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第二章 メインヒロイン決定戦 

ニック大いに楽観する

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 ルートB 増殖迷宮 多産プレグネント部屋ルーム

 ニック ファイヤー、アマンダ ウォーター、エイミー ウッド、セイラ アースの四人は、ただひたすらまっすぐに伸びる廊下を見て、この場所が危険なAランクダンジョンであるという事実を忘れていた。 ダンジョンに落下し、学生が4人だけしか居ない事には、先刻、既に驚いている。しかし、人数が多かった事と、そこがまるで王宮の一室であるかのような豪華な内装である事、扉を開けると敵もなくただひたすらに廊下が続いている事で、不安である事よりも、好奇心が勝っていた。

「これってダンジョンではなく、宝が眠っている古代のお城とかなんじゃないか?」

 ニックの言葉にアマンダが呆れている。

「古代のものが、これだけ綺麗に保たれているわけないでしょうが。」

 一足先にダンジョンである事を思い出し、考え込んでいたセイラが、1つの可能性を語った。

「ダンジョンの中には、ボスが倒される事で、一定期間モンスターが出現しなくなる場所もあるとか。例えば、ここのボスを倒した後で帰り道に全てのモンスターを倒していったと言う可能性はないでしょうか?」

 しかし、エイミーはその可能性を即座に否定する。

「ですが、私達が落とされた部屋。そこに入口へと戻る道はありませんでしたよね。少なくともその冒険者達がいたなら別の所から帰った事になります。つまり、今、目の前にモンスターがいない事と冒険者がいたかもという考察は結びつきません。」 

 エイミーの冷静な判断の後で、またもニックが楽天的な考えを話す。

「それなら、シリー先生が先にモンスターを倒して進んでいるのかも。もしくはこの場所はボーナスステージとかの可能性だってある。俺達もとりあえず、先に進もうじゃないか。」

「考えていても仕方ないから、用心しながら進むというなら賛成するわ。」

 アマンダの言葉の後で、エイミーとセイラもそれに同意する。

「私も異存ありません。」「私もそれで良いですわ。」

 ひたすら廊下を歩きながら、そこにはなんの仕掛けもなかった。ただ、所々に部屋があり、その部屋の中には宝箱だけが存在していた。最初の宝箱にあったアイテムをセイラがアイテムボックスにしまった後で、自分のステータスを確認して驚いた。 

「なんだか、私のクラス経験値が何もしていないのにマックスになっています。皆さんも確認をして頂けませんか?」

「本当だっ!! それだけじゃなく経験値のストックが貯まっているよ。」

「嘘でしょ? やっぱりニックの言う通りシリー先生が先に討伐をしているのかしら? モンスターカードも尋常じゃない強化がされている。」

「皆さん。落ち着いて下さい。シリー先生は、自分達が強くなる為に、それぞれの武器や戦闘スタイルをよく考えてスキルを取得しろと言いました。セイラさんのようにアイテムボックスは全員が取得しても良いと思いますが、適当ではなく、考えてクラスを変更していきましょう。」 

『エイミー。君の導き出した答えに花丸をつけてあげよう。』

「「シリー先生っ!?」」

「シリー先生どこにいるんですか?」

『私は今、君達とは別のルートで狩りをしている。最上階でそこにあるダンジョンコアと永遠に湧き出るボスモンスターと雑魚モンスター達を討伐しているんだ。結果的に君達は強化され私も延々と湧き出る宝をたくさん手にしている。おそらくだが、私達がいる場所は同じダンジョンであり、別々のダンジョンだ。そして、私がいる場所のダンジョンコアは本体で、別の場所のダンジョンコアの力を吸収しているのだと思う。ボスが何度も復活するダンジョンなんて聞いた事がないからな。おそらくダンジョンは3つ。今お前達がいる場所のボスか、もうひとつの方のダンジョンのボス。もしくは、その両方のダンジョンのボスを倒す事で、はじめて、このダンジョンをクリアする事になるんじゃないかな。それでは健闘を祈る。』

「待ってシリー先生。僕達だけでどうやってAランクダンジョンのボスを倒すんですか?」

『だが、私は教えない。しかし、モンスターを討伐し続ける事で、ここを乗り越えるだけの力を与える。失敗しても良い。自分達が強くなる方法は自分達で考えろ。それでは接続を遮断する。』

「「シリー先生!」」

「流石シリー先生だわ。遠隔で会話する手段なんてこれまで聞いた事がない。そうね。シリー先生は私達の為に頑張ってくれている。私達も精一杯頑張りましょう。とりあえずは宝を回収し、自分達に相応しいスキルを獲得しながら、ボスを目指す。」

「そうだな。シリー先生が言うなら、例えAランクダンジョンだとしても、頑張れば俺達だけなんとかなるって事だ。」

「「はい。」」

 しかし、講師の二人は別として、学生達全員が勘違いをしている。ここはSランクダンジョン。Aランクダンジョンとは桁違いの危険度なのだ。


 それから数十分が経過し、宝箱のアイテムを獲得しながら、ニック達は最後の突き当りの大扉へと到達した。
  

 扉を開けると、大きな部屋の奥に、大きな赤い石板があった。

 全員が石板に注目すると赤い石板に黒い文字が出現する。

『3つのルートを攻略して、脱出せよ』

「やっぱり、シリー先生の言っていた通りだわ。という事はここがボス部屋かしら?」

「ちょっと待て、文字が消えて、また別の文字が浮かんできたぞ。」


 大きな赤い石板に、新しい文字が浮かんでくる。
  

『     〇と油      ニック        エイミー 

   〇〇23      〇◦〇〇5    〇4〇  〇4〇5 

                    漢-1 

  

 全員共通 6゛174 

 6174 +3  -1  5(4〇) 』




「はははは。もしかして、ここのルートはボスじゃなく、謎を解けば良いって事か? ラッキーじゃね?」「暗号なの?」「全然意味がわかりません。」

 ニックがまたも楽観しアマンダとセイラが混乱したところで、最後にエイミーが考察する。

「あの謎を解かないとボスが現れないって事ですかね?」


 全員が謎の意味も分からないままに、部屋の床に5つの魔法陣が描かれる。魔法陣からはモンスターが浮かび上がってきていた。
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