チートを貰えなかった落第勇者の帰還〜俺だけ能力引き継いで現代最強〜

あおぞら

文字の大きさ
28 / 40
第1章 落第勇者の帰還

第27話 落第勇者、文化祭を襲撃される

しおりを挟む
「お嬢様、スフレパンケーキをお持ちしました」
「あ、ありがとうございますっ!」

 優奈さんが目をキラキラ輝かせながらお礼を言ってくれるが、その目はずっとスフレパンケーキに行っている。
 まぁ確かにこのスフレパンケーキ美味そうだもんな。

 清華が作ったスフレパンケーキは普通に店に出せるレベルで見た目も味も良く、パンケーキの大好きな優奈さんならこうなってしまってもしょうがない。
 実際、試食をした男子達は美味すぎておかわりしていたほどだ。

 そして光輝が今学校中を回りながら、このクラスの宣伝をしているのだが、完全に失敗した。
 全く来ないんじゃなく、人が来すぎた。
 廊下には、

「ねぇ、アンタはあの宣伝見てきたの?」
「当たり前よ。あんなイケメンにお願いされたら行くしかないわ」
「それに彼の他にも超絶イケメンがもう1人いたわよね」
「それに超ムキムキの彼! 彼の筋肉は素晴らしいわ!」
「俺も彼の筋肉を見るために来たぞ!」

 大勢の女性と、筋肉を見に来た男性が長蛇の列を作っている。
 メイド目当ての男性客が殆いないので、どうやら1日目は女性を主として行くみたいだ。
 因みにこの学校では文化祭は3日ある。
 
「隼人君! 外見てないで接客をしてくれないかしら?」

 清華が巨大なホットプレートから顔を上げて行ってくる。
 よそ見をしているにも関わらず手が全く止まっていない。
 
「分かりました。いらっしゃいませお嬢様方。お2人で大丈夫ですか?」
「は、はい! お2人で大丈夫です!」
「では此方へどうぞ。テーブルの上にメニュー表がありますので、お決まりになりましたら、お好きな時にお呼びください」
「は、はい! ありがとうございます!」
「決まったかお呼びします!」
「それではお嬢様方、一失礼致します」

 俺は笑顔を浮かべて離れる。
 後ろから先ほど接客した2人の声が聞こえてきた。

「ヤバいわ……微笑も良かったけど、満面の笑みは意識が飛びそうだったわ」
「ほんとそれな。宣伝してた子もめっちゃイケメンだったけど彼もイケメンだったわ……」

 そう言うのは本人の聞こえない所でして欲しいものだ。
 無性にむず痒くなるからな。
 俺が頬が緩まないように意識していると、優奈さんからの視線を感じた。

「……隼人君って人気なんですね」
「そうなんですよ~。ウチの隼人君は光輝君の次に人気ですね。接しやすいですから」
「それはよく分かる気がします」

 何やら優奈さんがクラスの女子と話しているので、余計なことを言うなよと脅――注意しようとしたその時、

「きゃああああああああ!!」
「!?」
「な、何ですか今の悲鳴は!?」

 突然外から女性の悲鳴が聞こえてきた。
 俺は考えるよりも先に異世界と同じ様にクラスを飛び出して【感知】を発動させる。

 明らかに今の悲鳴は何かに恐怖した時に出る物だった。
 異世界では毎日のように聞いていたから分かる。

 俺の頭の中に感知による膨大の情報が入ってくる。
 今回は文化祭と言う行事のため、何時もよりも人が多い。
 そのせいで頭が割れそうなほど痛くなるが歯を食いしばって耐え、何とか感知を終えた。

「……くッ……ゴブリンとオークか……」

 感知の結果はゴブリンが10体とオークが5体、そしてその上位種であるゴブリンキングにオークキングが共に1体ずつ。
 更にゴブリンの最上位種であるゴブリンエンペラーが感知できた。

「チッ……一体どういうことだ……。コイツらが揃ったら異世界でも猛者の部類に入るじゃないか……」

 オークはC級上位の強さを持っており、異世界ではベテランへの登竜門とされていた。
 そしてオークキングはオークよりも圧倒的に強く、冒険者でも単独ではA級冒険者でないと討伐不可能なB級上位。
 しかしここまではまだいい。
 ここまでならこの世界の異能者でも十分に対処可能なレベルだ。
 
 だがゴブリンエンペラーは難しいだろう。
 ゴブリンエンペラーはA級下位の強者で、オークキングとは階級は1つしか違わないが、そこには圧倒的な壁がある。
 このモンスターが相手だと、S級でも下手すれば死んでしまうほどの強敵だ。
 実際に過去にS級冒険者がゴブリンエンペラーに不覚を取って死亡した例もある。

「くそッ……組織は何をしているんだ……こう言うのは事前に気付けない物なのか!?」

 俺がそう悪態をついていた時、電話が掛かってきたので繋ぐと同時に怒鳴る。

「一体組織は何をしているんだ!!」
『耳元で騒ぐな、鬱陶しい! 此方も今丁度感知したばかりなんだ!』
「お前らの所に予知能力者はいないのか!?」

 異世界では予め【予知】のスキルを使って場所や日時をある程度特定していた。

『僕達の組織に所属している予知異能者は場所までしか分からない!』
「その場所が俺たちの学校だったわけか。だが、一体どうして教えてくれていなかったんだ? 俺も組織の一員だぞ」
『そ、それは……』

 電話越しの聞いたことのない声の人間が黙る。
 何かしら理由があるのだろうが、今はその時間は無駄だ。

「もういいから今一体何が起きているのかを話せ。簡潔にな」
『今回のモンスター達は1人の男によって引き起こされたものだ。その男を倒せばモンスターも消えるはずだ』
「…………そうか、もう切るぞ」
『ちょ、少しま――』

 俺は電話を切り、階段を駆け登って屋上へとたどり着いた。
 まず上からモンスターの位置を確認した後、スキルを発動する。

「【身体強化:Ⅵ】」

 その瞬間に全身を赤黒い亀裂が走り、眼は両目とも銀色に変化し、髪が揺蕩う。
 更に体の周りを白銀のオーラが薄く纏われる。
 そして俺の体から強大な威圧が放たれると、気配に敏感なモンスターは俺の存在に気付いたようで動きを止めた。
 これで少しは時間が稼げただろう。

「……ふぅ……」

 大きく1度深呼吸をして気分を落ち着かせる。

 それにしてもこの状態になったのは久し振りだ。
 異世界でもここからはあまり使っていなかった。
 なのでこの体では少々負担が大きいが、そこは我慢するしかなさそうだ。

「よし――行くかッ!」

 俺は屋上からモンスター目掛けて飛び降りた。

 
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる

家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。 召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。 多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。 しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。 何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。

学生学園長の悪役貴族に転生したので破滅フラグ回避がてらに好き勝手に学校を魔改造にしまくったら生徒たちから好かれまくった

竜頭蛇
ファンタジー
俺はある日、何の予兆もなくゲームの悪役貴族──マウント・ボンボンに転生した。 やがて主人公に成敗されて死ぬ破滅エンドになることを思い出した俺は破滅を避けるために自分の学園長兼学生という立場をフル活用することを決意する。 それからやりたい放題しつつ、主人公のヘイトを避けているといつ間にかヒロインと学生たちからの好感度が上がり、グレートティーチャーと化していた。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

主人公に殺されるゲームの中ボスに転生した僕は主人公とは関わらず、自身の闇落ちフラグは叩き折って平穏に勝ち組貴族ライフを満喫したいと思います

リヒト
ファンタジー
 不幸な事故の結果、死んでしまった少年、秋谷和人が転生したのは闇落ちし、ゲームの中ボスとして主人公の前に立ちふさがる貴族の子であるアレス・フォーエンス!?   「いや、本来あるべき未来のために死ぬとかごめんだから」  ゲームの中ボスであり、最終的には主人公によって殺されてしまうキャラに生まれ変わった彼であるが、ゲームのストーリーにおける闇落ちの運命を受け入れず、たとえ本来あるべき未来を捻じ曲げてても自身の未来を変えることを決意する。    何の対策もしなければ闇落ちし、主人公に殺されるという未来が待ち受けているようなキャラではあるが、それさえなければ生まれながらの勝ち組たる権力者にして金持ちたる貴族の子である。  生まれながらにして自分の人生が苦労なく楽しく暮らせることが確定している転生先である。なんとしてでも自身の闇落ちをフラグを折るしかないだろう。  果たしてアレスは自身の闇落ちフラグを折り、自身の未来を変えることが出来るのか!? 「欲張らず、謙虚に……だが、平穏で楽しい最高の暮らしを!」  そして、アレスは自身の望む平穏ライフを手にすることが出来るのか!?    自身の未来を変えようと奮起する少年の異世界転生譚が今始まる!

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...