空手馬鹿の俺が転生したら規格外の治癒士になっていた 〜筋力Eのひ弱少年治癒士が高みを目指す!?〜

くまみ

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後編 ヒールが使えない治癒士〜ついに魔力覚醒!?〜

第四十五話 受付嬢の本性

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 「サリーサ!これ見て......」マリーベルは震える指先で地面を指した。

 「......なんなのこのおびただしい量の血痕は!!」

 「血痕がまだ新しいわ。......サリーサ、先を急ぎましょう!」

 二人は下水道の東側入口から数百メートル付近で、壁に寄りかかり血を流している自警団員を見つけた。

 「ちょっと、大丈夫ですか!」

 マリーベルが駆け寄ると、団員はうつろな目を見開いた。

 「うわぁっ!......き、君たちは?......早く逃げるんだ!この下水道はヤバい!」

 「何があったのですか?他の団員の方は!?」

 「ベアマウスの群れだ......。マウスキングもいた......。他のみんなは......わからない。......食い殺されたかもしれない」
 
 マリーベルとサリーサの背筋が凍り付いた。

 「ノエルたちが危ない......!」二人の声が重なる。

 「行かなきゃ!」

 「ちょっと待って、サリーサ!相手はマウスキングよ!私たちじゃ勝てないわ。一旦戻って助けを......」

 「助けなんていつ来るのよ!待てるわけないでしょ!!」サリーサはマリーベルを遮り叫んだ。

 「......お兄さん、歩けますか?」マリーベルは唇を噛んで団員に肩を貸した。

 「あぁ、なんとか......」

 「このまま外に出てギルドにこのことを知らせてください!」

 「わかった......。君たちはどうするんだ?」

 「仲間が地下の空洞に落ちてしまったんです。救出に行きます」

 「なに?危険だ!君たちも一緒に逃げよう!」

 「駄目なんです......。あいつは、大切な仲間ですから......」サリーサはキッパリと言い切った。

 「あの子たち凄いな......」二人が闇の奥へと足を踏み出すのを、自警団員は見つめるのだった。

 ***

 その後、救助された団員からの報告がギルドに届くと、場内は騒然とした。

 「なんですって!!ベアマウスにマウスキングが出たというの!?」タミルが珍しく声を荒げた。

 「タミル、落ち着け!」

 「局長!そもそも、どうして市街地に精霊獣の上位種が出現するのですか!」

 「それがわからんのだ......。とにかく救出隊を組むように自警団に連絡を......」

 「局長!それでは間に合いません!私が行きます!」

 「救出はギルドの仕事ではない!そもそも、君はただの受付嬢なんだぞ......」

 **ブチッ......!** 「はぁ?テメェ......人の命かかってるんだよ!仕事外とかぬるいこと言ってる場合じゃねぇだろ!」タミルは底冷えするような声で、局長の胸ぐらを掴み上げ壁に叩きつけた。

 タミルの表情からは、慎ましやかな「受付嬢の仮面」は剥がれ落ち、鋭い狩人の眼光が局長を射抜いた。

 彼女は背中に弓を背負い、使い込まれたショートソードを腰に差すと、振り返りもせずにギルドを飛び出した。

 「はぁ......。タミルを止めるのは無理か。......さすがは、アドバンスド・狩人・『狂乱のタミル』だ......。頼んだぞ、タミル」

 「さて、自警団に知らせないと!伝書バト......。いや間に合わん!走るか!」局長も慌ててギルドを飛び出していった。

 ***

 (みんな、無事でいて!)タミルは願う。

 街の通りを疾風のごとき速度で駆け抜けていく、かつての英雄の再来に、気づく者は誰もいなかった。 
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