「あっ……ん、千、尋っ――」
「いいよ。先生、イッて」
ふとした拍子に呼び方が元に戻ってしまうが、今の和彦に指摘する余裕があるはずもなく、千尋の手の動きに翻弄され、内奥深くを突かれながら絶頂を迎えていた。迸り出た精で自らの下腹部が濡れるのを感じ、頭上の枕を握り締めてのたうつ。
そんな和彦の姿に誘われるように、千尋の刻む律動が力強さを増していく。射精の余韻で淫らな蠕動を繰り返す内奥を、抉るように突き上げ始めた。
若々しくも逞しいものが体の奥深くまで押し入ってくるたびに、意識が舞い上がる。和彦は恥知らずな嬌声を上げ、頭を左右に振る。千尋は息を乱しながら、小さく笑った。
「そうしてると、俺より十歳も年上の男だってこと、忘れそうになる。……可愛い」
和彦は涙が滲んだ目で睨みつけたが、千尋が一瞬切なげな表情となったのを見て、片手を差し伸べる。千尋は素直にしがみついてきた。
「……ほら、お前のほうが十歳下だ。……可愛いな、千尋」
最後の一言が決定的だったらしく、律動が激しくなる。和彦は体を揺さぶられながら、千尋の荒い息遣いを聞いていた。たった今、可愛いなどと言いはしたものの、獣じみたそれは粗野で、何かに追い立てられているかのように切迫感に満ちている。
和彦は茶色の髪に指を絡めようとしたが、唐突に千尋が上体を起こし、同時に内奥からズルリと欲望を引き抜いた。
「あっ……」
次の瞬間、下腹部から胸元にかけて液体を散らされた。千尋が精を迸らせたのだ。
咄嗟に反応できなかった和彦だが、胸元に指先を這わせてから、ふうっと大きく息を吐き出す。あとでシャワーを浴びなければならないようだ。
脱力したように隣に横になった千尋が、呼吸が落ち着いてから、こそっと囁きかけてくる。
「褒めて。中に出さなかったから」
「――……バカ」
まだ体を離しがたいようで、千尋が肩先に唇を押し当ててくる。怒ったふりをして最初は無視していた和彦だが、結局根負けして、手荒く千尋の髪を撫でてやる。すると、汗と精に塗れた和彦の体に抱きついてきた。この瞬間、ふわりと鼻先を掠めたのは、自分のものではない雄の匂いだった。
ズキリと胸の奥が疼き、密かに和彦はうろたえる。一方の千尋は、和彦の耳の裏辺りに鼻を擦りつけるようにして、容赦なく匂いを嗅いでくる。
千尋の匂いを嗅ぐのは平気だが、反対に自分の匂いを嗅がれるのは多少抵抗がある。和彦は身じろごうとしたが、それ以上の力でしがみつかれ、体を離すのは諦めた。
「……お前、犬みたいだ」
「そりゃもう、背中に飼ってるから。――はあっ、いい匂い」
千尋の吐息が耳朶や首筋にかかり、一度は鎮まった情欲がゆっくりと和彦の中で高まっていく。そろそろバスルームに逃げ込もうかなどと考えていると、ふいに千尋に顔を覗き込まれた。
「戻ってくるよね?」
甘えるような口調で問われるが、千尋の表情は真剣そのものだった。和彦はしっかりと頷く。
「当たり前だ」
「和彦はそう言うけどさ、はあっ、心配だから、こっそりあとをつけようかなー」
「怖いことを言うな。仲介役として総和会……というより、お前の祖父が入っているんだ。こじれるようなことにはならない、はずだ」
「……さっきも言ったけど、和彦に関することでは、じいちゃんは――」
「でも、ぼくをあっさり実家に返そうとは思わないだろう。父さんと何かを取引するにしても、ぼくはこちら側にいないといけないんだから」
まだ何か言いたげな様子の千尋だったが、和彦は言わせなかった。
千尋が危惧を口にするたびに、不穏なものを呼び寄せてしまいそうで、和彦自身が怖かったからだ。
「ねえ、俺の美味い? すげー、締まってる」
緩く腰を揺らされて、内奥の発情しきった襞と粘膜に刺激を与えられる。異物を咥え込んだ苦しさは、あっという間に肉の愉悦へと姿を変えていた。その証拠に、反り返ったまま震える和彦の欲望は、先端からとめどなく透明なしずくを垂らしている。
千尋のてのひらが、微かに震える下腹部へと押し当てられる。慰撫するように優しく撫でられたあと、濡れそぼった欲望を握られ、軽く扱かれる。
「あっ……ん、千、尋っ――」
「いいよ。先生、イッて」
ふとした拍子に呼び方が元に戻ってしまうが、今の和彦に指摘する余裕があるはずもなく、千尋の手の動きに翻弄され、内奥深くを突かれながら絶頂を迎えていた。迸り出た精で自らの下腹部が濡れるのを感じ、頭上の枕を握り締めてのたうつ。
そんな和彦の姿に誘われるように、千尋の刻む律動が力強さを増していく。射精の余韻で淫らな蠕動を繰り返す内奥を、抉るように突き上げ始めた。
若々しくも逞しいものが体の奥深くまで押し入ってくるたびに、意識が舞い上がる。和彦は恥知らずな嬌声を上げ、頭を左右に振る。千尋は息を乱しながら、小さく笑った。
「そうしてると、俺より十歳も年上の男だってこと、忘れそうになる。……可愛い」
和彦は涙が滲んだ目で睨みつけたが、千尋が一瞬切なげな表情となったのを見て、片手を差し伸べる。千尋は素直にしがみついてきた。
「……ほら、お前のほうが十歳下だ。……可愛いな、千尋」
最後の一言が決定的だったらしく、律動が激しくなる。和彦は体を揺さぶられながら、千尋の荒い息遣いを聞いていた。たった今、可愛いなどと言いはしたものの、獣じみたそれは粗野で、何かに追い立てられているかのように切迫感に満ちている。
和彦は茶色の髪に指を絡めようとしたが、唐突に千尋が上体を起こし、同時に内奥からズルリと欲望を引き抜いた。
「あっ……」
次の瞬間、下腹部から胸元にかけて液体を散らされた。千尋が精を迸らせたのだ。
咄嗟に反応できなかった和彦だが、胸元に指先を這わせてから、ふうっと大きく息を吐き出す。あとでシャワーを浴びなければならないようだ。
脱力したように隣に横になった千尋が、呼吸が落ち着いてから、こそっと囁きかけてくる。
「褒めて。中に出さなかったから」
「――……バカ」
まだ体を離しがたいようで、千尋が肩先に唇を押し当ててくる。怒ったふりをして最初は無視していた和彦だが、結局根負けして、手荒く千尋の髪を撫でてやる。すると、汗と精に塗れた和彦の体に抱きついてきた。この瞬間、ふわりと鼻先を掠めたのは、自分のものではない雄の匂いだった。
ズキリと胸の奥が疼き、密かに和彦はうろたえる。一方の千尋は、和彦の耳の裏辺りに鼻を擦りつけるようにして、容赦なく匂いを嗅いでくる。
千尋の匂いを嗅ぐのは平気だが、反対に自分の匂いを嗅がれるのは多少抵抗がある。和彦は身じろごうとしたが、それ以上の力でしがみつかれ、体を離すのは諦めた。
「……お前、犬みたいだ」
「そりゃもう、背中に飼ってるから。――はあっ、いい匂い」
千尋の吐息が耳朶や首筋にかかり、一度は鎮まった情欲がゆっくりと和彦の中で高まっていく。そろそろバスルームに逃げ込もうかなどと考えていると、ふいに千尋に顔を覗き込まれた。
「戻ってくるよね?」
甘えるような口調で問われるが、千尋の表情は真剣そのものだった。和彦はしっかりと頷く。
「当たり前だ」
「和彦はそう言うけどさ、はあっ、心配だから、こっそりあとをつけようかなー」
「怖いことを言うな。仲介役として総和会……というより、お前の祖父が入っているんだ。こじれるようなことにはならない、はずだ」
「……さっきも言ったけど、和彦に関することでは、じいちゃんは――」
「でも、ぼくをあっさり実家に返そうとは思わないだろう。父さんと何かを取引するにしても、ぼくはこちら側にいないといけないんだから」
まだ何か言いたげな様子の千尋だったが、和彦は言わせなかった。
千尋が危惧を口にするたびに、不穏なものを呼び寄せてしまいそうで、和彦自身が怖かったからだ。
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