空手馬鹿の俺が転生したら規格外の治癒士になっていた 〜筋力Eのひ弱少年治癒士が高みを目指す!?〜

くまみ

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前編 空手馬鹿、異世界転生!〜チート発動!?〜

第二十一話 念願の鍛錬開始

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 「ノエル、朝だぞ起きろ!」オスカーがノエルの部屋の窓を開け、陽の光を室内に引き入れる。

 小鳥がさえずる清々しい朝だ。

 「父ちゃん、俺はもう学校も卒業したし、朝早く起きなくたっていいんだよ……ムニャムニャ……」

 「ノエル、今日から鍛錬だって、昨日言っただろう?」

 「あっ、そうだった……だけどこんなに朝早くからやるの?」ノエルは眠い目をこすりながらのろのろとベッドから起きた。

 「ノエル、さっさと着替えろ!」

 「ふぁーい父ちゃん……」ノエルは欠伸あくびをしながら返事をする。

 着替えを済ませ、ノエルは一階に降りると準備を整えたオスカーが待っていた。

 「よしノエル、ランニングに行くぞ!セリアちょっと行ってくるから!」

 オスカーに急かされ、ノエルは駆け足で家を飛び出した。

 「……だからどうして治癒士の鍛錬がランニングから始まるのよ……」セリアは二人が出て行った扉を見つめて呆れたように呟いた。

 朝日が昇り清々しい微風が吹く中、オスカーとノエルは街中を走る。

 「ノエル、どうだっ!走るって気持ちいいだろう!ハァハァ……」

 「ウッス!ただ父ちゃん、俺疲れてきた……あっ」**ドタン!**

 足がもつれ、ノエルは派手に転んでしまった。

 「痛ぇ……」

 「大丈夫か?膝をりむいたな……『ヒール!』」

 オスカーの手の平から温かい黄色い光が放たれ、ノエルの膝を包む。すると、擦り傷はあっと言う間に消えてしまった。

 「すげぇなぁ、回復魔法って……」ノエルは目を丸くした。

 「お前も直ぐに使えるようになるさ。さて、ここからは歩いて帰ろう」

 「すまねぇ父ちゃん、俺が弱っちくて……」情けなさに小声で漏らすノエル。

 そんなノエルにオスカーは優しく返した。

 「ノエル、別にお前が悪い訳じゃないだろう?生まれ持った資質の問題なんだからさ」

 「そりゃそうだけど……俺はこんな弱い自分は嫌だ!」

 「ノエル、『千里の道も一歩からだぞ』」

 (俺もこの格言は空手の指導でよく使っていたっけ……)

 不思議なことに、この世界の言葉や価値観は、前の世界と共通する事が多い。ノエルは違和感なくそれを受け入れている自分に驚いた。

 ***

 「一、ニ、三、四、五……あぁ、もう駄目だ……ハァハァハァハァ……情けねー」

 ノエルはランニングから戻り、裏庭で腕立て伏せに挑んだが、わずか五回で芝生に突っ伏した。

 「まぁ最初はそんなもんだろ……次は腹筋、それからスクワットだ!」

 「ウッス!父ちゃん!よし次は腹筋だ!一、ニ、あっ、あれ?起き上がれない……」

 「まぁ最初はそんなものだ……」(こいつは本当に貧弱だな……俺はもう少し出来たんだが……)オスカーは苦笑いしながら、情けなくバタつくノエルに手を差し述べた。

 「だから治癒士の鍛錬がどうして筋トレなのよ……」

 オスカーは鋭い視線を感じ、振り向くと、裏庭のドア越しにセリアが鬼の形相で立っていた。

 「セ、セリア……これはだな……」

 「ふん!この筋肉馬鹿親子!」セリアは捨て台詞を残し家の中に戻って行った。

 「父ちゃん、母ちゃんってやっぱり怖ぇなぁ……」

 「あぁ、ノエル……女には気をつけろよ……」

 ***

 「じゃあ気を取り直して、今度は素振りをしてみよう!」

 オスカーは嬉しそうに木刀を二本持ってくると、ノエルの目が輝いた。

 「これこれ、やっと武器が持てた!これぞRPG!」

 「ノエル、また訳がわからないことを……いいか、まずは上段の構えだ。俺の真似してみろ、一、ニ……」

 「あなた!急患が入ったわ!手伝って!急いで!」セリアの鋭い声が裏庭に響いた。

 「ん?わかった、今行くよ」ノエル、自習だ。自分で考えて好きなトレーニングをやってみなさい」

 オスカーは慌ただしく治療院へ去ってしまった。

 「自習か……。よし素振りしてみるか?」

 「いや、やっぱり俺は武術士になりたいし、じゃあ正拳突き十回!一、ニ、三、四……ハァハァ……もう駄目だ……」

 ノエルは自分の体力のなさを痛感した。

 「じゃあ次は魔法だ!『ヒール!』」ノエルは地面に向けて手の平を広げ、呪文を唱えた。

 一瞬手の平が黄色く光が灯ったが、すぐに霧散してしまう。

 「俺、本当に治癒士の資質あるのか?」

 「……あっ、そうだ、実際に見に行ってみよう!丁度、父ちゃんと母ちゃんが急患の治療中だ」

 本物の治癒士が、どうやって魔法を使うのかを見学するために、自宅の一角にある治療院の扉へ向かった。

 「な、なんだなんだ!中で何が起こっているんだ!」

 治療院の扉の奥からは誰かの苦しげなうめき声が聞こえていた。
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