空手馬鹿の俺が転生したら規格外の治癒士になっていた 〜筋力Eのひ弱少年治癒士が高みを目指す!?〜

くまみ

文字の大きさ
20 / 63
前編 空手馬鹿、異世界転生!〜チート発動!?〜

第二十話 知られたくない母の過去

しおりを挟む
 オスカーに引かれ、ノエルは月明かりに照らされた夜道を歩き、一件の大きな店にやってきた。

 そこには「湯屋」と看板に書いてある。

 (湯屋ってもしかして……?)

 オスカーに手を引かれノエルは湯屋の暖簾をくぐると、懐かしい湿った木と湯気の香りに包まれた。

 (やっぱり、銭湯じゃねぇか!この世界にも銭湯があったのか!)ノエルは興奮する。

 「どうしたノエル?ここに来るのは初めてじゃないだろう?……お前好きだっただろ?『湯屋』」

 「お、おう!父ちゃん!俺は銭湯大好きだっ!サウナ、水風呂、生ビール!」

 「銭湯……?おっとノエル、生ビールはまだダメだぞ!お前はまだ未成年だからな!」オスカー満身の笑顔を見せた。

 「父ちゃん、この世界には生ビールがあるのか!!」ノエルは目を輝かせた。

 「おっ、ノエル!お前が成人したら一緒に飲もうなぁ。俺も楽しみだっ!」

 (この父ちゃん、やっぱり最高だ。この人の息子に生まれて良かったぜ……)

 服を脱ぎながら、ノエルは父の鋼のような肉体に目を奪われる。

 「うわぁ父ちゃんのデカい!俺のは……」ノエルはガクンとへこむ。

 「お前なぁ、俺は大人なんだぞ!お前だって俺の子なんだから将来は嫌でもこれくらいに成長するさ」オスカーは堂々と腰に手をやり、豪快に笑った。

 「本当か?父ちゃん、本当だな!!」ノエルははしゃいだ。

 (やっぱりこいつは馬鹿かもしれない……セリアの苦労がわかる……)オスカーは心の中で項垂うなだれつつ、息子と共にサウナの熱気の中に身を投じた。

 「なぁノエル、母さんが昔、騎士団にいたの知ってるか?」

 「父ちゃん、イカルロス様に聞いたよ」

 「二つ名はイカルロス様から聞かなかったのか?」

 「いや、聞いてない」

 「セリアの二つ名は『砲丸のセリア』だったんだ……」オスカーの顔が、堪えきれないというように綻ぶ。

 「『砲丸のセリア?』砲丸って、あの鉄球のことか?治癒士の母ちゃんの二つ名が『砲丸』!?ウハハハハ!ヤバい!ウケる!」

 「そうなんだ、可笑おかしいだろ?それを今でも本人は気にしていてな……」オスカーは汗を拭いながら語り出した。

 「ノエル、治癒士が使える打撃技で『スマッシュ』を知ってるか?」

 「スマッシュ……?」

 「攻撃に特化した技ではなく、あくまでも防御を目的としたものだが、セリアのは一味違う」

 「えっ?何、なに!それで母ちゃんの打撃技がそんなに凄いのか?」

 「杖で相手をぶっ叩く防御技だが、そのスマッシュの威力がすさまじいんだ!」

 「うぉぉぉぉっ!ぶっ叩くのか!!」ノエルは興奮する。

 「迫りくる精霊獣を次々に『砲丸投げのように』吹き飛ばしていく様を見て、当時の騎士団の連中が名前をつけたそうだ。

 「その二つ名を付けた奴、センス最高ー!」

 「セリアは元々、回復魔術の腕は国でもトップクラスだったんだが、あの性格がな……少々勝気っていうか」

 「うんうんわかるわかる……」ノエルの顔がニヤつく。

 「セリアは『コスモス』のようにエレガントな癒やし手』になりたかったようだが、周りがそう見てくれなかったと今でも時々ぼやいているよ……」

 「だがノエル、セリアはその『砲丸』の力で、多くの仲間や街の人たちを守ったんのも事実だ!」

 「誰が何と言おうと、セリアは最高のヒーラーだった」オスカーの言葉に、静かな力がこもる。

 「そうっすね……」ノエルの興奮は心地よい熱に変わっていく。

 オスカーはサウナを出て水風呂に浸かりその後、檜風呂へと移動する。

 「ノエル、お前が冒険者になった事は俺もセリアも喜ばしく思っている」

 「だが、セリアはお前が無茶して危険にさらされないか心配なんだ……」

 「特に最近のお前は危なっかしくてしょうがない。セリアの気持ちも汲んでやれ」

 「うん、わかったよ父ちゃん……」

 「では学校も卒業した事だし明日から鍛錬開始だ。ヒーリング技術と、そうだなお前が望むのなら剣術も教えてやる!いいな?」

 「マジかよ、父ちゃん!頼むっす!」ノエルは湯気の中で勢いよく立ち上がった。

 そな瞳には、母、セリアのように「戦う治癒士」としての決意が宿っていた。


<あとがき>
読者の皆様におかれまして、いつもご精読ありがとうございます。
おかげさまで、第二十話を迎えることができました。
小学校を無事に?卒業したノエルはいよいよ強くなるために「鍛錬」という名の修行に移行していきます。もちろん一筋縄ではいきませんが面白おかしく、持ち前の図太さで乗り越えていきます。

いいねやお気に入り登録などいつもありがとうございます。大変励みになっております。

今後とも、「空手馬鹿の俺が転生したら規格外の治癒士になっていた」をどうぞよろしくお願い申し上げます。

くまみ

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

弱いままの冒険者〜チートスキル持ちなのに使えるのはパーティーメンバーのみ?〜

秋元智也
ファンタジー
友人を庇った事からクラスではイジメの対象にされてしまう。 そんなある日、いきなり異世界へと召喚されてしまった。 クラス全員が一緒に召喚されるなんて悪夢としか思えなかった。 こんな嫌な連中と異世界なんて行きたく無い。 そう強く念じると、どこからか神の声が聞こえてきた。 そして、そこには自分とは全く別の姿の自分がいたのだった。 レベルは低いままだったが、あげればいい。 そう思っていたのに……。 一向に上がらない!? それどころか、見た目はどう見ても女の子? 果たして、この世界で生きていけるのだろうか?

転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚

熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。 しかし職業は最強!? 自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!? ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

転生したら『塔』の主になった。ポイントでガチャ回してフロア増やしたら、いつの間にか世界最強のダンジョンになってた

季未
ファンタジー
【書き溜めがなくなるまで高頻度更新!♡٩( 'ω' )و】 気がつくとダンジョンコア(石)になっていた。 手持ちの資源はわずか。迫りくる野生の魔物やコアを狙う冒険者たち。 頼れるのは怪しげな「魔物ガチャ」だけ!? 傷ついた少女・リナを保護したことをきっかけにダンジョンは急速に進化を始める。 罠を張り巡らせた塔を建築し、資源を集め、強力な魔物をガチャで召喚! 人間と魔族、どこの勢力にも属さない独立した「最強のダンジョン」が今、産声を上げる!

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

八百万の神から祝福をもらいました!この力で異世界を生きていきます!

トリガー
ファンタジー
神様のミスで死んでしまったリオ。 女神から代償に八百万の神の祝福をもらった。 転生した異世界で無双する。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

処理中です...