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後編 ヒールが使えない治癒士〜ついに魔力覚醒!?〜
第四十六話 少年の劣等感
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「ハァハァ……!ノエル!お前いつからそんなに走るのが早くなったんだ!」
「ライオス!いいから黙って走れ、俺について来い!」
「だから、俺に指図するなぁぁぁ!」ライオスの怒号が地下空洞に空虚に響く。
二人の少年の背後では、ベアマウスたちがバタバタと騒がしい足音を立てて追いすがっていた。
ノエルは周囲を見渡し、あえて道幅の狭い小道へと滑り込んだ。
「ノエル!どうしてこんなに狭い道に行くんだよ!行き止まりだったらどうするんだ!」
「......」
「おい、ノエル!何とか言えよ!無視すんな!」
「ライオス!ここで迎え撃つぞ!」
「なに!?」
「チューン!」正面からベアマウスが猛然と突進してくる。
「来やがったな!ネズミども!......あ、あれ?」ライオスは大剣を振りかぶろうとした瞬間、大剣が低い天井の岩に激しく激突した。
「うわぁぁぁ......!しまった、出せねぇ......やられる!」
「側頭蹴り!......からの、溜めの正拳突き!!」ノエルの体が緑色に光った。
ライオスが顔を背けた瞬間、ノエルが横から割り込み、鮮やかな連撃を繰り出した。
打撃を受けたベアマウスは、悲鳴を上げる間もなくエーテルクリスタルへと姿を変え、地面に転がった・
「ノ、ノエル......ふん!ノエルのくせに!だいたい、こんな天井が低かったら俺の大剣が振るるわけねぇだろ!」
「ライオス、いいから構えろ!まだ一匹残ってるぞ!」
「言われなくたってわかってる!うぉりゃぁぁ......!あ、またやっちまった!」ライオスは大剣を大きく振りかぶろうとしては天井に弾かれ、隙だらけになってしまう。
(あぁ、この単細胞!!)
「回し蹴り!」ノエルの足が緑色の光を放った。
右足はしなり、ベアマウスを壁まで吹き飛ばした。二体目もあっけなくエーテルクリスタルへと姿を変えた。
「ふぅ......。追いかけてきたのは二体だけか。やはり統率が取れているな」
「ライオス、ここはまずい。まずは安全な場所を見つけて作戦を考えよう」
「嫌だね。お前の指図は受けねぇよ!俺はここを動かない!!」ライオスは不貞腐れ意固地になった。
「ライオス!!......今、ここには俺とお前しかいないんだぞ!生き延びるために力を合わせなくてどうするんだ!」
「......わかったよ、ノエル。お前に従うのは今回だけだからな」
(しかし、ノエルの体は攻撃をする時にどうして緑色に光るんだ……)ふとライオスは思うのだった。
***
二人は少し開けた、身を隠せる場所に辿り着いた。
「ライオス、ここなら少しの間は大丈夫そうだ。作戦を考えよう」
「......」ライオスは膝を抱え、黙りこんでしまった。
「どうした、ライオス?」
「なんだよ......。ノエル......また俺を馬鹿にする気だろう......」
「馬鹿にする?ライオス、お前どうしてそんなに捻くれてるんだ?」
「捻くれてる?俺がか?俺は思っていることを言ってるだけだ......!お前もみんなも俺のことをあざ笑ってるんだろ!」ライオスは顔を真っ赤にして詰め寄ってきた。
「みんなが馬鹿にするって?お前はアルト家のご子息だろ。恵まれた環境にいて、みんなが羨んでるんじゃないのか」
「違うんだ!......お、俺は......頭が悪い。父上も兄上も、俺のことなんて鼻からあてにしていないんだ」
「そんなことないだろう。学校だってお前の周りにはいつも取り巻きがいたじゃねぇか!」
「あんなの、俺がイカルロスの息子だから寄ってきているだけだ。陰では勉強ができない俺をあざ笑っているのを俺は知っている」
(小学生くらいの頃って、勉強できるかどうかで残酷な序列がつくんだったよな......。そういえば俺も、前世では勉強が出来なくて馬鹿にされたっけ......)ノエルは不意に、前世の記憶を思い出した。
「ライオス、お前には『弱きを助ける』って立派な信念があるじゃねぇか。......って、あれ?だったらどうしてお前は俺を虐めていたの?」
「何言ってるんだノエル!お前は学校では一番強かっただろ!学校での強さは勉強ができることだ!強いやつは虐めてもいいんだよ!」
(理屈は理解できるが、やっぱり無茶苦茶だな......。さて、どうやってこいつの心を開いたらいいんだ......汗)
***
「ライオス......頭なんて、これからいくらでも良くなるぞ。俺が『マル秘勉強のコツ』を教えてやる!」
「......えっ?ノ、ノエル......そ、それは本当か?」
「あぁ本当だ!ただし、ここから生きて抜け出せないと教えられないけどな」
「わ、わかった!ノエル、お前と手を組もう!」ライオスは現金なもので、ノエルの手を取り力強く握りしめた。
(うゎぁ......やっぱりこいつ、単純すぎる。まあ助かったけどな......汗)
(子ども注意を引き付けるには「謎や秘密」をチラつかせるのが一番。空手の師範時代によく使った手だけど、まさか異世界でも役に立つとはな)
漲る闘志を露わにするライオスを見て、ノエルは苦笑うのだった。
「ライオス!いいから黙って走れ、俺について来い!」
「だから、俺に指図するなぁぁぁ!」ライオスの怒号が地下空洞に空虚に響く。
二人の少年の背後では、ベアマウスたちがバタバタと騒がしい足音を立てて追いすがっていた。
ノエルは周囲を見渡し、あえて道幅の狭い小道へと滑り込んだ。
「ノエル!どうしてこんなに狭い道に行くんだよ!行き止まりだったらどうするんだ!」
「......」
「おい、ノエル!何とか言えよ!無視すんな!」
「ライオス!ここで迎え撃つぞ!」
「なに!?」
「チューン!」正面からベアマウスが猛然と突進してくる。
「来やがったな!ネズミども!......あ、あれ?」ライオスは大剣を振りかぶろうとした瞬間、大剣が低い天井の岩に激しく激突した。
「うわぁぁぁ......!しまった、出せねぇ......やられる!」
「側頭蹴り!......からの、溜めの正拳突き!!」ノエルの体が緑色に光った。
ライオスが顔を背けた瞬間、ノエルが横から割り込み、鮮やかな連撃を繰り出した。
打撃を受けたベアマウスは、悲鳴を上げる間もなくエーテルクリスタルへと姿を変え、地面に転がった・
「ノ、ノエル......ふん!ノエルのくせに!だいたい、こんな天井が低かったら俺の大剣が振るるわけねぇだろ!」
「ライオス、いいから構えろ!まだ一匹残ってるぞ!」
「言われなくたってわかってる!うぉりゃぁぁ......!あ、またやっちまった!」ライオスは大剣を大きく振りかぶろうとしては天井に弾かれ、隙だらけになってしまう。
(あぁ、この単細胞!!)
「回し蹴り!」ノエルの足が緑色の光を放った。
右足はしなり、ベアマウスを壁まで吹き飛ばした。二体目もあっけなくエーテルクリスタルへと姿を変えた。
「ふぅ......。追いかけてきたのは二体だけか。やはり統率が取れているな」
「ライオス、ここはまずい。まずは安全な場所を見つけて作戦を考えよう」
「嫌だね。お前の指図は受けねぇよ!俺はここを動かない!!」ライオスは不貞腐れ意固地になった。
「ライオス!!......今、ここには俺とお前しかいないんだぞ!生き延びるために力を合わせなくてどうするんだ!」
「......わかったよ、ノエル。お前に従うのは今回だけだからな」
(しかし、ノエルの体は攻撃をする時にどうして緑色に光るんだ……)ふとライオスは思うのだった。
***
二人は少し開けた、身を隠せる場所に辿り着いた。
「ライオス、ここなら少しの間は大丈夫そうだ。作戦を考えよう」
「......」ライオスは膝を抱え、黙りこんでしまった。
「どうした、ライオス?」
「なんだよ......。ノエル......また俺を馬鹿にする気だろう......」
「馬鹿にする?ライオス、お前どうしてそんなに捻くれてるんだ?」
「捻くれてる?俺がか?俺は思っていることを言ってるだけだ......!お前もみんなも俺のことをあざ笑ってるんだろ!」ライオスは顔を真っ赤にして詰め寄ってきた。
「みんなが馬鹿にするって?お前はアルト家のご子息だろ。恵まれた環境にいて、みんなが羨んでるんじゃないのか」
「違うんだ!......お、俺は......頭が悪い。父上も兄上も、俺のことなんて鼻からあてにしていないんだ」
「そんなことないだろう。学校だってお前の周りにはいつも取り巻きがいたじゃねぇか!」
「あんなの、俺がイカルロスの息子だから寄ってきているだけだ。陰では勉強ができない俺をあざ笑っているのを俺は知っている」
(小学生くらいの頃って、勉強できるかどうかで残酷な序列がつくんだったよな......。そういえば俺も、前世では勉強が出来なくて馬鹿にされたっけ......)ノエルは不意に、前世の記憶を思い出した。
「ライオス、お前には『弱きを助ける』って立派な信念があるじゃねぇか。......って、あれ?だったらどうしてお前は俺を虐めていたの?」
「何言ってるんだノエル!お前は学校では一番強かっただろ!学校での強さは勉強ができることだ!強いやつは虐めてもいいんだよ!」
(理屈は理解できるが、やっぱり無茶苦茶だな......。さて、どうやってこいつの心を開いたらいいんだ......汗)
***
「ライオス......頭なんて、これからいくらでも良くなるぞ。俺が『マル秘勉強のコツ』を教えてやる!」
「......えっ?ノ、ノエル......そ、それは本当か?」
「あぁ本当だ!ただし、ここから生きて抜け出せないと教えられないけどな」
「わ、わかった!ノエル、お前と手を組もう!」ライオスは現金なもので、ノエルの手を取り力強く握りしめた。
(うゎぁ......やっぱりこいつ、単純すぎる。まあ助かったけどな......汗)
(子ども注意を引き付けるには「謎や秘密」をチラつかせるのが一番。空手の師範時代によく使った手だけど、まさか異世界でも役に立つとはな)
漲る闘志を露わにするライオスを見て、ノエルは苦笑うのだった。
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