空手馬鹿の俺が転生したら規格外の治癒士になっていた 〜筋力Eのひ弱少年治癒士が高みを目指す!?〜

くまみ

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後編 ヒールが使えない治癒士〜ついに魔力覚醒!?〜

第三十九話 緊急依頼

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 ***翌日の朝***

 「遅いわね、サリーサが遅れるなんて珍しいわ……」マリーベルは懐から懐中時計を取り出し、時刻を確認した。

 (確かに、サリーサは遅刻するイメージがないよなぁ……)と、ノエルも首を傾げた。

 「み、みんな……お、おはよう……」サリーサが前屈みで、今にも倒れそうになりながらギルド前にやってきた。

 「サ、サリーサ!ど、どうしたの??あなた、体大丈夫??」

 「だ、大丈夫よ……ただ全身が筋肉痛……体が重くて……」

 (うわぁ、タミルさんのしごきのせいだなぁ。やっぱりタミルさんはドSで間違えない……)ノエルは顔をゆがめた。

 「サリーサ、今日はクエストやめておく?」

 「えっ?だ、大丈夫!鍛錬の翌日にクエストを欠席したらタミルさんが鬼へ変身してしまうわ!!」サリーサが青ざめた。

 「そ、そうね……じゃあとりあえずギルドに入りましょうか」マリーベルも顔を引き攣らせギルドの扉を開けた。

 「いらっしゃいませ!あらぁ、マリーベルにノエル君、今日もクエストね!偉いわぁ!」タミルはいつもの笑顔で迎えてくれたが、サリーサを見るなり目を細めた。

 「あらぁサリーサ!何だか体が辛そうねぇ……大丈夫?」

 「タ、タミルさん……だ、大丈夫です……」

 「そうよねぇ。あのくらいで根を上げていたら次はないものね!筋肉痛なんて動けば治から大丈夫ね!」タミルはニコッと微笑んた。

 (出たっ!タミルさんのデビルスマイル!!)ノエルは下を向き顔を引き攣らせた。

 **タッタッタッタッタ**  そこへ、階段を激しく駆け降りる音がする。

 「タミル!タミル!」

 「局長、どうかなさったのですか?」

 「緊急招集だ!中央広場の下水道に『精霊獣モルマウスが大量発生した!ただちに討伐依頼を出してくれ!」

 「あら、それは大変だわ!でも今日は冒険者がまだ来ていなくて……」

 タミルが、ふとノエルたちに視線を向けた。

 「精霊獣モルマウスなら、あなたたちでも大丈夫よね?ちょうど初球クエストの対象だし!」

 「タ、タミル……でも、私とサリーサはそのクエスト以前失敗したんだけど……汗」

 「あら、なら尚更いいじゃない!リベンジよ!リベンジ!」

 ***

 一行は渋々、街の中央広場に向かって歩く。

 「……私……このクエストだけは気が乗らないのよね。しかも大量発生って最低だわ」

 サリーサが呟くと、マリーベルも同調した。

 「私もよ……。でも緊急依頼なら仕方ないわ……」

 「なんでそんなに嫌がるんすか?」

 「ノエル……モルマウスよ?嫌に決まってるじゃない!」

 (モルマウスって、モルモットとネズミの合いの子みたいなやつかな?いや、モルモットはネズミの一種だし……一体どんな精霊獣なんだろう……)

 ノエルは空想を膨らましながら、トボトボと足取り重く歩く二人の後を追った。

 「それでサリーサ、今日は弓矢は持って来なかったの?」

 「それがマリーベル、タミルさんは弓矢を扱う前に基礎体力が必要だって……昨日はひたすら走り込みと、筋トレ、ゴムの弓引き……汗」

 「えっ?そ、そうだったのね……汗」マリーベルの顔が引き攣った。

 (やっぱりタミルさんは体育会系ドSだ……)ノエルは黙ってサリーサの話を聞いた。

 ***

 広場に到着すると、噴水の周囲には数人の自警団員が集まっていた。

 「ノ、ノエル!」

 「ライオス、なんでここにいるんすか?

 「俺は自警団員としてモルマウスを退治しに来たんだ!お前はこそ、なんでここにいるんだよ!」

 「俺はギルドの緊急依頼でここに来たんっす!……ライオスこそ、まだ冒険者登録もしていないのに、なんで自警団に混じってるんだ?」

 ノエルは率直に尋ねると、ライオスは顔を真っ赤にして怒鳴った。

 「お前には関係ねぇ!」

 ライオスの声は広場に響き渡るの。

 (おっと、ライオスのプライドを傷つけちゃったかなぁ……)

 ノエルは、感情を剥き出しにするライオスの姿を冷静に眺めていた。
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