出遅れ勇者の無双蹂躙~世界滅亡寸前からの逆襲~

友理潤

文字の大きさ
25 / 79
第2章

奴隷と勇者のカンケイ

しおりを挟む
「あんだねぇ~!このわだじに断りもなく出ていくなんでぇ、薄情にもほどがあるわ!ぢょっどぉ!聞いてる!?」


そこには完全に悪酔いしたレイナの姿があった。

宿に向かおうとした俺たちはレイナに呼び止められ、出立までは町長の屋敷で過ごすことになった。
なんでも俺とサヤが同じ部屋で過ごすのが不健全なんだそうだ。

そして晩餐。
そこには俺たちの他に今回被害にあった女性たちも招かれていた。
もちろん宿屋の女将であるサファイアの姿もある。

そこでハメが外れたのか、レイナは周囲がドン引きする位に飲んでいた。

「…飲み過ぎだ」

「ハハハ!大丈夫よ!わだじが酔っ払って思ってるんでしょ!?」

バンバンと俺の背中が叩かれる。
この様子を見かねたサヤが
「レイナ、これ以上はダメです!」
とレイナをたしなめた。

このサヤの発言に周囲はさらにびっくりした。

奴隷の身分でありながら、王女を呼び捨てにし、叱りつけたのだから…

「もぉ~、サヤちゃんは冷たいんだからぁ!
そっか!恋のライバルだからでしょ!?」

もう一度招かれた人々は驚く。
王女と奴隷がライバルだなんて…
ありえない…

サヤの表情がピクリと動いた。

「だいだい、サヤちゃんはジェイの奴隷なんでしょ~!
奴隷だから…その…ジェイがサヤちゃんとのエッチだって…そこには愛がないって言うか…って何言わせるの!!」

バシィッ!!

なぜか俺の背中が思いっきりはたかれた…

「…痛い…」

サヤは寂しそうにうつむいてしまっている。

「ぞれでぇ?本当のところはどうなのよ?ジェイ!」

何を聞かれているのか意味が分からない。

そんな俺の様子を見て、
「だ~か~ら~!ジェイはサヤちゃんの事をどう思っているの!?わだじとどっぢを取るのぉ~!?」

バタンッ…

そこまで言うとレイナは、大きなイビキをかきながら寝てしまった。

その様子を部屋の片隅で見ていたメイドのアリアが、かいがいしくレイナを寝室まで運んでいったのであった。

◇◇
結局このまま晩餐会は解散となり、奥様たちはそれぞれの家路へと急いでいった。

俺とサヤは別々の客室に通され、一夜を過ごす。
サヤが近くにいない夜は初めてだな…
ふとそんな事を考えると、なぜか少し寂しい感じもする。
俺は最後のレイナの質問を思い返していた。
俺はサヤの事をどう思っているか、か…
奴隷と言うよりは「身の回りのお世話する人」という表現が的確かも知れないな…

本当にそれだけか…?
それ以上のカンケイではないのか…?
俺は言い寄れぬ不安にさい悩まされた。自分自身に対して。

トントン

なかなか寝付けないでいると、ドアをノックする音。

「…誰だ?」

俺は静かにドアの向こうの人物に問いかけた。

「サヤです。ご主人さま、入ってもよろしいですか?」

「…問題ない、入れ」

「ありがとうございます」

どこか他人行儀なサヤ。
俺はベッドの縁に腰をかけて彼女を迎えた。
サヤは俺の一歩手前までくるとそこで足を止めた。
まるでそこには目に見えない壁があるように。

「すみません、夜分遅くに。どうしてもお伝えしたい事がございまして…」

「…なんだ?」

少し緊張した面持ちのサヤ。
俺は覚悟した。
理由は分からないが、サヤが俺から離れようとしているのではないかと感じたのだ。

サヤが重い口を開く。

「ご主人さま…サヤはご主人さまが私の事を単なる奴隷だと思っていても構いません。
私とのやり取りの全てに愛を感じたい、なんて微塵も思っておりません」

「…サヤ…」

少し気まずい沈黙が広がる。
サヤも何かを決意したようだ。
キリっとした表情で俺を見つめた。

「でも…サヤは…サヤはご主人さまを愛しております」

サヤはうるみ始めた瞳で真っすぐに俺を見て続けた。

「だから今までも、これからもご主人さまに全力の愛を持ってお遣いいたします。
言いたかった事はこれだけです。では、おやすみなさい」

サヤはぺこりと頭を下げると、そのままドアの方へ振返り、その場を後にしようとドアノブに手をかけた。
その瞬間、

ふわっ

俺は優しくサヤを背後から抱き締めた。

「ふえっ!?」

サヤの驚く声。
彼女の肩が小刻みに震えているのが伝わってきた。

「…サヤ…泣くな」

「え…ご主人さま…私…泣いてなんか…ふぇぇぇん」

彼女は何かに対して不安だったのだろう。
こうする事で少しでも彼女の不安が払拭する事が出来ればいいと思っていた。

しばらくサヤの嗚咽が続く。

彼女が少し落ち着いた頃を見計らって、俺はサヤと向き合った。
そして静かに口づけを交わす。
そして徐々に激しくなる。

「ん…ん~…ぷはぁ…」

サヤが息を吐き出すとともに長い口づけは終わった。

その後も二人で見つめ合う。

そしてどちらからともなく、そのまま俺のベッドの中に抱き合うように一緒に崩れていった。

「あ…あぅ…ん…」

俺の右手が彼女の身体を優しく愛撫すると、彼女の力がスッと抜けて、柔らかさが増す。

そしてもう一度キスをする。
サヤが求める。俺はそれに応える。
そんな熱い口づけだ。

サヤを下にして俺たちはベッドの上で向き合った。

「ご主人…サヤの愛は届いてますか?」

「…ああ」

「では…ご主人さまは今…サヤに愛を下さいますか?」

サヤが恐る恐る俺を覗き込んでくる。
俺は努めて優しい表情で
「…言わせるな」
と応えると、サヤの首すじにキスをした。

「ん…あぅ…ご主人さまの…いじわる…」

それは朝日が部屋を照らすまで続いた。
俺が彼女の中で果てる度に、サヤの全力の愛が俺の心に響いた。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る

ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。 異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。 一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。 娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。 そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。 異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。 娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。 そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。 3人と1匹の冒険が、今始まる。 ※小説家になろうでも投稿しています ※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!  よろしくお願いします!

盾の間違った使い方

KeyBow
ファンタジー
その日は快晴で、DIY日和だった。 まさかあんな形で日常が終わるだなんて、誰に想像できただろうか。 マンションの屋上から落ちてきた女子高生と、運が悪く――いや、悪すぎることに激突して、俺は死んだはずだった。 しかし、当たった次の瞬間。 気がつけば、今にも動き出しそうなドラゴンの骨の前にいた。 周囲は白骨死体だらけ。 慌てて武器になりそうなものを探すが、剣はすべて折れ曲がり、鎧は胸に大穴が空いたりひしゃげたりしている。 仏様から脱がすのは、物理的にも気持ち的にも無理だった。 ここは―― 多分、ボス部屋。 しかもこの部屋には入り口しかなく、本来ドラゴンを倒すために進んできた道を、逆進行するしかなかった。 与えられた能力は、現代日本の商品を異世界に取り寄せる 【異世界ショッピング】。 一見チートだが、完成された日用品も、人が口にできる食べ物も飲料水もない。買えるのは素材と道具、作業関連品、農作業関連の品や種、苗等だ。 魔物を倒して魔石をポイントに換えなければ、 水一滴すら買えない。 ダンジョン最奥スタートの、ハード・・・どころか鬼モードだった。 そんな中、盾だけが違った。 傷はあっても、バンドの残った盾はいくつも使えた。 両手に円盾、背中に大盾、そして両肩に装着したL字型とスパイク付きのそれは、俺をリアルザクに仕立てた。 盾で殴り 盾で守り 腹が減れば・・・盾で焼く。 フライパン代わりにし、竈の一部にし、用途は盛大に間違っているが、生きるためには、それが正解だった。 ボス部屋手前のセーフエリアを拠点に、俺はひとりダンジョンを生き延びていく。 ――そんなある日。 聞こえるはずのない女性の悲鳴が、ボス部屋から響いた。 盾のまちがった使い方から始まる異世界サバイバル、ここに開幕。 ​【AIの使用について】 本作は執筆補助ツールとして生成AIを使用しています。 主な用途は「誤字脱字のチェック」「表現の推敲」「壁打ち(アイデア出しの補助)」です。 ストーリー構成および本文の執筆は作者自身が行っております。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

勇者の隣に住んでいただけの村人の話。

カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。 だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。 その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。 だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…? 才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

処理中です...