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4巻
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しおりを挟む1 魔王城の侍女
コンロ型の魔具に載せた鉄瓶からシュンシュンと、お湯が沸く小気味よい音が聞こえます。私は火傷しないよう、取っ手にタオルをかぶせてその鉄瓶を持ち上げました。
鉄瓶の横には、茶葉の入ったポットがあります。すでにお湯で温め済みですよ。
さて、ここからが勝負です。空気を含ませるように、一気にお湯を注がねばならないのですから。集中力が試されます!
……なのに。
「ねぇ、アーリアまだぁ? 待ちくたびれたよ、僕」
その声のせいで、作業を中断させられました。
ソファに寝転がったまま声をかけてきた相手に、私はぴしゃりと言います。
「もうちょっとお待ちくださいってば!」
そうして、集中してポットの中にお湯を入れました。
うん、茶葉がいい感じにジャンピングしております。ポットから、さっそく甘い香りが漂ってきました。
さすが最高級茶葉。香りからして違います!
まさか、こんなところでミンダルク産の最高級茶葉にお目にかかるとは思ってもみませんでしたよ。たまには拉致されてみるものですね……って、これは冗談ですけどね。
さて、茶葉はあと二分ほど蒸らさねばなりませんので、恒例のアレから始めたいと思います。
――私の名前はアーリア・ミルフォード。シュワルゼ国第二王女、ルイーゼ様の第一侍女です。
他称「勇者の婚約者」にして、自称「勇者の教育係」。陰ではなぜか「勇者の調教師」などとも呼ばれております。
さらに最近は、「ティアナ姫の恋敵」なんて称号までいただき……って、長いのでそろそろ端折っていいですかね?
とにかくやたらたくさんの称号がある私ですが、その実体はただの侍女A、つまりモブキャラです。……いえ、モブキャラでした。
魔王に攫われたルイーゼ様を救出してくださった勇者グリード様に、求婚されたあの時までは!
あれ以来、ただの侍女Aに過ぎなかった私の称号が、どんどん増えていったのです。
そしてこのたび、新たな称号が追加されました。
それは――
「アーリア、まだぁ?」
ああ、もう! なんでこの人は、たった三分が待てないのでしょうかね!
「はいはい、ただいまお持ちしますから!」
私は内心舌打ちしつつ、ソファに寝そべりながら催促してくる魔族の幹部――翠ことフォルトゥナートに言いました。
……そうなんです。私は今、「魔王城の侍女」をやってたりします。
正確には、「ヴェルデの侍女」でしょうか?
ただの侍女Aだったのが、とんだ遠くへ来たものです。人間のお城で働いていた日々が、懐かしゅうございます。
……って、まだそんなに経ってないですけどね!
さて、魔族に人質として拉致された私が、なぜこうしてヴェルデに仕えているのか。皆様はとても不思議に思っておられることでしょう。
それには、海より深い深い事情があるのです。
グリード様の目の前でヴェルデに捕まり、空間をナイフで切り裂いたような切れ目に無理やり引きずり込まれた私は、すぐに気を失ってしまいました。
目を覚ました時、私はどこかの居間らしき部屋の床に寝かされて……いえ、転がされている状態でした。
ハッとして身を起こした私の目に飛び込んできたのは、三人の魔族――それも普通の魔族ではなく、強大な力と美しい容貌を持つ魔王直属の部下です。
「幹部」と呼ばれる彼ら。そのうちの二人とは、すでに面識がありました。
一人は群青色の髪と赤い瞳を持つ、青ことジラルディエール。彼は私にこう言いました。
「ようこそ、魔王城へ。勇者の婚約者」――と。
もう一人は、私を拉致してきたヴェルデ。
緑色の髪と赤い瞳を持つ彼はソファに座っていて、首の後ろで指を組み、私を興味深げに眺めておりました。
そしてアズールの隣に立ち、私を見下ろしている女性――それは初めて見る魔族でした。
確か新聞によれば、グリード様に倒されず生き残っている幹部は翠・青・黒の三人。つまり彼女は、黒と呼ばれる幹部に違いありません。
艶やかに波打つ、長い漆黒の髪。肩と二の腕、胸の谷間を大胆に出すデザインのドレスもまた漆黒で、白い肌にぴったりと張りつき、魅惑的なボディラインを浮き彫りにしています。
美しいのは身体だけではありません。細く高い鼻梁にアーモンド型の目、その目を縁取る長い睫毛までもが、まるで第一級の芸術家が作ったかのように完璧な造形をしていました。
完成度としては、ルイーゼ様や第一王女のマリアージュ様より上かもしれません。
けれどその美しさは「女神のようだ」と称されるお二人の可憐で楚々とした美しさとは、まったく異なるものでした。
肌と髪とドレスが織り成すモノトーンの色彩の中で、血のように赤い目と唇だけが際立って鮮やかに見えました。見る者を魅了し、一度捕まったら逃れられないような毒々しさです。
思わずじっと見ていたら、私を好意の欠片もない目で見ていたノワールの赤い唇が、弧を描きました。
「そういえば、私だけ初めて会うのよね。私は魔王グライディオスが三の配下、リュディヴィーヌ。黒と呼ばれているわ」
ノワールは私にそう名乗ってから、隣に立つアズールに尋ねました。
「ねぇ、この子が本当にあの勇者の婚約者なの? こんな魔力もない貧相な子が?」
「ああ。間違いない」
「あの勇者が選ぶくらいだから、よほど高い魔力か、あるいは何か特殊な力の持ち主かと思ったら……。勇者は頭の中身だけじゃなくて、女の趣味も変わってるようね」
貧相で悪うございましたね。けっ。
私は心の中で悪態をつきました。だけどこれまで散々言われてきたことですので、いちいち傷ついたりはしません。
ついこの間も、隣国アルバトロの王女ティアナ様とその侍女たちに言われましたしね。コンチクショー。
ちなみに貧相というのは胸のことじゃなくて、私の容姿全体のことを言われたのだと解釈しております。
「あら? あなた……」
私を見下ろしていたノワールは、何かに気づいたように目を細めてから、ソファに座ったままのヴェルデに言いました。
「フォル、あなたこの子に術をかけたわね? この子から、あなたの魔力を感じるわよ」
「……術?」
魔法をかけられているという自覚などなかったので、私は思わず呟きました。
い、一体何の術を、いつの間にかけられてたんでしょうか?
「ああ、かけたよ?」
ヴェルデは「それが何さ?」とでも言いたげな口調で答えます。
「だって、その子魔力を持ってないだろ? その上耐性も低いようだから、保護しとかないと。この城についたとたんに死なれちゃっても困るじゃない?」
な、なんですと!? 私ってば、魔力がない上に耐性もないんですか?
こんなところで自分の更なる残念仕様を知らされるとは、思いもよりませんでした。
魔力の耐性というのは、魔力に対する抵抗力のようなものです。これはシュワルゼ国の王家専属魔法使いであるファミール様の受け売りですけどね。
耐性の高い人間なら大したダメージを受けない攻撃魔法でも、耐性が低い人間は瀕死のダメージを受けてしまうこともあるとか。
あと、これはあまり知られていない話ですが、耐性の低い者は、強い魔力を持つ者に近づいただけで影響を受けるらしいのです。
魔力に対して過敏すぎるがゆえに、他者の強い魔力に触れただけで、魔法酔いの状態になってしまう……たとえるなら、お酒が飲めない人が、お酒の香りだけで酔うようなものだそうです。酷い時は、卒倒することもあると聞きました。
グリード様のパーティには強い魔力を持つ方が何人もいるので、耐性の低い人間に影響を与えてしまわないよう、普段は魔力をセーブしているそうですよ。
……そして今、私の目の前にいるのは魔族。それも、とりわけ強い魔力を持つ幹部たちです。
もしヴェルデが保護の術とやらをかけてくれていなかったら、とっくに気絶してそのまま天に召されていたかもしれません。怖っ!
「あの勇者の近くにいるのなら、少しは耐性がついているんじゃないの?」
そのノワールの言葉を小バカにしたように、ヴェルデはふっと笑います。
「人間の魔力に対する耐性がついても、人間と魔族の魔力は違うから意味ないよ」
まるで「そんなことも分からないのか?」とでも言いたげな口調でした。ノワールがムッとして、ヴェルデを睨みつけます。
どうもこの二人は、あまり仲が良くないような……
「まぁ、いいじゃないかリュディ。勇者をおびき寄せるための人質なのだから、とりあえず保護しておくべきだろう」
アズールがそう言うと、ノワールが私に視線を戻してにやりと笑います。
「分かったわ。とりあえずは、ね」
その言葉と笑みに、私はぞっとしました。
とりあえず……ってことは、いずれは殺されてしまうのでしょうか?
今度はアズールが、私を見下ろしながら笑みを浮かべました。
「言っておくけど、ここはあの勇者だって簡単には来られない場所だ。強力な結界の中だからね。勇者の手先となる精霊も入ってこられない。前回、魔王城に張られた結界を破壊した時は精霊の力を使ったようだが、今回はそれもできないということだ」
結界の破壊云々はよく分かりませんが、精霊が入ってこられないということは、いつも私を守ってくれている精霊さんたちも、今は傍にいないということで……
そう思ったとたん、急に心細くなってしまいました。
いえ、精霊の守りなんてないのが普通なんですけど、何かと頼りにしていたものですから。ティアナ様やその侍女たちから守ってくれたのも、精霊さんたちですし。
今、私は敵地で完全なる一人ぼっち……
それに、精霊さんたちがいなければ、グリード様は私の現在地を把握できないんじゃ……
い、今頃グリード様の感情が昂って、世界滅亡フラグが立ってないといいんですが! 何せグリード様ときたら、私のことになると我を忘れて、その強大な力を暴走させてしまいかねない人ですからね!
……というか私自身、自分がいるこの場所がどこだか把握してないわけですが。
「ここ、どこですか?」
私は部屋の中をきょろきょろと見回しながら尋ねました。
贅沢な調度品が置かれていて、どこかのお城かお屋敷のように見受けられます。けれど私が勤めているシュワルゼの城が外も中も白を基調とした明るい雰囲気なのに対して、ここは壁が濃い灰色であるせいか、全体的に陰気な感じです。
「だから、魔王城よ」
私の問いに答えたのは、ノワールでした。
「魔王城……」
って、魔王の城ですよね? 魔王って魔族の王ですよね?
私がそんなバカな疑問を抱いてしまったのには、わけがあります。
だって魔王は、グリード様に倒されたはずなのですから。その時に魔王城も、崩壊して跡形もなくなったと聞いています。
……もしかしてアレですか? 勇者物語の二次創作でよくある設定のように、実は勇者が倒したのは偽物で、本物の魔王は生きていた的な……?
ちなみに二次創作では、そこから魔王と勇者のラブストーリーに突入するものがあるそうです。私は読んだことがありませんが、そういうお話にキャッキャする娘さんたちがいるとか。
……まぁ、それは置いといて。
とにかく魔王城と言うからには、ここに魔王がいると解釈していいのでしょうか?
私はそう尋ねようと口を開きかけましたが、ふと嫌な予感を覚えて口を閉じました。
だって考えてみてください。グリード様が倒したのが偽の魔王だったなら、
「魔王は倒されたのでは?」
「実は生きているんだ、ザマミロ」
という感じで済むかもしれません。
でも幹部たちがこの城を「魔王城」と呼ぶのが、死んだ魔王を偲んでのことだったとしたら、
「魔王は倒されたのでは?」
「お前の婚約者にな、コノヤロ」
となるのではないでしょうか?
それは非常に危険な流れです。下手なことを言って魔族たちを怒らせないよう、黙っているのが賢明でしょう。
……だって、私はグリード様と約束したのですから。
グリード様が助けに来てくれるまで、絶対に無事でいると。
私は口を噤んだまま、魔族たちの言葉を待ちます。
「さて、君をここに連れてきたのは先ほども言ったように、勇者をおびき寄せるための人質としてだ」
アズールが愉悦の笑みを浮かべながら言いました。
「あの勇者とまともにやり合おうとすれば、こちらの分が悪いからね。けれど、君が我々の手の内にあれば、彼はどうすることもできないだろう?」
私はぞっとして、身を震わせました。
幹部たちは、グリード様に何をしようとしているのでしょう。……いいえ、彼らの目的など決まっています。魔王を倒したグリード様に復讐すること――つまり殺すことです。
私は床に座ったまま、膝に置いている両手でエプロンをギュッと握りしめました。
私を盾にされたら、グリード様は魔族たちに手が出せないはず。
グリード様は自分自身にも他人にも、ほとんど関心がありません。でも唯一の例外が私であって、私のためなら自分の命なんてあっさり捨ててしまうでしょう。
――って、そんなの嫌ですよ!
何とかしなければ……何ができるか分からないけど、とにかく私のせいでグリード様が命を落とすことだけは避けなければ!
焦った私は、ノワールが次に口にした楽しげな言葉に仰天しました。
「ねぇ、この子、殺さなければいいんでしょ? 腕の一本くらい、失っても死なないわよね。この子の腕を切り落として送ってやったら、あの勇者、どんな顔をするかしら?」
な、何ですと!? グリード様の身を心配している場合じゃありませんでした!
「ああ、それはいいかもね。勇者に対する効果的な脅しになるだろう」
アズールがクスッと笑いながら賛同します。
「……冗談キツイですよ」
私は顔を引きつらせました。
確かに、腕を一本失くしたくらいじゃ死なないかもしれませんよ。
でも、だからって失くしたくはありません! それに送られてきた私の腕を見てグリード様がどんな反応をするのか、想像しただけで恐ろしいです!
「大丈夫。魔法で止血してあげるし、何なら痛みもないようにしてあげよう」
アズールが笑みを浮かべたまま、私の方に一歩踏み出しました。
痛いのも血が出るのも嫌ですが、それ以前に腕を失くすのはゴメンです!
私は、お尻で後ずさりながら叫びました。
「全然大丈夫じゃありません!」
その直後でした。のんびりとした声が、緊迫した空気を破ったのは。
「えー、それ困るよ」
声の主はヴェルデです。彼はソファから立ち上がると、私の方に向かって歩きつつ、場違いなほど明るい声で言いました。
「だって、その子には聞きたいことや話したいことが色々あるんだもん。腕を切り落としたりしたら、気兼ねなく会話できなくなるじゃないか。ダメダメ、腕を取るのはナシ」
それを聞いて、アズールが顔を顰めます。
「フォル」
「そもそも僕が君たちの計画に協力したのは、この子と話をしたいからだって言ったじゃない。それなのに、勝手なことされちゃ困るなぁ」
ヴェルデはそう言いながら私の横に来ると、腰に腕を回し、ひょいっという感じで持ち上げました。
「へ?」
気づいたら私の身体は宙に浮いておりました。
まるで犬猫みたいに、小脇に抱えられていたのです。……って私、人間なんですけど?
「この子は僕が預かるよ。シュワルゼの城で侍女やってたんなら、ちょうどいいや。僕の侍女をやってもらおうかな」
「は?」
いきなり何を言い出すのでしょう、この人は。いや魔族は。こんな状況で、私を侍女にするなんて……
いえ、腕を一本失くすより遥かにマシですが……気のせいでしょうか、「僕の侍女をやってもらおう」が、「僕のペットをやってもらおう」に聞こえたのは。
「フォル、お前こそ勝手なことをするな」
アズールが硬く鋭い声で言いました。その横に立つノワールも、ヴェルデを睨みつけています。
けれどヴェルデはどこ吹く風で、私を抱えたまま可笑しそうに笑いました。
「勝手? 面白いことを言うね、ディエール。最初に言っておいたはずだよ? 僕は君たちがやろうとしていることに興味はないって。手を貸すのはこの子を攫うまでだってこともね。もはや僕の仕事は終わったんだから、後は好きにさせてもらうよ。君たちも、勇者をおびき寄せるなり何なり好きにすればいい。ただし、この子は僕の侍女にする」
「フォルトゥナート!」
「なんだい、ジラルディエール。やるのかい?」
ヴェルデはクスッと笑うと、不意に雰囲気をがらりと変えました。
その表情も佇まいも、何ら変わっていません。けれど纏っている空気が、ナイフみたいに鋭くなったのです。
アズールの顔がこわばりました。どことなく、怯んでいるようにさえ見えます。
「やるなら喜んで相手になるよ。だけどディエール、第二位の君が、第一位である僕に勝てると思う? あまつさえ、勇者によって核の一つを失っている君が?」
その口調は自信に満ち溢れていて、ヴェルデが圧倒的に有利であることを言葉以上に物語っておりました。
そういえば、アズールは以前、グリード様に核のあった足を切断されています。核とは、魔族の本体とも言える魔力の塊のことです。
切られた足は元に戻っていますが、中の核は失われたままのはず。その分アズールの力は落ちているに違いありません。
そして、位。これは『勇者物語』に書かれていることですが、魔王直属の配下である幹部には、序列があるそうです。上の位を持つほど、魔力が強くて実力があるのだとか。
つまり、一位であるというヴェルデは魔王に次ぐ実力者であり、二位のアズールは実力で彼に劣るはずなのです。
これは不戦勝ですかね。私がそう思った時、アズールの横にいたノワールが、ヴェルデを睨みつけながら一歩前に出ました。
「私がいることを忘れていないかしら?」
おおっと、ノワールが、アズールの味方として参戦するということでしょうか?
「おや、君もやるかい? リュディ」
ヴェルデが楽しそうに応じました。
ど、どうなるのでしょうか。さすがの一位でも、二位と三位を同時に相手にするのは大変なんじゃ……
でも、これは私にとってはチャンスかもしれません。もしかしたら、共倒れしてくれるかも……?
私がヴェルデに抱えられたままちょっぴり腹黒いことを考えていると、アズールがノワールとヴェルデの間に入って言いました。
「リュディ、今はやめておこう。勇者に王手をかけた今、我々が同志討ちして無駄に戦力を落とすことは避けたい」
「ちっ。……分かったわ、ディエール」
ノワールはそう言って、渋々引きます。
次にアズールは、ヴェルデに向かって言いました。
「勝手にしろ、フォル。ただし、その女をここから出すなよ」
それを聞いたとたん、ヴェルデは纏っていた殺気を綺麗に消して、にっこり笑います。
「じゃ、決まりだね」
ヴェルデがそう言った直後、不意に私の視界が二重写しのようになって歪みました。
気づけば、私はヴェルデと共に別の部屋にいました。さっきの部屋より少し小さく、調度品の感じも違っています。
どうやらヴェルデが私を抱えたまま、転移の魔法を使ったみたいです。
ヴェルデは私を床に降ろすと、何も言わずに壁にかけられた大きな鏡に向かってすたすたと歩いていき、指先でチョンと触れました。
すると、それまで私とヴェルデを映していた鏡に、アズールたちの姿が映し出されたのです。しかも音声つきで。向こうはさっぱり気づいていない様子で、話を続けていました。
「相変わらず、何を考えているのか分からない奴だ」
アズールが顔を顰めて呟きました。
ため息が交じっているように聞こえたのは、気のせいじゃないと思います。
「ちっ。一位じゃなければ、とっくに抹殺してるのに」
ノワールは私たちがいた場所を睨みつけ、そう吐き捨てました。
やっぱり彼女は、ヴェルデとは気が合わないみたいです。
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