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人体改造の男
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里香という人はもう三十近いはずなのにとても若く見える女性で、背も高いが胸がとにかく大きかった。
「何カップあるんですか?」
「K。」
「すごーい。」
大きい胸を持っているからと言って太っているわけではない。胸やお尻だけが大きいのだ。
今日は主婦の役ということで、ニットと短いスカート。そして白いエプロンをしている。もちろんニットの下には、何も付けていない。
「春川さんも胸結構あるよね?」
「まぁ、そうですね。無いことはないですが。」
「でももったいないわぁ。なんか無理して色気消してる感じ?そういうのが好きなの?」
「あ、まぁ。そうですね。こういう仕事をしてれば、勘違いする人も多いですし。」
「なーるほどね。」
そういって里香は煙草の火を消した。髪のセットが終わり、彼女は立ち上がる。
「胸垂れてきたかなぁ。」
「そんなこと無いよー。里香ちゃん、二人子供産んだと思えないから。」
「マジで?」
その言葉に彼女は驚いた。
「うん。マジマジ。もう中学生なのよー。その下小学生。」
「あれ?でも三十手前って。」
「んなの嘘に決まってんじゃん。もう三十二よ。高校の時にはもう出来てたし。」
「すごーい。」
「旦那居ないから、自分で稼がないとね。」
濃い化粧。その割には薄いマニキュアをしている。主婦の役だからと、濃いマニキュアをしてこなかったのだという。
「最初、歳誤魔化してさ、ヘルスとか居たの。でもやっぱ子供と時間合わないしさ。かといって売りしたくないじゃん。」
「まぁ。そうでしょうね。」
「あ、春川さんも結婚してるんですよね。」
メイクをしていた女性がそういって彼女に聞く。
「へぇ。そうなんだ。」
「はい。してますよ。」
「旦那優しい?」
その言葉に彼女は少し戸惑った。
「うちは亭主関白なんで。言うことだけ聞いてれば何とかなりますよ。」
「へぇ。あたしそれが出来なかったからかなぁ。すぐ別れちゃって。ほら、相手も同級生だったしさ。若いと遊びたいじゃん。」
「そうでしょうね。」
「自分は遊び回ってんのに、家でおとなしく子供と居るなんて、あたしには無理。」
里香はそう言って、また姿見の鏡を見た。自分の体をチェックしているらしい。すると外から別の女性スタッフがやってきた。
「里香さーん。台本少し変更があるそうですよ。」
「マジで?」
「台詞なんですけど。」
そのスタッフは春川を観て少し驚いたような顔をしている。
「どちら様ですか?」
「ライターだって。」
「すいません。違ったらごめんなさい。春って名前じゃないですか?」
「春川です。どうしました?」
確かに本名は春だが、その名前をここで言いたくはない。だから春川は嘘をつく。
「春って呼ばれてません?」
「いいえ。」
スタッフの女性は少し首を傾げると、少し微笑んで言った。
「前に私、桂さんに「春」って呼ばれて呼び止められたことがあって。」
「え?桂さんが?」
その言葉にメイクをしていた女性も、里香もそちらをみた。
「桂さんの知り合いですかね。」
だが春川はあくまで冷静に言う。
「だと思うけどさ。でも桂さんが追いかけてくるくらいだよ?」
「彼女かな?」
「でもさAV男優はないよ。」
「へぇ。どうしてですか?」
バッグからメモと紙を取り出した彼女は、里香に聞く。すると里香は、笑いながら言う。
「だってさ、仕事でセックスばっかしてんだよ?自分以外の人とさ。女優もそうだけど男優はさらに人居ないし、あたしたちは毎日撮影しているわけじゃないけど、桂さんくらいだと売れっ子だし毎日してるわけじゃん。」
「無理。無理。自分まで回ってこないって。」
「それにさ、女優と男優の恋愛は御法度よ。男が食いっぱぐれるって。」
「マジ?でも一般人だと理解は難しそうですね。」
「そうなのよ。だから結構結婚してない人多い。割り切って遊んでる人とかさ。」
「竜さんとかすごい遊んでるらしいよ。」
「マジでー?」
そう言って彼女らは顔を見合わせて笑う。
「里香さん。そろそろドラマシーンの撮影ですよ。」
外から男の声が聞こえた。その声に里香は「ハーイ」と声を上げる。
「撮影もみる?」
「えぇ。」
「度胸あるね。他人のセックス面白い?」
「別に。仕事と思えば。」
「ははっ。そうね。あたしも面白くてやってるわけじゃないし。」
里香はそう言って踊るような足取りで、部屋を出ていった。その後ろをスタッフが向かう。メイクや髪型をチェックするのだろう。手には大きなメイク道具が握られている。
その後ろを春川がついて行く。スタジオには桂がいるはずだ。彼と会うのはセックスをしたとき以来か。あの夜のことを思い出すと胸が熱くなる。
だけど今日、彼は別の女性とセックスをする。それをまともにみれるかはわからない。もしかしたら途中で逃げてしまうかもしれない。だけど自分のことだ。
スタジオとなる部屋は、リビングダイニング。ここでセックスをするわけではないのだが、ドラマシーンをここで撮るらしい。
映画さながらのライト、カメラ。スタッフ。そして監督が動き回っている。彼女はそのドアのそばで、その様子を見ていた。
少しして、スーツ姿の男が現れた。それはいつか北川が出張ホストでデートをしていた達哉という男とその後ろを桂がやってくる。桂はこちらを少しみたが、すぐに監督の元へ向かう。仕事モードにはいったらしい。彼女もすぐ頭を切り替えた。
「何カップあるんですか?」
「K。」
「すごーい。」
大きい胸を持っているからと言って太っているわけではない。胸やお尻だけが大きいのだ。
今日は主婦の役ということで、ニットと短いスカート。そして白いエプロンをしている。もちろんニットの下には、何も付けていない。
「春川さんも胸結構あるよね?」
「まぁ、そうですね。無いことはないですが。」
「でももったいないわぁ。なんか無理して色気消してる感じ?そういうのが好きなの?」
「あ、まぁ。そうですね。こういう仕事をしてれば、勘違いする人も多いですし。」
「なーるほどね。」
そういって里香は煙草の火を消した。髪のセットが終わり、彼女は立ち上がる。
「胸垂れてきたかなぁ。」
「そんなこと無いよー。里香ちゃん、二人子供産んだと思えないから。」
「マジで?」
その言葉に彼女は驚いた。
「うん。マジマジ。もう中学生なのよー。その下小学生。」
「あれ?でも三十手前って。」
「んなの嘘に決まってんじゃん。もう三十二よ。高校の時にはもう出来てたし。」
「すごーい。」
「旦那居ないから、自分で稼がないとね。」
濃い化粧。その割には薄いマニキュアをしている。主婦の役だからと、濃いマニキュアをしてこなかったのだという。
「最初、歳誤魔化してさ、ヘルスとか居たの。でもやっぱ子供と時間合わないしさ。かといって売りしたくないじゃん。」
「まぁ。そうでしょうね。」
「あ、春川さんも結婚してるんですよね。」
メイクをしていた女性がそういって彼女に聞く。
「へぇ。そうなんだ。」
「はい。してますよ。」
「旦那優しい?」
その言葉に彼女は少し戸惑った。
「うちは亭主関白なんで。言うことだけ聞いてれば何とかなりますよ。」
「へぇ。あたしそれが出来なかったからかなぁ。すぐ別れちゃって。ほら、相手も同級生だったしさ。若いと遊びたいじゃん。」
「そうでしょうね。」
「自分は遊び回ってんのに、家でおとなしく子供と居るなんて、あたしには無理。」
里香はそう言って、また姿見の鏡を見た。自分の体をチェックしているらしい。すると外から別の女性スタッフがやってきた。
「里香さーん。台本少し変更があるそうですよ。」
「マジで?」
「台詞なんですけど。」
そのスタッフは春川を観て少し驚いたような顔をしている。
「どちら様ですか?」
「ライターだって。」
「すいません。違ったらごめんなさい。春って名前じゃないですか?」
「春川です。どうしました?」
確かに本名は春だが、その名前をここで言いたくはない。だから春川は嘘をつく。
「春って呼ばれてません?」
「いいえ。」
スタッフの女性は少し首を傾げると、少し微笑んで言った。
「前に私、桂さんに「春」って呼ばれて呼び止められたことがあって。」
「え?桂さんが?」
その言葉にメイクをしていた女性も、里香もそちらをみた。
「桂さんの知り合いですかね。」
だが春川はあくまで冷静に言う。
「だと思うけどさ。でも桂さんが追いかけてくるくらいだよ?」
「彼女かな?」
「でもさAV男優はないよ。」
「へぇ。どうしてですか?」
バッグからメモと紙を取り出した彼女は、里香に聞く。すると里香は、笑いながら言う。
「だってさ、仕事でセックスばっかしてんだよ?自分以外の人とさ。女優もそうだけど男優はさらに人居ないし、あたしたちは毎日撮影しているわけじゃないけど、桂さんくらいだと売れっ子だし毎日してるわけじゃん。」
「無理。無理。自分まで回ってこないって。」
「それにさ、女優と男優の恋愛は御法度よ。男が食いっぱぐれるって。」
「マジ?でも一般人だと理解は難しそうですね。」
「そうなのよ。だから結構結婚してない人多い。割り切って遊んでる人とかさ。」
「竜さんとかすごい遊んでるらしいよ。」
「マジでー?」
そう言って彼女らは顔を見合わせて笑う。
「里香さん。そろそろドラマシーンの撮影ですよ。」
外から男の声が聞こえた。その声に里香は「ハーイ」と声を上げる。
「撮影もみる?」
「えぇ。」
「度胸あるね。他人のセックス面白い?」
「別に。仕事と思えば。」
「ははっ。そうね。あたしも面白くてやってるわけじゃないし。」
里香はそう言って踊るような足取りで、部屋を出ていった。その後ろをスタッフが向かう。メイクや髪型をチェックするのだろう。手には大きなメイク道具が握られている。
その後ろを春川がついて行く。スタジオには桂がいるはずだ。彼と会うのはセックスをしたとき以来か。あの夜のことを思い出すと胸が熱くなる。
だけど今日、彼は別の女性とセックスをする。それをまともにみれるかはわからない。もしかしたら途中で逃げてしまうかもしれない。だけど自分のことだ。
スタジオとなる部屋は、リビングダイニング。ここでセックスをするわけではないのだが、ドラマシーンをここで撮るらしい。
映画さながらのライト、カメラ。スタッフ。そして監督が動き回っている。彼女はそのドアのそばで、その様子を見ていた。
少しして、スーツ姿の男が現れた。それはいつか北川が出張ホストでデートをしていた達哉という男とその後ろを桂がやってくる。桂はこちらを少しみたが、すぐに監督の元へ向かう。仕事モードにはいったらしい。彼女もすぐ頭を切り替えた。
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