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第51話 ニック VS ピート
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◇◇
あの屈辱から早10日。僕、ニックはまだ第52層の迷宮の中にいた。
「み、水!!」
こんなところで水が通路の脇を流れてるなんて。
僕はなんてついているんだ!
その水を手ですくう。泥で汚れている。でも関係ない。
2日ぶりの水なのだ。
吐き出しそうになるくらい臭いし苦かったけど、喉が潤っただけで生き返った気分だったよ。
「そろそろかな……」
これまで殺したモンスターの数、およそ3000。
すべて僕の従順な犬だ。
【一斉攻撃】ってスキルはとても便利なもので、モンスターを見つけたとたんに我先にと襲いかかってくれるんだ。
そして虫の息になったら、僕がとどめをさす――これを延々と繰り返しきた。
「ピートのやつめ……」
ちょっと強くなったからって調子に乗りやがって。
僕の犬たちで彼のものをすべて破壊してやろう。
そして「もうやめてくれ」と泣いて懇願してきたら、目の前でサンをたっぷり可愛がってから殺してやるのさ。
本当の絶望というものを味合わせれば、彼もきっと僕の偉大さに気づくだろうからね。
ああ、今から楽しみだよ。
彼の顔が真っ青に変わるのが。
「くくく……うわははははっ!!」
笑いが止まらない。
僕は3000の犬たちを引き連れて、第53層を目指したのだった。
いよいよ僕の華麗なる復讐劇が幕を開けた――。
◇◇
ニックが襲撃してきた時に備えて、家の隣に5階建ての塔を建てておいた。
最上階からは外壁の向こう側まで見渡せるこの場所が作戦本部だ。
「ピピ。敵の数がどれくらいか分かるかい?」
「うーん……。わかんない。でも、いーっぱいいる!」
「そうか、ありがとう。今ので助かったよ」
頭をなでてあげると、ピピは嬉しそうに尻尾と羽をパタパタさせる。
やはり『質』ではなく、『量』で攻めてくる作戦に出たか……。
外壁と外堀を作っておいて正解だったな。
「ご主人! ドラゴンの配置は完了したぜ!」
「キメラロードもオッケー!」
「ヘルグリズリーも終わった」
グリン、メラロ、リズリーの3人がそろって報告してきた。
「よし、準備は完了だな。じゃあルナとピピはここを頼んだよ」
「はい、ご主人様おまかせください」
「はーい! ぜんぶおわったら、こんがりにくぅ!」
なおルナはオートテイムにしてあり、負傷した味方の救護や長期戦になった場合の物資の管理を任せている。
それからピピには『第54層へ続く階段まで敵が迫ったら、何がなんでも食い止める』というシナリオをセットしてあるのだ。
つまりルナとピピは俺たちにとって『最後の砦』。
彼女たちが活躍しないままに全てを片付けるのが理想だけど、あまり楽観的に考えてると足元をすくわれるのをよく知ってるからね。
俺はみんなの前に立ち、腹に力を込めて言った。
「なんとしても乗り切るぞ。みんなで頑張ろう」
全員の表情が引き締まる。
敵がどれくらいの戦力かは知らないが、こっちは2000体も仲間がいるのだ。
絶対に負けるものか。
俺自身にも気合いがみなぎってきたぞ。
さあ、いつでもかかってきやがれ!
……と、その時。
「ところでニックはどうやって仲間を集めたのでしょう?」
サンがぼそりとつぶやいた。
「ん? 確かに言われてみればそうだな」
「ご主人様。私、聞いたことがあります。ネクロマンサーは自分でとどめを刺した相手を使役すると……」
「なに……!?」
ちょっと待て!
となるとモンスターハウスのモンスターたちは……。
「まずい! ルナとピピ! ここを頼む! サン、エアリス、カーリー! 俺についてきてくれ!」
「「「はいっ!!」」」
これまでニックがモンスターハウスに入った形跡はおろか近づいた形跡すらなかったのは、俺たちに警戒されないためだったのか!
あいつめ……。
そういうところの悪知恵だけは働くからな。
もしニックがモンスターハウスのモンスターをゾンビにして使役したら……。
いっきにその数が1000体も増えることになる。
さすがにそれはマズイぞ。
「なんとしてもニックを食い止める!!」
「はい! ピートさん!!」
俺はニックに絶対負けたくない。
鎖の封印がうんぬんよりも、あの時受けた屈辱をもう一度味わうのだけは、二度とごめんなんだ。
俺たちは疾風のように草原を駆け抜け、モンスターハウスに入った。
だが……。
あの屈辱から早10日。僕、ニックはまだ第52層の迷宮の中にいた。
「み、水!!」
こんなところで水が通路の脇を流れてるなんて。
僕はなんてついているんだ!
その水を手ですくう。泥で汚れている。でも関係ない。
2日ぶりの水なのだ。
吐き出しそうになるくらい臭いし苦かったけど、喉が潤っただけで生き返った気分だったよ。
「そろそろかな……」
これまで殺したモンスターの数、およそ3000。
すべて僕の従順な犬だ。
【一斉攻撃】ってスキルはとても便利なもので、モンスターを見つけたとたんに我先にと襲いかかってくれるんだ。
そして虫の息になったら、僕がとどめをさす――これを延々と繰り返しきた。
「ピートのやつめ……」
ちょっと強くなったからって調子に乗りやがって。
僕の犬たちで彼のものをすべて破壊してやろう。
そして「もうやめてくれ」と泣いて懇願してきたら、目の前でサンをたっぷり可愛がってから殺してやるのさ。
本当の絶望というものを味合わせれば、彼もきっと僕の偉大さに気づくだろうからね。
ああ、今から楽しみだよ。
彼の顔が真っ青に変わるのが。
「くくく……うわははははっ!!」
笑いが止まらない。
僕は3000の犬たちを引き連れて、第53層を目指したのだった。
いよいよ僕の華麗なる復讐劇が幕を開けた――。
◇◇
ニックが襲撃してきた時に備えて、家の隣に5階建ての塔を建てておいた。
最上階からは外壁の向こう側まで見渡せるこの場所が作戦本部だ。
「ピピ。敵の数がどれくらいか分かるかい?」
「うーん……。わかんない。でも、いーっぱいいる!」
「そうか、ありがとう。今ので助かったよ」
頭をなでてあげると、ピピは嬉しそうに尻尾と羽をパタパタさせる。
やはり『質』ではなく、『量』で攻めてくる作戦に出たか……。
外壁と外堀を作っておいて正解だったな。
「ご主人! ドラゴンの配置は完了したぜ!」
「キメラロードもオッケー!」
「ヘルグリズリーも終わった」
グリン、メラロ、リズリーの3人がそろって報告してきた。
「よし、準備は完了だな。じゃあルナとピピはここを頼んだよ」
「はい、ご主人様おまかせください」
「はーい! ぜんぶおわったら、こんがりにくぅ!」
なおルナはオートテイムにしてあり、負傷した味方の救護や長期戦になった場合の物資の管理を任せている。
それからピピには『第54層へ続く階段まで敵が迫ったら、何がなんでも食い止める』というシナリオをセットしてあるのだ。
つまりルナとピピは俺たちにとって『最後の砦』。
彼女たちが活躍しないままに全てを片付けるのが理想だけど、あまり楽観的に考えてると足元をすくわれるのをよく知ってるからね。
俺はみんなの前に立ち、腹に力を込めて言った。
「なんとしても乗り切るぞ。みんなで頑張ろう」
全員の表情が引き締まる。
敵がどれくらいの戦力かは知らないが、こっちは2000体も仲間がいるのだ。
絶対に負けるものか。
俺自身にも気合いがみなぎってきたぞ。
さあ、いつでもかかってきやがれ!
……と、その時。
「ところでニックはどうやって仲間を集めたのでしょう?」
サンがぼそりとつぶやいた。
「ん? 確かに言われてみればそうだな」
「ご主人様。私、聞いたことがあります。ネクロマンサーは自分でとどめを刺した相手を使役すると……」
「なに……!?」
ちょっと待て!
となるとモンスターハウスのモンスターたちは……。
「まずい! ルナとピピ! ここを頼む! サン、エアリス、カーリー! 俺についてきてくれ!」
「「「はいっ!!」」」
これまでニックがモンスターハウスに入った形跡はおろか近づいた形跡すらなかったのは、俺たちに警戒されないためだったのか!
あいつめ……。
そういうところの悪知恵だけは働くからな。
もしニックがモンスターハウスのモンスターをゾンビにして使役したら……。
いっきにその数が1000体も増えることになる。
さすがにそれはマズイぞ。
「なんとしてもニックを食い止める!!」
「はい! ピートさん!!」
俺はニックに絶対負けたくない。
鎖の封印がうんぬんよりも、あの時受けた屈辱をもう一度味わうのだけは、二度とごめんなんだ。
俺たちは疾風のように草原を駆け抜け、モンスターハウスに入った。
だが……。
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