空手馬鹿の俺が転生したら規格外の治癒士になっていた 〜筋力Eのひ弱少年治癒士が高みを目指す!?〜

くまみ

文字の大きさ
52 / 63
後編 ヒールが使えない治癒士〜ついに魔力覚醒!?〜

第四十九話 治癒士の役割

しおりを挟む
 前衛をサリーサとライオス。後衛にマリーベルとノエルの位置に着き、正面にはマウスキングが君臨する。

 「いい、みんな!マウスキングは確かに強い。でも、連携を組めばきっと勝てるわ!」マリーベルが冷静に指揮を執る。
 
 「ノエル......あなたは絶対に前に出ないで。足手まといになるからね」

 「えっ?俺は足手まといになんてならないぞ!今までだってちゃんと戦えたし」

 「ノエル!あなたは治癒士なのよ!仲間の回復に専念して......」

 マリーベルは真剣な眼差しに、ノエルは言葉を吞み込んだ。

 「わかったよ......」(そんな目で見つめんなよ。でも俺、今までヒールとかって成功したことないぞ......?)

 単体とはいえ、ボスたる風格を漂わせるマウスキングを前に、一堂に緊張が走る。

 「まだよ......攻撃のタイミングは私が出すわ!」マリーベルは魔法の杖を握り締め、慎重に敵の隙を見極める。

 「チュゥゥゥ......」マウスキングも威嚇はするが、すぐには攻撃を仕掛けてこない。

 両者、睨み合いが続く。

 「こいつ......なにか考えている......」

 マリーベルが呟いた瞬間、その静寂をライオスが破った。

 「よっしゃぁぁぁ!行くぞぉぉぉ......!」緊張に耐えかねたライオスは飛び出した。

 「ライオス君!まだ駄目よ!!」


 「うぉりゃぁぁぁ!」ライオスは大剣を大きく振りかぶり、マウスキングの正面から斬りかかった。

 「もう!......ファイアーボール!」マリーベルの援護射撃がマウスキングの顔面を捉える。

 **ドッカーン!** 爆煙の仲、ライオスの大剣がマウスキングの頭頂部を叩き、さらにサリーサが嵐のように踏み込んだ。

 「三連斬!」サリーサの鋭い連撃がマウスキングに深手を負わせ、鮮血が舞う。

 「チュゥゥゥ......」深手を負うも、未だに威嚇をやめないマウスキング。

 「サリーサ!とどめよ!」

 「とどめは俺が!女子は下がってろ!!」功を焦ったライオスが再びマウスキング目掛けて突っ込んだ。

 「うぉりゃぁぁぁ!」

 ライオスは大剣を大きく振りかぶったその時、マウスキングの赤い目が怪しく光る。

 ***ドドドドド......***

 地面が激しく揺れ、地中から無数のモルマウス、ベアマウスが湧き出してきた。

 「危ない!!」マリーベルが叫ぶ。

 「うぁぁぁぁ......!」突進したライオスを、ネズミの群れが包囲する。鋭い爪と前歯がライオスの体を容赦なく引き裂いた。

 「ファイアースプレッド!」「三連斬!」マリーベルとサリーサが必死に援護するが、ネズミたちは数の力で圧倒、ライオスを飲み込んだ。

 「ダメ!追いつかない!このままじゃライオス君が死んじゃう!!」

 「うぉぉぉぉ......!ライオス!」ノエルの全身を鮮やかな緑色のオーラが包み込んだ。

 「どけぇぇぇ!」ノエルは両腕を振り回し、ライオスに群がるネズミを一瞬で跳ね飛ばす。

 跳ね飛ばされたネズミたちはエーテルクリスタルへと姿を変えた。

 「ラ、ライオス!しっかりしろ!......」ライオスのからだはネズミの爪や噛み傷でボロボロとなり全身の至る所から血を流していた。

 「ノ、ノエル......すまない......」**バタン......** ライオスは力なく気を失った。

 「ラ、ライオス!今助ける!ヒール......!」ノエルは右手をかざし、呪文を唱えた。

 ノエルの右手は一瞬、強く輝いたがすぐに霧散する。

 「なんでだよ!なんで俺は治癒士なのにヒールが使えねぇんだよ!ここで使えなきゃ、意味ねぇだろが!」

 **『......緊急事態だね。仕方ない、ここは僕に任せて......。ノエル、体を借りるよ』**

 「またお前か!?誰だ!!」ノエルは叫ぶ。

 **『時間がないから問答無用......』**

 「あっ!......」ノエルはそのまま気を失い、ライオスの傍らに倒れ込んだ。

 「ノエルゥゥゥ......!」二人の悲鳴が、冷たい地下空洞に響き渡るのだった。 
 
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

弱いままの冒険者〜チートスキル持ちなのに使えるのはパーティーメンバーのみ?〜

秋元智也
ファンタジー
友人を庇った事からクラスではイジメの対象にされてしまう。 そんなある日、いきなり異世界へと召喚されてしまった。 クラス全員が一緒に召喚されるなんて悪夢としか思えなかった。 こんな嫌な連中と異世界なんて行きたく無い。 そう強く念じると、どこからか神の声が聞こえてきた。 そして、そこには自分とは全く別の姿の自分がいたのだった。 レベルは低いままだったが、あげればいい。 そう思っていたのに……。 一向に上がらない!? それどころか、見た目はどう見ても女の子? 果たして、この世界で生きていけるのだろうか?

転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚

熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。 しかし職業は最強!? 自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!? ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

転生したら『塔』の主になった。ポイントでガチャ回してフロア増やしたら、いつの間にか世界最強のダンジョンになってた

季未
ファンタジー
【書き溜めがなくなるまで高頻度更新!♡٩( 'ω' )و】 気がつくとダンジョンコア(石)になっていた。 手持ちの資源はわずか。迫りくる野生の魔物やコアを狙う冒険者たち。 頼れるのは怪しげな「魔物ガチャ」だけ!? 傷ついた少女・リナを保護したことをきっかけにダンジョンは急速に進化を始める。 罠を張り巡らせた塔を建築し、資源を集め、強力な魔物をガチャで召喚! 人間と魔族、どこの勢力にも属さない独立した「最強のダンジョン」が今、産声を上げる!

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

八百万の神から祝福をもらいました!この力で異世界を生きていきます!

トリガー
ファンタジー
神様のミスで死んでしまったリオ。 女神から代償に八百万の神の祝福をもらった。 転生した異世界で無双する。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

処理中です...