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夕暮れが川沿いの道をやさしいオレンジ色に照らした。
美貴とタカシはゆっくりと並んで歩いていた。
「はぁ~ビックリしたわね。今夜、眠れるかしら.....夢を見ている気分だわ」
「さっき寝てたじゃないか。大事な話の最中に」
「ね、寝てないわよ! 気を失っただけよ! だって3000万円よ。気後れしちゃうわ」
「ジャックに家を買ってやれる」
「ダメダメ! このお金は使っちゃダメ! ちゃんと真佐希君が成人するまでとっておかなきゃね」
「真佐希君は億単位で金もってるからいらないんじゃないの?」
「ちょっと待ってよ...そんなに簡単に億とか言わないでちょうだい。ついてけないわ...」
美貴は深くため息をついた。
フラつく美貴のそばで、タカシはキョロキョロしていた。
「変だな~、この辺にあるはずなんだけど」
2人は、以前、喬が空から降ってきた小石のようなものが頭に当たり、気を失った場所を歩いていた。
「なーに? 何を探しているの?」
「宇宙船。この辺に着陸したんだけど見当たらないんだよな~...」
「宇宙船なんて、こんなところにあったら大騒ぎよ。どっか違うところにあるんじゃない?」
「いや、そんなはずない。この辺にあるはず...困ったな~、アレがないと帰れないんだよな...どこ行ったんだ?」
タカシが地球に来てもう1ヶ月が過ぎていた。地球の挨拶もマスターしたと捉えたタカシは、レポートも完成させ、そろそろ帰ろうと思っていた。
家に帰ると、喬の母がもんじゃ焼きを作っていた。
「二人とも、おかえり。準備オッケーよ!」
「やった~! もんじゃだ~。コレ食べてホッと一息つきたい!」
ジャンプして美貴は喜んだ。
喬の母も嬉しそうに笑った。
「海鮮もんじゃと親子もんじゃよ」
「親子もんじゃ?」
タカシが不思議な顔で訊いた。
「鶏と卵を使った親子丼のもんじゃバージョンよ。喬が鶏が好きになったっていうからトライしてみたの」
「鶏ぃぃぃ~~~!!」
タカシの耳がピクピクッと動いた。
タカシは早速テーブルに座り、鉄板で親子もんじゃを焼き始めた。
「それはそうと、母さん、オレ達、3000万もらうことになったんだ」
「へ?」
ソファに座って海鮮もんじゃを焼いている母がタカシを見た。
「真佐希君の後見人になることで、ミルさんから3000万円もらうことになったんだ」
「さ、3000万...!?」
母は脱力して白目を剥き、とろけるようにソファから床へ流れ落ちた。
「お義母さん! 大丈夫? しっかりして! お義母さん!」
美貴は駆け寄り、白目の義母を抱きかかえた。
タカシは呆れ顔で2人を見た。
「なんで美貴も母さんも3000万って聞いて寝ちゃうんだよ。催眠効果があんのかな、3000万って。」
タカシはもんじゃを食べた。
「うまっ! うまっ! 激うま!」
耳をパタパタと羽がはばたくように動かした。
母はようやく目を覚まし、落ち着きを取り戻して起き上がった。
「あ~、ビックリし...」
目の前でタカシの耳がパタパタ動いているのが見えた。
「み、耳...み..」
ギョッとして固まった。
「こ、こ、後遺症なの! 頭を打った時の後遺症なの! そのうち良くなるからお義母さん心配しないで!」
美貴は焦って義母に言いながらタカシを見た。タカシはわかめスープを鼻から飲んでいた。
「タカシ!」
美貴の声にタカシはハッとした。
「ははは。母さん、冗談だよ。冗談!」
笑っているタカシの鼻から、わかめがニュルっと出てきた。
「ひっ!」
母は再び白目を剥いてバタッと倒れた。
「お義母さ~ん!!」
美貴の声が響くなか、タカシは嬉しそうな顔で鼻歌を歌いながらもんじゃを食べ続けた。
朝、タカシはベランダで歯磨きをしていた。
「はぁ~、オレの宇宙船どこ行ったかなぁ?」
空を見上げた。
「GPS衛生に信号を送るか」
タカシはスマホの画面に指を置きピンクに光らせた。
画面にゴーグルマップが表示され、青い丸が2つ重なって現れた。1つはタカシの位置で、もう1つは宇宙船の位置だった。
「あれ? 近いぞ」
タカシは地図を拡大した。
「え? すぐ近くにある。え? どゆこと?」
キョロキョロしていると、美貴が部屋から慌てて出てきた。
「遅刻しちゃう! じゃ、行ってきまーす!」
玄関に向かう美貴のバッグにキラッと光る物が目に入った。
「あー!! オレの宇宙船!」
タカシは美貴に駆け寄り、バッグにぶら下がっているキーホルダーをとった。
キノコにキーリングが突き刺さり、キーホルダーにされていた。
「オレの宇宙船じゃないか!」
「なに言ってんの、ただのキノコのキーホルダーでしょ。こんなのが宇宙船なわけないでしょ」
「こんなとこに棒を突き刺して! これがないとオレ、家に帰れないんだよ!」
「こんな小さいキノコを宇宙船だって信じる人は誰もい・ま・せ・ん! じゃーね! 行ってきまーす!」
美貴は急いで家を出た。
バン!と閉まったドアをタカシは茫然と見ていた。
「オレの最新型の宇宙船に棒を突き刺すさんて...信じられない!」
ガラガラガラガラ~~...
手に持っていたコップの水で口をすすぎ、
ゴクッ!と飲んだ。
「あ~、スッキリした!」
ジッと見ていた母がドン引きした。
「おまえ...それ飲んじゃうの?」
会社で稔の様子が変だった。小指を立ててコーヒーを飲んでいた。
「なんで小指を立ててんの? アンテナ?」
タカシは不思議そうな顔で言うと、
「実はアタシ、フランスに駐在することになるかも」
「アタシ...?」
フランスに駐在することよりも稔の言葉遣いにビックリした。
「そう、アタシ。フランスに行くかも」
稔は女性のようなしぐさで横髪を耳にかけた。
「それって、安藤さんからのお誘い?」
「まーね、安藤さんがどうしてもアタシに来てほしいって言うから.....うふふ」
「もしかして、安藤さんのホテルとか行ったの?」
「や、やーね! 何を突然言ってるのかしら」
稔は焦った。
タカシの目がキラリと光った。
「もしかして、股間のブツの見せっことかした?」
「ゴ、ゴホンッ! アタシ、お下品な話は嫌いよ!」
「で、あっさり負けたんだろ」
稔はビックリして口を開けたままタカシを見た。タカシはニヤッとした。
「オレは勝ったぜ!」
これはタカシにとって、母星に持って帰る最大の自慢土産話である。
美貴とタカシはゆっくりと並んで歩いていた。
「はぁ~ビックリしたわね。今夜、眠れるかしら.....夢を見ている気分だわ」
「さっき寝てたじゃないか。大事な話の最中に」
「ね、寝てないわよ! 気を失っただけよ! だって3000万円よ。気後れしちゃうわ」
「ジャックに家を買ってやれる」
「ダメダメ! このお金は使っちゃダメ! ちゃんと真佐希君が成人するまでとっておかなきゃね」
「真佐希君は億単位で金もってるからいらないんじゃないの?」
「ちょっと待ってよ...そんなに簡単に億とか言わないでちょうだい。ついてけないわ...」
美貴は深くため息をついた。
フラつく美貴のそばで、タカシはキョロキョロしていた。
「変だな~、この辺にあるはずなんだけど」
2人は、以前、喬が空から降ってきた小石のようなものが頭に当たり、気を失った場所を歩いていた。
「なーに? 何を探しているの?」
「宇宙船。この辺に着陸したんだけど見当たらないんだよな~...」
「宇宙船なんて、こんなところにあったら大騒ぎよ。どっか違うところにあるんじゃない?」
「いや、そんなはずない。この辺にあるはず...困ったな~、アレがないと帰れないんだよな...どこ行ったんだ?」
タカシが地球に来てもう1ヶ月が過ぎていた。地球の挨拶もマスターしたと捉えたタカシは、レポートも完成させ、そろそろ帰ろうと思っていた。
家に帰ると、喬の母がもんじゃ焼きを作っていた。
「二人とも、おかえり。準備オッケーよ!」
「やった~! もんじゃだ~。コレ食べてホッと一息つきたい!」
ジャンプして美貴は喜んだ。
喬の母も嬉しそうに笑った。
「海鮮もんじゃと親子もんじゃよ」
「親子もんじゃ?」
タカシが不思議な顔で訊いた。
「鶏と卵を使った親子丼のもんじゃバージョンよ。喬が鶏が好きになったっていうからトライしてみたの」
「鶏ぃぃぃ~~~!!」
タカシの耳がピクピクッと動いた。
タカシは早速テーブルに座り、鉄板で親子もんじゃを焼き始めた。
「それはそうと、母さん、オレ達、3000万もらうことになったんだ」
「へ?」
ソファに座って海鮮もんじゃを焼いている母がタカシを見た。
「真佐希君の後見人になることで、ミルさんから3000万円もらうことになったんだ」
「さ、3000万...!?」
母は脱力して白目を剥き、とろけるようにソファから床へ流れ落ちた。
「お義母さん! 大丈夫? しっかりして! お義母さん!」
美貴は駆け寄り、白目の義母を抱きかかえた。
タカシは呆れ顔で2人を見た。
「なんで美貴も母さんも3000万って聞いて寝ちゃうんだよ。催眠効果があんのかな、3000万って。」
タカシはもんじゃを食べた。
「うまっ! うまっ! 激うま!」
耳をパタパタと羽がはばたくように動かした。
母はようやく目を覚まし、落ち着きを取り戻して起き上がった。
「あ~、ビックリし...」
目の前でタカシの耳がパタパタ動いているのが見えた。
「み、耳...み..」
ギョッとして固まった。
「こ、こ、後遺症なの! 頭を打った時の後遺症なの! そのうち良くなるからお義母さん心配しないで!」
美貴は焦って義母に言いながらタカシを見た。タカシはわかめスープを鼻から飲んでいた。
「タカシ!」
美貴の声にタカシはハッとした。
「ははは。母さん、冗談だよ。冗談!」
笑っているタカシの鼻から、わかめがニュルっと出てきた。
「ひっ!」
母は再び白目を剥いてバタッと倒れた。
「お義母さ~ん!!」
美貴の声が響くなか、タカシは嬉しそうな顔で鼻歌を歌いながらもんじゃを食べ続けた。
朝、タカシはベランダで歯磨きをしていた。
「はぁ~、オレの宇宙船どこ行ったかなぁ?」
空を見上げた。
「GPS衛生に信号を送るか」
タカシはスマホの画面に指を置きピンクに光らせた。
画面にゴーグルマップが表示され、青い丸が2つ重なって現れた。1つはタカシの位置で、もう1つは宇宙船の位置だった。
「あれ? 近いぞ」
タカシは地図を拡大した。
「え? すぐ近くにある。え? どゆこと?」
キョロキョロしていると、美貴が部屋から慌てて出てきた。
「遅刻しちゃう! じゃ、行ってきまーす!」
玄関に向かう美貴のバッグにキラッと光る物が目に入った。
「あー!! オレの宇宙船!」
タカシは美貴に駆け寄り、バッグにぶら下がっているキーホルダーをとった。
キノコにキーリングが突き刺さり、キーホルダーにされていた。
「オレの宇宙船じゃないか!」
「なに言ってんの、ただのキノコのキーホルダーでしょ。こんなのが宇宙船なわけないでしょ」
「こんなとこに棒を突き刺して! これがないとオレ、家に帰れないんだよ!」
「こんな小さいキノコを宇宙船だって信じる人は誰もい・ま・せ・ん! じゃーね! 行ってきまーす!」
美貴は急いで家を出た。
バン!と閉まったドアをタカシは茫然と見ていた。
「オレの最新型の宇宙船に棒を突き刺すさんて...信じられない!」
ガラガラガラガラ~~...
手に持っていたコップの水で口をすすぎ、
ゴクッ!と飲んだ。
「あ~、スッキリした!」
ジッと見ていた母がドン引きした。
「おまえ...それ飲んじゃうの?」
会社で稔の様子が変だった。小指を立ててコーヒーを飲んでいた。
「なんで小指を立ててんの? アンテナ?」
タカシは不思議そうな顔で言うと、
「実はアタシ、フランスに駐在することになるかも」
「アタシ...?」
フランスに駐在することよりも稔の言葉遣いにビックリした。
「そう、アタシ。フランスに行くかも」
稔は女性のようなしぐさで横髪を耳にかけた。
「それって、安藤さんからのお誘い?」
「まーね、安藤さんがどうしてもアタシに来てほしいって言うから.....うふふ」
「もしかして、安藤さんのホテルとか行ったの?」
「や、やーね! 何を突然言ってるのかしら」
稔は焦った。
タカシの目がキラリと光った。
「もしかして、股間のブツの見せっことかした?」
「ゴ、ゴホンッ! アタシ、お下品な話は嫌いよ!」
「で、あっさり負けたんだろ」
稔はビックリして口を開けたままタカシを見た。タカシはニヤッとした。
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