27 / 40
第1章 落第勇者の帰還
第26話 モンスター事件の犯人
しおりを挟む
今回三人称です。
———————————————————————————————
隼人が文化祭を楽しんでいた頃、『異端の集まり』では龍堂を始めとした代表室に居るS級異能者やそれに準ずるこの組織の最高戦力たちが、皆顔を顰めて偵察班の報告を聞いていた。
「……これは本当なのか?」
龍堂が偵察班のリーダーを務める半蔵に問う。
半蔵は【気配希薄化】と言う異能を所持しており、この組織随一の隠密行動の達人だ。
更にこの組織の代表が今の龍童になった30年前からこの組織に勤めている大ベテランでもある。
そんな半蔵を疑ってしまう程、この情報は信じる事の出来ないものだった。
しかし半蔵の答えは変わらない。
「勿論本当の事です。私が今まで嘘をついたことがありましたか? それに証拠はこの動画や写真があります。偽物かどうかは調べればすぐに分かると思いますが?」
「ぐッ……それはそうだが……」
一瞬で論破された龍童は頭を抱えて唸る。
その姿は誰から見ても哀れに感じるほどの悲壮感に溢れていた。
「まさか隼人君の学校の文化祭でやらかそうとするなんて……」
「でもアイツのいる学校から絶対捕まえてくれるんだからいいじゃない」
そうな楽観的な事を宣うのは、先日隼人にボロクソに負けたS級異能者——三越彩芽。
だがそれは合っているが間違っているとも言える。
その事を龍童が説明する。
「はぁ……彩芽君、確かに隼人君のいる学校だから他の学校よりは被害は出ないだろう。しかし学校は今何をしていると思う?」
「それは勿論文化祭——あっ……」
そこで彩芽は自分の言っていた事の間違いに気付く。
「人が集まる……」
「その通りだ。今回の報告によれば、今まで出現していたモンスター達はある1人の男が元凶らしい」
龍童は半蔵から貰った動画をスクリーンに流しながら話す。
「しかしその男の名前も正確な歳も出身も分かっておらず、何が目的なのか分からないが……」
「明らかに隼人君を狙っていますね」
「凄いな、これだけでよく分かったな。真也は脳筋だと思っていたんだが」
「酷いですね!? これくらい分かりますよ!!」
そう言って憤慨するのは彩芽と同じくS級異能者の風林真也。
彼の異能力は、名前にもある通り【風王】と言う風を操る最上級異能力である。
そしてそんな彼の皆んなの評価は『戦闘以外脳筋』だ。
「全く……幾ら何でも俺を馬鹿にしすぎです」
「……どの口が言うのか」
「お前は黙ってろ、戦闘馬鹿」
「…………あれはしょうがない」
そう言ってふいっと目を逸らすのは、これまたS級異能者の朝桐朱奈。
彼女の異能は【炎姫】。
効果は彩芽と非常に似ており、炎を操ると言うシンプルな能力だが、極度の戦闘狂で戦闘センスは隼人にも迫る勢いだ。
まだ隼人の方が何枚も上手だが。
「喧嘩をしている暇はないぞ。これからどれだけの一般人に被害が出ると思っているんだ。私たちの方針も早く決めないといけないのに」
「うっ……すいません……」
「私もごめん。今やる事じゃなかった」
龍童の言葉にすぐさま謝る2人。
強さで言えば龍童よりも何倍も上だが、龍童の【カリスマ】と言う異能力と本人の性格も相まって忠誠度は高い。
龍童は2人を注意した後、先程からずっと黙っていたとある男に話しかけた。
「それで、君はどう思う? 我が組織の頭脳」
「…………はぁ……何でこんな面倒な人を入れたんですか……」
この組織の頭脳——神原宗介隼人の写真を見ながら顔を顰める。
宗介は隼人が入った時いなかったため、隼人の本当の怖さを知らない。
そして怖さを知っている龍童や彩芽は宗介を恐ろしいものを見るかの様に見る。
「彼のことは散々私が言ったじゃない! 彼が入ると言ったら入れるしかないのよ!」
「今回は彩芽君の言う通りだ。彼は君の頭脳を持ってしても予想できない埒外の存在だ。それに優奈君に一目惚れしたらしいからな」
「あの時は驚いたわね。めちゃくちゃグイグイいってたわよ。その時の清華の顔も面白かったし」
「はぁ!? 優奈さんにアプローチしたのか!? だから今優奈さんが居ないのか!? 組織最強をどうして行かせたんだ!? ……いや行かせていた方がいいな」
またもや大きなため息をつき疲れた様に背もたれに身を預ける宗介。
「もしかして……妬いてるの? だって優奈さんに告白して振られているものね?」
彩芽がニヤッと悪い笑みを浮かべる。
その言葉に宗介は顔を赤く染めながら言い返す。
「う、五月蝿い! どうせその隼人って奴も振られるさ! 彼女は今まで何百回と告白されて全部断っているんだからな!」
「んーでも私から見たら優奈さん満更じゃなさそうなのよね。もうRainも交換しているみたいだし、今回の文化祭も彼に誘われたから行くみたいよ? 何でも私に『ぶ、文化祭に何着ていけばいいかな!? 変なの着て行って彼に幻滅されたくないし……』って悩んでいたくらいよ?」
「な、なっ……そんな馬鹿な……」
優奈の声真似をしながら暴露する彩芽と、その言葉を聞いて呆然とする宗介だったが、直ぐに持ち直す。
「く、詳しくは後で聞こう。——それで僕の考えですが、彼が狙われているのは確定でしょう。実際に彼が昏睡から覚めた日と、新種が初めて出現した日は同日です」
「ふむ……だが何故わざわざ文化祭の日を狙うんだ?」
そこが分からないと頭を捻る龍童だが、宗介は何でもないかの様に答える。
「多分確かめたいのでしょう。彼が守れるのかどうかを。自分の大切な人を」
☆☆☆
「見せて貰うぞ。お前が果たして本当に守れるのかどうかをな」
隼人の学校が見える山に陣取る1人の男がそうほくそ笑むが、一瞬にして憤怒に染まる。
「お前が俺にやった様にな……! ——元特級冒険者【人外】……ッッ!!」
———————————————————————————————
隼人が文化祭を楽しんでいた頃、『異端の集まり』では龍堂を始めとした代表室に居るS級異能者やそれに準ずるこの組織の最高戦力たちが、皆顔を顰めて偵察班の報告を聞いていた。
「……これは本当なのか?」
龍堂が偵察班のリーダーを務める半蔵に問う。
半蔵は【気配希薄化】と言う異能を所持しており、この組織随一の隠密行動の達人だ。
更にこの組織の代表が今の龍童になった30年前からこの組織に勤めている大ベテランでもある。
そんな半蔵を疑ってしまう程、この情報は信じる事の出来ないものだった。
しかし半蔵の答えは変わらない。
「勿論本当の事です。私が今まで嘘をついたことがありましたか? それに証拠はこの動画や写真があります。偽物かどうかは調べればすぐに分かると思いますが?」
「ぐッ……それはそうだが……」
一瞬で論破された龍童は頭を抱えて唸る。
その姿は誰から見ても哀れに感じるほどの悲壮感に溢れていた。
「まさか隼人君の学校の文化祭でやらかそうとするなんて……」
「でもアイツのいる学校から絶対捕まえてくれるんだからいいじゃない」
そうな楽観的な事を宣うのは、先日隼人にボロクソに負けたS級異能者——三越彩芽。
だがそれは合っているが間違っているとも言える。
その事を龍童が説明する。
「はぁ……彩芽君、確かに隼人君のいる学校だから他の学校よりは被害は出ないだろう。しかし学校は今何をしていると思う?」
「それは勿論文化祭——あっ……」
そこで彩芽は自分の言っていた事の間違いに気付く。
「人が集まる……」
「その通りだ。今回の報告によれば、今まで出現していたモンスター達はある1人の男が元凶らしい」
龍童は半蔵から貰った動画をスクリーンに流しながら話す。
「しかしその男の名前も正確な歳も出身も分かっておらず、何が目的なのか分からないが……」
「明らかに隼人君を狙っていますね」
「凄いな、これだけでよく分かったな。真也は脳筋だと思っていたんだが」
「酷いですね!? これくらい分かりますよ!!」
そう言って憤慨するのは彩芽と同じくS級異能者の風林真也。
彼の異能力は、名前にもある通り【風王】と言う風を操る最上級異能力である。
そしてそんな彼の皆んなの評価は『戦闘以外脳筋』だ。
「全く……幾ら何でも俺を馬鹿にしすぎです」
「……どの口が言うのか」
「お前は黙ってろ、戦闘馬鹿」
「…………あれはしょうがない」
そう言ってふいっと目を逸らすのは、これまたS級異能者の朝桐朱奈。
彼女の異能は【炎姫】。
効果は彩芽と非常に似ており、炎を操ると言うシンプルな能力だが、極度の戦闘狂で戦闘センスは隼人にも迫る勢いだ。
まだ隼人の方が何枚も上手だが。
「喧嘩をしている暇はないぞ。これからどれだけの一般人に被害が出ると思っているんだ。私たちの方針も早く決めないといけないのに」
「うっ……すいません……」
「私もごめん。今やる事じゃなかった」
龍童の言葉にすぐさま謝る2人。
強さで言えば龍童よりも何倍も上だが、龍童の【カリスマ】と言う異能力と本人の性格も相まって忠誠度は高い。
龍童は2人を注意した後、先程からずっと黙っていたとある男に話しかけた。
「それで、君はどう思う? 我が組織の頭脳」
「…………はぁ……何でこんな面倒な人を入れたんですか……」
この組織の頭脳——神原宗介隼人の写真を見ながら顔を顰める。
宗介は隼人が入った時いなかったため、隼人の本当の怖さを知らない。
そして怖さを知っている龍童や彩芽は宗介を恐ろしいものを見るかの様に見る。
「彼のことは散々私が言ったじゃない! 彼が入ると言ったら入れるしかないのよ!」
「今回は彩芽君の言う通りだ。彼は君の頭脳を持ってしても予想できない埒外の存在だ。それに優奈君に一目惚れしたらしいからな」
「あの時は驚いたわね。めちゃくちゃグイグイいってたわよ。その時の清華の顔も面白かったし」
「はぁ!? 優奈さんにアプローチしたのか!? だから今優奈さんが居ないのか!? 組織最強をどうして行かせたんだ!? ……いや行かせていた方がいいな」
またもや大きなため息をつき疲れた様に背もたれに身を預ける宗介。
「もしかして……妬いてるの? だって優奈さんに告白して振られているものね?」
彩芽がニヤッと悪い笑みを浮かべる。
その言葉に宗介は顔を赤く染めながら言い返す。
「う、五月蝿い! どうせその隼人って奴も振られるさ! 彼女は今まで何百回と告白されて全部断っているんだからな!」
「んーでも私から見たら優奈さん満更じゃなさそうなのよね。もうRainも交換しているみたいだし、今回の文化祭も彼に誘われたから行くみたいよ? 何でも私に『ぶ、文化祭に何着ていけばいいかな!? 変なの着て行って彼に幻滅されたくないし……』って悩んでいたくらいよ?」
「な、なっ……そんな馬鹿な……」
優奈の声真似をしながら暴露する彩芽と、その言葉を聞いて呆然とする宗介だったが、直ぐに持ち直す。
「く、詳しくは後で聞こう。——それで僕の考えですが、彼が狙われているのは確定でしょう。実際に彼が昏睡から覚めた日と、新種が初めて出現した日は同日です」
「ふむ……だが何故わざわざ文化祭の日を狙うんだ?」
そこが分からないと頭を捻る龍童だが、宗介は何でもないかの様に答える。
「多分確かめたいのでしょう。彼が守れるのかどうかを。自分の大切な人を」
☆☆☆
「見せて貰うぞ。お前が果たして本当に守れるのかどうかをな」
隼人の学校が見える山に陣取る1人の男がそうほくそ笑むが、一瞬にして憤怒に染まる。
「お前が俺にやった様にな……! ——元特級冒険者【人外】……ッッ!!」
11
あなたにおすすめの小説
異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる
家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。
召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。
多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。
しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。
何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。
学生学園長の悪役貴族に転生したので破滅フラグ回避がてらに好き勝手に学校を魔改造にしまくったら生徒たちから好かれまくった
竜頭蛇
ファンタジー
俺はある日、何の予兆もなくゲームの悪役貴族──マウント・ボンボンに転生した。
やがて主人公に成敗されて死ぬ破滅エンドになることを思い出した俺は破滅を避けるために自分の学園長兼学生という立場をフル活用することを決意する。
それからやりたい放題しつつ、主人公のヘイトを避けているといつ間にかヒロインと学生たちからの好感度が上がり、グレートティーチャーと化していた。
世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~
aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」
勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......?
お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
異世界で目が覚めたら目の前で俺が死んでました。この世界でオリジナルの俺はとっくに死んでたみたいです
青山喜太
ファンタジー
主人公桜間トオル17歳は家族との旅行中、車の中ではなく突然なんの脈絡もなく遺跡の中で目が覚めてしまう。
混乱する桜間トオルの目の前にいたのは自分と瓜二つ、服装さえ一緒のもう一人の桜間トオルだった。
もう一人の桜間トオルは全身から出血し血を吐きながら、乞う。
「父さんと、母さん……妹をアカリを頼む……!!」
思わず、頷いた桜間トオルはもう一人の自分の最後を看取った。
その時、見知らぬ声が響く。
「私のことがわかるか? 13人の桜間トオル?」
これはただの高校生である桜間トオルが英雄たちとの戦争に巻き込まれていく物語
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます
竹桜
ファンタジー
ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。
そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。
そして、ヒロインは4人いる。
ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。
エンドのルートしては六種類ある。
バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。
残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。
大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。
そして、主人公は不幸にも死んでしまった。
次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。
だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。
主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。
そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる