出遅れ勇者の無双蹂躙~世界滅亡寸前からの逆襲~

友理潤

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第3章

迷いの森救出戦4

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◇◇
少しだけ時間を戻す。
と言ってもほんの10分程前だ。

俺たちは迷いの森を進んでいた。
魔物の襲撃も特になく順調に進んでいた。

迷いの森の中は濃い霧で覆われている。
その霧は侵入者の視界を塞ぐ事に加えて、植物族たちの弱点である炎の延焼を防ぐ意図も感じられた。
まるでそれは薄い水の幕を空中に張り巡らせているように思えた。

そしてかなり奥まで進んだ時、空気が一変した。
悪魔の臭い。
それが森全体から漂う。
俺はこの時点でこの森の仕掛けを理解した。

「…まやかしの森か…」

突然の俺の一言に、ティナが怪訝そうな表情を浮かべる。

「どういう事?」

俺は警戒心を高め、殺気を前方へ向けた。

「…森全体が魔物」

その一言でティナはハッとする。
相変わらず彼女は理解が早くて助かる。

「そういう事ね!迷いの森の木々はトレントたちの群れという事…
だからここを踏み入れた冒険者たちは森を抜ける事が出来なかったと…
トレントたちが静かに位置を変えながら、巧みに侵入者たちを撹乱していたんだわ。
でもこの状況…
言い換えれば、敵の大群に囲まれたのと同じよね?」

俺はコクリと頷く。
その様子にゲンは口を尖らせた。

「だったらどうするんだよ?無駄口たたいている間にもパトラの命が危ないんだぜ?魔物の大群の中に足を踏み入れたから逃げるなんて言わないよな!?」

俺はゲンの方を向き
「…約束は守る。安心しろ」
と言って、すぐに意識を森の奥の方へと集中させた。
そして俺は魔法を唱える。

「エネミー・サーチ」

この魔法は周囲の索敵の魔法だ。魔力の大きさも合わせて察知できる。
その中でひときわ大きな魔力の塊が、ここから少し先にある。
直線的に俺が本気で走れば5分といったところか…
既に敵の大群の中に身を置いている。
この後の戦いについて、少し考えを巡らせた。

俺はクラーケン軍団との戦いで得た教訓を思い返した。

「…手加減無用」

と…

「光の神ルーよ!全てを貫き、稲妻の裁きを与えよ!超階位魔法!『ブリューナク』!!」

俺は軽くジャンプするとそのまま両手両足を広げた。
俺の前方の広い確度に光が放たれるとともに、無数の光の槍が現れた。

俺は地面に着地するとともに
「貫け!!」
と命じた。

その瞬間、無数の光の槍が森の中を四方八方に飛んでいく。
その速度は目で追うには早すぎで、魔物たちは防ぐすべなく、光の槍の餌食になっていった。

ヒュン!
ヒュン!
バリバリ!

そして稲妻の槍は触れたもの、貫いたものを白く帯電させていく。

俺たちの目前まで迫っていた、サボテンやらニンジンやらの魔物たちはその槍に貫かれただけで絶命していった。
森の木々…おそらくトレントたちにも槍は容赦なく貫いていき、その範囲は前方の森のほとんどを覆った。
ひときわ大きな魔力を放つ地点を除いて…

そしてしばらくすると全ての槍の投擲は終了した。
あたりに静寂が戻る。

「ククク…その程度か?勇者の魔法というやつは…」

ふと声がした方を見ると、光の槍によるダメージを受けながらも生き延びた植物の魔物が立っていた。

「俺はマンドラゴラ。ここにいるダンスキャロットとサボテンボールの軍勢を率いる部隊長だ。
貴様の命、この俺が貰い受ける!!」

威勢はいいが、肝心のニンジンとサボテンどもはほぼ壊滅状態であった。

そして周囲を見渡すと、擬態を解いたトレントたちも傷だらけになりながら、じわりじわりと俺たちに近づいてきている。

「ジェイ…、今の魔法はあんまり効かなかったようね…どうするの?」

心配そうにティナは俺に声をかけた。
そしてゲンはティナの後ろに隠れて、
「勇者の兄ちゃん!頼むぜ!もっとぱーっとさぁ、何とかなんないのかよ!?」
と虫のいい事を俺に要求している。

その様子を見てマンドラゴラが一気に飛び出してきた。

「ごちゃごちゃとうるさい!地獄で相談しやがれ!!」

「ウォォォ!!」

森の魔物たちも雄たけびを上げた。

ドドド…

一気に森が揺れる。
地下からは根が、地上からは植物の一団が俺たちを飲みこまんという勢いで迫ってくる。

俺は…


ニタリと笑った。


「…超階位魔法をなめるなよ」


そして拳を天に突き上げて叫んだ。


「スパーク!!!」

ビリビリビリビリビリ~!!!
バババババ…!!

ブリューナクに触れたあらゆる物は帯電している。
その電気が一気に放電し、爆発音の様な凄まじい音と衝撃で空気を震わせた。
そしてその放電により、森が白く光り輝く。

あまりの衝撃にティナとゲンは目と耳を塞いでいた。

「ギャアアアアアア!!!!」

魔物どもは絶叫する。

俺は魔物どもの絶叫と森の中に走る電気のショーを満足げに眺めていた。

ああ、いい景色だ。

白い光が収まると、そこには黒くこげた多くの魔物が、立ったまま絶命していた。
木が焦げる臭いが鼻をつく。
実に気持ちいい。

俺はここでティナに指示をした。

「…カス共の殲滅…任せた」

俺は剣を抜く。
そして再びニタリと笑った。

「蹂躙の時間だ。覚悟しろ、魔族ども」


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