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嫉妬
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眠気を覚ますようにコーヒーを口に含む。結局夕べはほとんど眠っていないのだ。朝まで求め合い、気を失ったように眠っていたらしい。
いつもは白いブラウスだったが、夕べ史が選んだのは薄い水色のブラウス。自分では絶対選ばない色だ。それを着て会社に行くのはしゃくだったが、替えはないので仕方ないだろう。
「長井さんいる?」
前の課の人だろう。あまり見たことのないぽっちゃりした男が長井を呼ぶ。
長井は夕べのことを気にしているのか、清子とも史とも視線を合わせない。史はそれでいいのかもしれないが、清子はそれが少し気になる。会社の中でごたごたを起こしたくないと思っているのだ。
「はい……えっと……これはですね……。」
前の課の人がこうして長井を訪れるのは珍しくない。どうやら引継がうまくいっていなかったらしく、なんだかんだと来ているのだ。
「困るよ。これくらいのことはメモに残して置いてくれないと。」
「社内チャットでいけますよ。わざわざここまでこなくても良いと思いますけど。」
「……あぁ。あと用事がもう一つあったから来たんだ。」
「何ですか?」
「午後から冬山先生が見えられる。担当していたんだから、挨拶くらいしたほうがいいだろう?」
「……。」
その名前に清子の手が止まった。冬山祥吾がここにくる。それは顔をまた合わせるかもしれないという可能性だ。
まぁ、ここにいれば顔を合わせることはないのだろうが。
「何時に見えられますか?」
「冬山先生は結構時間にルーズだからね。十四時とは言っているけど、十五時くらいになるんじゃないのかな。」
「それくらいに行きます。」
冬山祥吾の担当は男性になった。この間、冬山祥吾についての噂が一人歩きしたからだ。それは噂ではなく真実なのだが、周りの女性がすべて冬山祥吾をかばう形で解決した。その中の一人に長井の姿もあった。だから長井はここへ配属になったのだ。
だがどこの出版社も、冬山祥吾の担当に女性をつけることをためらっているようで、ここも男性になったようだ。だがいつまで続くだろう。あれだけの大物になれば、気に入らないと言えばすぐに担当が変わるのだから。
どうやら史は香子に話を付けて、昼休憩に香子や長井たちと史は食事に出かけた。そこで和解するのかもしれない。
清子は喫煙室で煙草を吹かしながら、携帯電話の画面を見ていた。東二のことを調べていたのだ。
夕という名前を検索すれば、確かに画像も動画も沢山出てくる。人気があった証拠だ。そして確かに東二には噂があった。独身ではあるが、内縁の妻がいること。一人娘が居て、自殺をしていること。
史から聞いたことだ。だがこの話には少し違和感がある。清子は携帯電話のウェブを閉じて、電話帳を開く。
「もしもし……今、大丈夫ですか。えぇ……昼休憩だと思ったので。えっ?近くにいらっしゃるんですか?わかりました。えっと……ロビーのカフェで。」
清子は煙草を消すと、喫煙室を出てエレベーターに乗り込む。そして一階に到着すると、ゲートをくぐった。
「よう。」
声をかけられて、振り返るとそこには我孫子の姿があった。
「今日もこの辺の企業にお仕事ですか?」
「そうだな。結構ウィルスは手強くてな。あの会社は今開店休業。良かったな。お前ん所はそんな真似にならなくて。」
何も考えていないように笑う我孫子の態度が、今はとても安心できる。前ならいらっとしていたのだが。
「どうした。お前ん所もウィルスか?」
「いいえ。どちらかというとプライベートなことなんですけど。」
「ふーん。珍しいな。お前がプライベートのことで相談なんてよ。ま、いいや。コーヒーなら東二の所で飲むか?」
「……朝だけとおっしゃっていたので、ここで良いですか?」
東二のコーヒーを気に入っていたみたいなのにどうして拒否するのだろう。それに珍しく色付きのブラウスを着ている。やはり男でもできたのだろうか。
コーヒーをそれぞれ買うと、喫煙室へ向かう。そして清子は煙草に火をつけた。
「……男関係のことか?」
「まぁ……近からずも遠からずです。」
「マジか?めでてぇな。祝いに酒でもおごってやろうか?」
「いいえ。今日は速攻で帰りたい。」
あまり眠ってないせいか、今日は疲れている。
「あの……東二さんって、お子さんがいたんですか?」
「あぁ。結婚してねぇけどな。二人いるわ。」
おかしいな。一人娘だと言っていたのに。
「一人は俺の息子と同じ年の娘。それから今年就職した息子。」
「娘さんって……今は?」
「自殺したんだよ。いつだっけか。十年前くらいにな。」
「……。」
やはりそうだったのか。死んだ娘が居て、それが史と付き合って同棲をしていたのだ。
「でもまぁ……親があんな仕事してたら、嫌でも耳に入るわな。」
「え?」
「小さい頃からすげぇいじめにあっててな。今ではそうでもないのかもしれないけど、AV男優なんつーのは、結局色物とか、キワモノとか、そんな部類の仕事だろ?気持ちいいことして、楽に金が入るって思われてる。」
「……。」
「親は良いけど子供はやっぱ言うわけさ。葵の所もそうだっただろ?」
「あぁ。喫茶店をなさっていた……。」
我孫子も煙草に火をつけて、ため息をつく。
「なのに娘が好きになって、結婚したいって言い出した男がさ……やっぱ男優だったわけさ。」
「編集長ですよね。」
その名前に思わず我孫子は煙でむせた。
「は?あいつ男優だったのか?」
「昔は汁をしてて、それから女性向けに転身したみたいですけど。」
「そっか……あいつ……気がつかなかったな。」
おかしいな。史が言うのには、自分がきっかけで娘は自殺をした。だから東二は史を恨んでいると言っていたのに。我孫子が知らないと言うのもおかしな話だ。
史がきっかけなら、我孫子も史を恨んでいると思っていたのに、我孫子は史に会ったとき何も気がついていないようだった。
「汁なんてのは全く金にならねぇんだろ?」
「そうみたいですね。うちのライターが書いているコラムを読む限り、あまり楽な世界ではないようです。」
「だから娘……麻衣って言うんだけどさ。麻衣がすげぇ働いてたみたいだ。OLしてさ。夜にはファミレスで働いて、お前、体こわすぞって何度も注意した。」
「……。」
「東二が一番それを言ってた。男優なんてのは、くずの集まりだ。そんな奴に尽くす価値はねぇって。」
「……自分もそのくずの一人だってのに、すごい言いようですね。」
煙草を消してコーヒーを飲む。
「でも麻衣はずっと理解してたよ。こういう仕事は、絶対無くならない。セックスの仕方なんて、学校で教えてくれるわけじゃないだろ?男が……何つったっけ。その男。」
「編集長ですか?」
「名前だよ。」
「正木さんですね。」
「そう。正木って奴が、女性向けのAVに出るって言ったときも、「女性だから性欲がないなんてあるわけがない。多少ファンタジーがあるにしても、それを形にしてあげてるだけなんだから良いじゃない」って啖呵切ってたよ。それは良く覚えてる。」
昨日の話とは違う。だったらどうして自殺をしたのかわからない。
「あの……どうしてその方は自殺されたんですか?」
「……東二は、正木が女性向けのAVに出て、他の女に歯が浮くような台詞を並べてたからじゃないかって言ってたけど、俺は違うと思うね。」
「だったら……。」
「昔からの積み重ねだと思う。昔から肩身の狭い思いをして、生きてきたんだ。年頃になれば、男優の娘だからやりまくっているって言われるし、社会人になってもそういう噂がついて回る。子供は親を選べねぇってよく言ったものだ。」
煙草を消して、コーヒーを口に入れる。苦いコーヒーだ。
「……東二さんも辞めるに辞めれなかったのでしょう?」
「あぁ。人気者だったからな。でもな、徳成。お前にも言えることだぞ。」
「私にもですか?」
ドキリとして我孫子をみる。
「俺が大学に籍を置いたのも、結局仕事だ。ここに勤めてますって看板がねぇと、何も出来ないだろ?」
「何も?」
「例えば家を買うとか、車を買うとか。借金をしようと思えば仕事、年収、そんなものが必要になる。俺は、子供がまた出来たしふらふらした仕事にはもう就けないと思ったから、大学に籍を置いた。」
「……。」
「お前もそうだ。ずっと派遣をしてるわけには行かないだろ?良いところがあれば、籍を置け。じゃないと安定しない。」
夕べも言われたことだ。だがそれでいいのだろうか。清子はため息をついて、またコーヒーに口を付けた。
いつもは白いブラウスだったが、夕べ史が選んだのは薄い水色のブラウス。自分では絶対選ばない色だ。それを着て会社に行くのはしゃくだったが、替えはないので仕方ないだろう。
「長井さんいる?」
前の課の人だろう。あまり見たことのないぽっちゃりした男が長井を呼ぶ。
長井は夕べのことを気にしているのか、清子とも史とも視線を合わせない。史はそれでいいのかもしれないが、清子はそれが少し気になる。会社の中でごたごたを起こしたくないと思っているのだ。
「はい……えっと……これはですね……。」
前の課の人がこうして長井を訪れるのは珍しくない。どうやら引継がうまくいっていなかったらしく、なんだかんだと来ているのだ。
「困るよ。これくらいのことはメモに残して置いてくれないと。」
「社内チャットでいけますよ。わざわざここまでこなくても良いと思いますけど。」
「……あぁ。あと用事がもう一つあったから来たんだ。」
「何ですか?」
「午後から冬山先生が見えられる。担当していたんだから、挨拶くらいしたほうがいいだろう?」
「……。」
その名前に清子の手が止まった。冬山祥吾がここにくる。それは顔をまた合わせるかもしれないという可能性だ。
まぁ、ここにいれば顔を合わせることはないのだろうが。
「何時に見えられますか?」
「冬山先生は結構時間にルーズだからね。十四時とは言っているけど、十五時くらいになるんじゃないのかな。」
「それくらいに行きます。」
冬山祥吾の担当は男性になった。この間、冬山祥吾についての噂が一人歩きしたからだ。それは噂ではなく真実なのだが、周りの女性がすべて冬山祥吾をかばう形で解決した。その中の一人に長井の姿もあった。だから長井はここへ配属になったのだ。
だがどこの出版社も、冬山祥吾の担当に女性をつけることをためらっているようで、ここも男性になったようだ。だがいつまで続くだろう。あれだけの大物になれば、気に入らないと言えばすぐに担当が変わるのだから。
どうやら史は香子に話を付けて、昼休憩に香子や長井たちと史は食事に出かけた。そこで和解するのかもしれない。
清子は喫煙室で煙草を吹かしながら、携帯電話の画面を見ていた。東二のことを調べていたのだ。
夕という名前を検索すれば、確かに画像も動画も沢山出てくる。人気があった証拠だ。そして確かに東二には噂があった。独身ではあるが、内縁の妻がいること。一人娘が居て、自殺をしていること。
史から聞いたことだ。だがこの話には少し違和感がある。清子は携帯電話のウェブを閉じて、電話帳を開く。
「もしもし……今、大丈夫ですか。えぇ……昼休憩だと思ったので。えっ?近くにいらっしゃるんですか?わかりました。えっと……ロビーのカフェで。」
清子は煙草を消すと、喫煙室を出てエレベーターに乗り込む。そして一階に到着すると、ゲートをくぐった。
「よう。」
声をかけられて、振り返るとそこには我孫子の姿があった。
「今日もこの辺の企業にお仕事ですか?」
「そうだな。結構ウィルスは手強くてな。あの会社は今開店休業。良かったな。お前ん所はそんな真似にならなくて。」
何も考えていないように笑う我孫子の態度が、今はとても安心できる。前ならいらっとしていたのだが。
「どうした。お前ん所もウィルスか?」
「いいえ。どちらかというとプライベートなことなんですけど。」
「ふーん。珍しいな。お前がプライベートのことで相談なんてよ。ま、いいや。コーヒーなら東二の所で飲むか?」
「……朝だけとおっしゃっていたので、ここで良いですか?」
東二のコーヒーを気に入っていたみたいなのにどうして拒否するのだろう。それに珍しく色付きのブラウスを着ている。やはり男でもできたのだろうか。
コーヒーをそれぞれ買うと、喫煙室へ向かう。そして清子は煙草に火をつけた。
「……男関係のことか?」
「まぁ……近からずも遠からずです。」
「マジか?めでてぇな。祝いに酒でもおごってやろうか?」
「いいえ。今日は速攻で帰りたい。」
あまり眠ってないせいか、今日は疲れている。
「あの……東二さんって、お子さんがいたんですか?」
「あぁ。結婚してねぇけどな。二人いるわ。」
おかしいな。一人娘だと言っていたのに。
「一人は俺の息子と同じ年の娘。それから今年就職した息子。」
「娘さんって……今は?」
「自殺したんだよ。いつだっけか。十年前くらいにな。」
「……。」
やはりそうだったのか。死んだ娘が居て、それが史と付き合って同棲をしていたのだ。
「でもまぁ……親があんな仕事してたら、嫌でも耳に入るわな。」
「え?」
「小さい頃からすげぇいじめにあっててな。今ではそうでもないのかもしれないけど、AV男優なんつーのは、結局色物とか、キワモノとか、そんな部類の仕事だろ?気持ちいいことして、楽に金が入るって思われてる。」
「……。」
「親は良いけど子供はやっぱ言うわけさ。葵の所もそうだっただろ?」
「あぁ。喫茶店をなさっていた……。」
我孫子も煙草に火をつけて、ため息をつく。
「なのに娘が好きになって、結婚したいって言い出した男がさ……やっぱ男優だったわけさ。」
「編集長ですよね。」
その名前に思わず我孫子は煙でむせた。
「は?あいつ男優だったのか?」
「昔は汁をしてて、それから女性向けに転身したみたいですけど。」
「そっか……あいつ……気がつかなかったな。」
おかしいな。史が言うのには、自分がきっかけで娘は自殺をした。だから東二は史を恨んでいると言っていたのに。我孫子が知らないと言うのもおかしな話だ。
史がきっかけなら、我孫子も史を恨んでいると思っていたのに、我孫子は史に会ったとき何も気がついていないようだった。
「汁なんてのは全く金にならねぇんだろ?」
「そうみたいですね。うちのライターが書いているコラムを読む限り、あまり楽な世界ではないようです。」
「だから娘……麻衣って言うんだけどさ。麻衣がすげぇ働いてたみたいだ。OLしてさ。夜にはファミレスで働いて、お前、体こわすぞって何度も注意した。」
「……。」
「東二が一番それを言ってた。男優なんてのは、くずの集まりだ。そんな奴に尽くす価値はねぇって。」
「……自分もそのくずの一人だってのに、すごい言いようですね。」
煙草を消してコーヒーを飲む。
「でも麻衣はずっと理解してたよ。こういう仕事は、絶対無くならない。セックスの仕方なんて、学校で教えてくれるわけじゃないだろ?男が……何つったっけ。その男。」
「編集長ですか?」
「名前だよ。」
「正木さんですね。」
「そう。正木って奴が、女性向けのAVに出るって言ったときも、「女性だから性欲がないなんてあるわけがない。多少ファンタジーがあるにしても、それを形にしてあげてるだけなんだから良いじゃない」って啖呵切ってたよ。それは良く覚えてる。」
昨日の話とは違う。だったらどうして自殺をしたのかわからない。
「あの……どうしてその方は自殺されたんですか?」
「……東二は、正木が女性向けのAVに出て、他の女に歯が浮くような台詞を並べてたからじゃないかって言ってたけど、俺は違うと思うね。」
「だったら……。」
「昔からの積み重ねだと思う。昔から肩身の狭い思いをして、生きてきたんだ。年頃になれば、男優の娘だからやりまくっているって言われるし、社会人になってもそういう噂がついて回る。子供は親を選べねぇってよく言ったものだ。」
煙草を消して、コーヒーを口に入れる。苦いコーヒーだ。
「……東二さんも辞めるに辞めれなかったのでしょう?」
「あぁ。人気者だったからな。でもな、徳成。お前にも言えることだぞ。」
「私にもですか?」
ドキリとして我孫子をみる。
「俺が大学に籍を置いたのも、結局仕事だ。ここに勤めてますって看板がねぇと、何も出来ないだろ?」
「何も?」
「例えば家を買うとか、車を買うとか。借金をしようと思えば仕事、年収、そんなものが必要になる。俺は、子供がまた出来たしふらふらした仕事にはもう就けないと思ったから、大学に籍を置いた。」
「……。」
「お前もそうだ。ずっと派遣をしてるわけには行かないだろ?良いところがあれば、籍を置け。じゃないと安定しない。」
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