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食卓
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鍋の具が減り、ビールから日本酒に変わった。それを見て清子は席を立つ。
「どうしたの?」
史はそう聞くと、清子は茂の方をみる。
「そろそろ雑炊にしましょうか。」
「そうだね。作ってきてくれる?」
「えぇ。卵を入れますか?」
「辰雄さんところの卵があるんだ。別にしてあるからそれを二つ入れてきてくれるかな。」
「わかりました。」
清子はそういって蓋をした鍋を手に、台所へ向かう。その後ろ姿を見て、茂は少し笑った。
「素面みたいだ。」
「あぁ。あいつ日本酒とかビールなら全く酔わない。可愛くないな。」
「そういうなよ。あそこのお祖母さんも、ざるだったって聞いたことがあるし。」
二人はその清子の祖母を知っているのだろう。自分だけが知らないのだ。恋人であるのに、清子の周りのことを二人が知っているようで嫌だった。
「なんだよ。編集長、変なところで嫉妬すんなよ。」
「別に……。」
そういって史は日本酒に口を付けた。
「あんた、レストランとか予約してたんだろ?」
「キャンセルした。ついでにホテルもね。」
「へぇ……良いのかよ。」
その会話に茂は目を丸くした。
「え?」
「付き合ってんだよ。二人が。」
晶がそういったのを聞いて、少し驚いたように茂はみる。晶はずっと清子しか見ていなかった。今度会うときには一緒になると豪語していたのに、あっさり史に明け渡したのだろうか。
「晶。」
「なんだよ。」
「お前、昔……。」
いいや。史の前でそれは良くない。それを言えば、史の気も悪くするだろう。
「んだよ。別にいいんだよ。今、あいつが誰と付き合おうと。」
そういって晶は日本酒を口にした。
「久住はずいぶんおおらかになったものだ。」
「そっかな。」
「何かあったのか。」
じっと史は鍋のなくなった向こうの晶をみる。しかし晶は鼻で笑って誤魔化した。
「別に?」
すると清子は居間に戻ってくる。そして茂に聞く。
「すいません。ご飯はどれを?」
「解凍してあるよ。こっち。」
そういって茂も立ち上がって、台所へ向かった。その後ろ姿を見て、史は晶に聞く。
「今日の写真は、カップルに見せるために清子を連れていくと言っていた。ただ一緒にいるだけではカップルに見えないだろう。何かしたのか?」
「別に?何もしてない。」
へらっと笑う。そしてきんぴらに口を付けた。
「したとしても仕事だろ?何の感情もない。」
「だとしてもだ。気分がいいわけがないだろう。」
「どうだろうな。もし、まだ俺が清子に気があるとすれば、あんたをここに連れてこようとは思わないだろ?」
殺伐とした空気の中、清子は鍋を持って居間に戻ってくる。
「ネギも入れると美味しいですよね。」
こんな空気とは全く思っていない清子は、上機嫌に鍋の蓋を開けた。
「清子ちゃんはあまり食べていないから、雑炊だけでも食べた方が良いよ。」
「お腹いっぱい。」
「駄目。食べなさい。」
茂の言葉に、晶は少し笑った。
「おかんかよ。」
すると史は立ち上がる。そして外へ向かう。
「どうした?」
「トイレ。」
「場所わかるよな。」
「あぁ。」
掘り炬燵は相当温かいし、ストーブの力もあって部屋はとても暖かい。だから外の冷えが身に染みるようだ。離れにあるトイレに向かうと、すぐ男性用の便器がある。ひどい匂いがするがこの周辺だけで、トイレは綺麗なものだ。こういうのもきっと刑務所で仕込まれたのだろう。
用を済ませると、外にでた。するとちらちらと白いものが降っている。雪のようだ。
「雪か……。」
積もる雪ではないだろう。海風が温かいからだ。しばらくぼんやりとしていると、清子が家から出てきた。
「史。」
「どうしたの?」
「ちょっと遅いから様子を見に。」
「雪が降っててね。見て。」
すると清子は少し笑う。
「本当ですね。でもこの辺は積もらないんですよ。私がいたときもひどい寒波の時に薄く積もりましたけど、それ以来見たことはないです。」
「寒いと思った。」
「雑炊を食べたらお風呂に入りますか?沸かしているから、あまり冷えていないですし。」
ちらっと風呂の竈をみる。もう火が消えているのかもしれない。少しくべておいた方が良いかもしれないなと、清子はその竈に近づいた。すると史はその後ろから清子を抱きしめる。
「史……。」
「誰にも渡さないから。」
「え?」
その言葉に清子は驚いたように、史をみる。まさか、ここで晶とキスをしたのもわかっているのだろうか。だからこんなことをいっているのだろうか。不安になりながら、清子はその手に手を重ねる。
「酔ってますか?」
「……酔ってるかもね。明日は……つれて帰りたい。良いかな。明日こそは用事がない?」
「そうですね……。買い物へ行くくらいです。」
「買い物?」
「もう少ししたら正月価格になるから。買いだめしておきたい。」
その言葉に史は清子を抱きしめる力を強くした。
「車で来てて良かった。付き合ってあげるから。」
すると、家から晶が顔をのぞかせる。
「何やってんだよ。雑炊冷えるぞ。」
「あーそうだった。」
「すいません。ちょっとお風呂を見てて。」
史は清子を離すと、家の中に入っていく。そして清子も入っていった。
「家の中は相当温かいな。掘り炬燵ってすごい。」
史はそういって足を中に入れる。すると茂は少し笑った。
「お客さんが来たときくらいしか入れないんですよ。普段はストーブか火鉢ですよ。」
「火鉢もあるんですか?」
「祖母のものです。あぁ……そうだ。清子ちゃんは、今日祖母の部屋で寝てもらってもいいだろうか。」
「結構ですよ。」
「男二人は、仏間だな。」
「縁起悪いなぁ。俺、いつもばーちゃんの部屋で寝てたじゃん。」
「女が寝ているところに寝るつもりか。バカが。」
「編集長と寝てもなぁ……。」
晶はそういってその出汁がきいた雑炊に口を付ける。優しい味がした。
「どうしたの?」
史はそう聞くと、清子は茂の方をみる。
「そろそろ雑炊にしましょうか。」
「そうだね。作ってきてくれる?」
「えぇ。卵を入れますか?」
「辰雄さんところの卵があるんだ。別にしてあるからそれを二つ入れてきてくれるかな。」
「わかりました。」
清子はそういって蓋をした鍋を手に、台所へ向かう。その後ろ姿を見て、茂は少し笑った。
「素面みたいだ。」
「あぁ。あいつ日本酒とかビールなら全く酔わない。可愛くないな。」
「そういうなよ。あそこのお祖母さんも、ざるだったって聞いたことがあるし。」
二人はその清子の祖母を知っているのだろう。自分だけが知らないのだ。恋人であるのに、清子の周りのことを二人が知っているようで嫌だった。
「なんだよ。編集長、変なところで嫉妬すんなよ。」
「別に……。」
そういって史は日本酒に口を付けた。
「あんた、レストランとか予約してたんだろ?」
「キャンセルした。ついでにホテルもね。」
「へぇ……良いのかよ。」
その会話に茂は目を丸くした。
「え?」
「付き合ってんだよ。二人が。」
晶がそういったのを聞いて、少し驚いたように茂はみる。晶はずっと清子しか見ていなかった。今度会うときには一緒になると豪語していたのに、あっさり史に明け渡したのだろうか。
「晶。」
「なんだよ。」
「お前、昔……。」
いいや。史の前でそれは良くない。それを言えば、史の気も悪くするだろう。
「んだよ。別にいいんだよ。今、あいつが誰と付き合おうと。」
そういって晶は日本酒を口にした。
「久住はずいぶんおおらかになったものだ。」
「そっかな。」
「何かあったのか。」
じっと史は鍋のなくなった向こうの晶をみる。しかし晶は鼻で笑って誤魔化した。
「別に?」
すると清子は居間に戻ってくる。そして茂に聞く。
「すいません。ご飯はどれを?」
「解凍してあるよ。こっち。」
そういって茂も立ち上がって、台所へ向かった。その後ろ姿を見て、史は晶に聞く。
「今日の写真は、カップルに見せるために清子を連れていくと言っていた。ただ一緒にいるだけではカップルに見えないだろう。何かしたのか?」
「別に?何もしてない。」
へらっと笑う。そしてきんぴらに口を付けた。
「したとしても仕事だろ?何の感情もない。」
「だとしてもだ。気分がいいわけがないだろう。」
「どうだろうな。もし、まだ俺が清子に気があるとすれば、あんたをここに連れてこようとは思わないだろ?」
殺伐とした空気の中、清子は鍋を持って居間に戻ってくる。
「ネギも入れると美味しいですよね。」
こんな空気とは全く思っていない清子は、上機嫌に鍋の蓋を開けた。
「清子ちゃんはあまり食べていないから、雑炊だけでも食べた方が良いよ。」
「お腹いっぱい。」
「駄目。食べなさい。」
茂の言葉に、晶は少し笑った。
「おかんかよ。」
すると史は立ち上がる。そして外へ向かう。
「どうした?」
「トイレ。」
「場所わかるよな。」
「あぁ。」
掘り炬燵は相当温かいし、ストーブの力もあって部屋はとても暖かい。だから外の冷えが身に染みるようだ。離れにあるトイレに向かうと、すぐ男性用の便器がある。ひどい匂いがするがこの周辺だけで、トイレは綺麗なものだ。こういうのもきっと刑務所で仕込まれたのだろう。
用を済ませると、外にでた。するとちらちらと白いものが降っている。雪のようだ。
「雪か……。」
積もる雪ではないだろう。海風が温かいからだ。しばらくぼんやりとしていると、清子が家から出てきた。
「史。」
「どうしたの?」
「ちょっと遅いから様子を見に。」
「雪が降っててね。見て。」
すると清子は少し笑う。
「本当ですね。でもこの辺は積もらないんですよ。私がいたときもひどい寒波の時に薄く積もりましたけど、それ以来見たことはないです。」
「寒いと思った。」
「雑炊を食べたらお風呂に入りますか?沸かしているから、あまり冷えていないですし。」
ちらっと風呂の竈をみる。もう火が消えているのかもしれない。少しくべておいた方が良いかもしれないなと、清子はその竈に近づいた。すると史はその後ろから清子を抱きしめる。
「史……。」
「誰にも渡さないから。」
「え?」
その言葉に清子は驚いたように、史をみる。まさか、ここで晶とキスをしたのもわかっているのだろうか。だからこんなことをいっているのだろうか。不安になりながら、清子はその手に手を重ねる。
「酔ってますか?」
「……酔ってるかもね。明日は……つれて帰りたい。良いかな。明日こそは用事がない?」
「そうですね……。買い物へ行くくらいです。」
「買い物?」
「もう少ししたら正月価格になるから。買いだめしておきたい。」
その言葉に史は清子を抱きしめる力を強くした。
「車で来てて良かった。付き合ってあげるから。」
すると、家から晶が顔をのぞかせる。
「何やってんだよ。雑炊冷えるぞ。」
「あーそうだった。」
「すいません。ちょっとお風呂を見てて。」
史は清子を離すと、家の中に入っていく。そして清子も入っていった。
「家の中は相当温かいな。掘り炬燵ってすごい。」
史はそういって足を中に入れる。すると茂は少し笑った。
「お客さんが来たときくらいしか入れないんですよ。普段はストーブか火鉢ですよ。」
「火鉢もあるんですか?」
「祖母のものです。あぁ……そうだ。清子ちゃんは、今日祖母の部屋で寝てもらってもいいだろうか。」
「結構ですよ。」
「男二人は、仏間だな。」
「縁起悪いなぁ。俺、いつもばーちゃんの部屋で寝てたじゃん。」
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