夫が宇宙人になりまして...

ハミデタニク・イトヲカシ

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 美貴みきは会社の帰り道だった。週末に真佐希まさきを呼んでもんじゃパーティーをしようと、食材の調達に大型スーパーへ向かっていた。
 スマホが鳴った。真佐希からのメッセージだった。

『相談したいことがあるので、うちに来ていただけませんか?』

「あら、どうしたのかしら?」
 美貴は急いで真佐希の家に向かった。

 タカシが家に帰ると、母が心配そうな顔で寄ってきた。
たかしや、美貴ちゃんがまだ帰ってこないのよ。おまえ、なんか聞いてるかい?」
「いや...」
 タカシはスマホをチェックしたが何も連絡が入っていなかった。
「メッセージを送ったのだけど返事がないのよね.....今までこんなことなかったのに」
 時計を見ると夜8時を回っていた。

 タカシと母は静かに待った。だが、一向に連絡は入らなかった。
 9時になるとタカシはベランダに出て、母に見つからないようスマホの画面に指を当てピンクに輝かせた。
 画面のゴーグルマップが美貴が持っている宇宙船の居場所を知らせた。
 タカシは眉をひそめた。
「なんでこんな所に.....」

 タカシは玄関に行った。
「ちょっと迎えに行ってくる」
「どこにいるのかわかったのかい?」
「ああ、わかった。心配ないから母さんは先に寝てて」
 タカシは家を出た。

 宇宙船の居場所は港近くの倉庫を示していた。
 美貴と真佐希は手と足を縛られ、顔つきの悪いヤクザ風の男達5人とミルの甥夫婦、しげる京子きょうこに囲まれていた。

 男の1人が美貴にナイフを突きつけた。
「さてと、旦那に電話してお金を持ってきてもらおうか」
 別の男が美貴の手の縄を切り、スマホを渡した。
「旦那に、ガキの家に侵入して、銀行のカードを持ってこいと伝えろ」
 美貴はそっぽを向いた。
「ネエちゃん、オレ達は人を殺すのは朝メシ前なんだぜ。なんならガキを撃ってみせようか?」
 さらに別の男が真佐希の頭に拳銃を突き付けた。
「彼はまだ未成年よ! 逃してあげて!」
 美貴は毅然とした態度で文句言った。
「気の強いネエちゃんだな。電話しないの? ならガキを撃つか。しょうがねーな」
 銃を持ってる男はカチリと撃鉄を起こした。

「ちょっと待って! 電話するわ!」
 美貴は焦った。
「やっとその気になってくれたか、嬉しいよ。オレもホントは人殺しとかしたくないんだよ~」
 男は銃口を真佐希のおでこにつけながらニヤニヤした。

 美貴は緊張しながらタカシに電話した。タカシはすぐ電話に出た。
「もしもし、タカシ?」
「呼んだ、美貴?」
 タカシの声が男達の後ろから響いた。

「なんだ?」
 全員が振り向くと、タカシが歩いてこっちへ向かって来ていた。
「誰だ、てめぇ!?」
「美貴の夫のタカシです~」
 タカシはニコニコ顔で言った。

 茂が銃を向けて叫んだ。
「どうしてここがわかった!?」
「いや、普通にゴーグルマップに表示されてたし」

「ふん! おまえがこの女の旦那か!」
 男達のリーダー格が言った。
「ふん! おまえがゴリラっていう動物か!」
 タカシは同じ口調で返した。

「そいつを殺さない程度にボコッてやれ!」
 リーダーが言うと、手下4人がタカシを囲んだ。
「ニイちゃん、せっかくここまで来てくれたのに悪いな」
 4人がニヤニヤして近付くと、突然、男達が固まり、1秒後にバタバタ倒れだした。

「なんだぁ? 何があった!?」
 リーダーの銃を持つ手が震えた。

 タカシは何事もなかったようにニコニコしながら美貴達に向かって歩いて来た。

「こ、このぉっ!!」
 リーダーがタカシに向かって発砲した。タカシはサッと弾をよけた。茂も発砲した。リーダーと茂が次々と撃ったが、タカシはブレイクダンスを踊っているかのようにおちゃらけながら弾をよけた。

「当たるわけないだろ。そんなおもちゃ。どんだけ古いんだよ!」
 パーン! パーン! パーン! 倉庫に発砲音が響いた。
 何発撃ってもタカシは全部弾をかわした。その間に美貴は真佐希の手足の縄を解いてやり、自分の足の縄も解いたが、京子にロープを引っ張られた。

 リーダーの弾が切れた。タカシは全くの無傷だった。リーダーも茂もおののき始めた。
「なんなんだ..てめぇ化け物か...」
「失礼だな! オレはただの地球外生命体だ! 化け物っていうな! んじゃ、こっちからいくぞ」
 タカシは高くジャンプして宙返りしながらリーダーがいる方へいった。着地した途端に片手で往復ビンタをした。左右、上下、左右、上下と、タカシがおちょくりながらリーダーを痛めつけている間に、茂と京子は美貴と真佐希を連れて逃げた。
 茂と京子はそれぞれ銃を持っており、美貴と真佐希に銃を突きつけていたので美貴は声を出せなかった。

「あん..あん...ああん...」
 リーダーが頬をパンパン打たれ、うっとりした目で倒れた。
「いっちょ上がり~」
 タカシがリーダーを片付けた頃には、美貴と真佐希はもういなかった。
「しまった!」
 タカシは急いで後を追った。

 茂と京子は広い倉庫の中を美貴と真佐希の手を引いて走って逃げていた。

「美貴ぃぃぃ!!」
 叫びながら、タカシがものすごい速さで追ってきた。
 茂はドラム缶を見つけた。
「よし、こっちだ!」
 ドラム缶が並んでいる後ろへ美貴と真佐希を隠れさせた。
「声を出したらすぐに撃つからな!」
 茂は美貴に銃を突きつけ、京子は真佐希に突きつけた。

 タカシが追いついた。
「美貴! 真佐希君! どこだ? 美貴ぃぃっ!」

 4人はドラム缶の後ろで息をひそめながら隠れていた。
 タカシはキョロキョロしたが、気づかずそのまま去って行った。

「美貴ぃ!」
 タカシの声が遠くなると、茂が3人をドラム缶の後ろから出てくるよう指示し、さっきの5人がいる場所へ戻った。
 5人は一人ずつ鉄柱に縄でグルグル巻きにされ、全員気絶していた。
 鉄柱は小細工されており、5人の足元から導火線が出ていた。導火線は長く続き、その先をみると火が付いていた。
「クソっ! どうなってんだ! 爆発する! すぐここを出るぞ!」
 茂は外への出口を目指した。

「美貴ぃ!」
 タカシの声が聞こえた。
「あんた! あいつが来るよ」
 京子が急かした。
 4人は急いで倉庫の外へ出た。周りは工事中の建物ばかりだった。とにかく走って逃げた。

 タカシは耳を澄ました。
 カタカタ、ガサ...

 美貴の足音をキャッチし、どこから聞こえてくるか、居場所を突き止めた。

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