セックスの価値

神崎

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雪深い街

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 仰向けの状態のまま足を広げる。そうすると祥吾もまともに見たことのないところが、桂の前でありありと見られてしまう。こんなところ、産婦人科でも行かない限り他人には見せない。
「春。ここ。凄い綺麗だな。」
 性器どころかお尻の穴まで見られるのだ。その事実に彼女は顔を背ける。性器からは愛液が溢れ、シーツを濡らしていた。
「や……そんなに見ないで。」
「あんたもやるなって言うのにやっただろう?」
 彼はそう言って彼女の性器のヒダを指で広げる。ピンク色のそれから次々と愛液が溢れ、お尻にまで垂れていた。
「綺麗だな。」
 その上には突起がある。片手で性器を広げ、その突起に片手で触れると彼女は軽く震えながら声を上げた。
「あっ!」
「痛いか?」
「ううん。変……凄い感覚が……。」
 答える前に、彼はその突起に指を這わせる。そしてそのままその濡れている性器に中指を入れた。
「あっ!」
 指をぎゅっと締め付けてくる。何度も彼女としているが、相変わらず締め付けがいい。
「春。音、聞こえる?」
 指を抜き差しする度に、じゅぶじゅぶと音がした。
「あっ!あっ!」
 声を抑えきれないように、彼女はそのおそってくる快感に耐えていた。シーツを掴むと、彼を見る。
「啓治……。駄目。またイくから……んっ!あっ!」
「何回でもイけよ。ほら。」
 人差し指も入れて、さらには下しく指を動かす。それでも彼女は耐えていた。だがそれも限界だ。
 ぐっと指を曲げて、その感じるところに指を這わせたのだ。
「駄目……あっ!啓治。け……ああああ!」
 体がぐっと弓なりになる。そしてその性器から愛液が溢れた。それは桂の手を濡らし、指を抜くとまるで手を洗ったようにぽたっと汁がシーツに落ちた。
「もっと感じて。春。俺で感じて。」
 足を持ちあげると、その足もガクガクと震えている。そしてその濡れているところにはちきれそうな彼の性器をすり付ける。濡れている彼女の性器が彼を拒否するようにぬるっと、クリトリスの方へ逃げていった。だがそれで彼女はまた小さくあえぐ。
「あぁっ。」
 AVの撮影はどうしても見せるためのセックスをしないといけない。だから自分が気持ちよくなることは、あまり考えたことはない。だが今は自分もそして彼女もこんなに感じている。
 彼女が欲しい。
「春。」
 熱っぽく見下ろされる視線。それだけでどうにかなりそうだ。全身が熱い。手を彼の首に回し、引き寄せると唇が重なる。
「愛してる。」
「俺も愛してる。」
「啓治。早く……一つになりたい……。」
「あんたから求められるとは思わなかったな。春。」
 彼はそう言って少し笑うと、体を起こしてその濡れている性器に自分を押し当てた。そしてゆっくりと亀頭が音を立てて入っていく。
「せまっ……。」
 温かいのにぎゅっと締め付けてくる。それに進む度に濡れているのがわかった。
「春。少し入ってる。」
「ん……。大きい……。」
 腰を掴み、それを少しずつ入れ込んでいく。そのたびに彼女は軽くあえぎ、彼を見上げる。彼の息も荒くなってきた。入れ込む度にぎゅっと締め付けてくるのだ。
「春。力抜いて。奥にもいけないから。」
「……んっ。」
 腰を掴みついに奥までたどり着くと、彼は一息を着いた。
「あんたの中、凄い気持ちいい。離したくないのか?」
「離したく……離したくない。啓治。離さないで。」
 こんなに色っぽい表情が出来るのだろうか。最初にあったときこんな表情を想像していなかった。ただどんな顔であえぐのか、それが気になっただけだったのに。
 こんなに愛おしい。それだけで胸の奥が熱い。
「春。捕まって。そう。首に手を回して。」
 彼はそう言うと、膝で立った状態のまま彼女を持ち上げた。そしてその中に打ち込んでいく。
「あっ!啓治!そんなに……激しい!」
「優しくするつもりだったのに。無理。もう理性が効かない。春。んっ!凄いな。どんどん濡れていく。」
「ああっ!」
 奥へ入れる度に声を上げる。当てている背中が汗ばんできた。
「啓治……啓治……。あっ。駄目。もう……。」
「イきそう?ここ絞まってきた。春の中すごい気持ちいい。その顔も見せて。」
「あっ!ああああ!」
 叫び声に近いような声で、彼女は今日何度目かわからないくらいの絶頂を迎えた。
「春。春。」
 息を整えて、彼は膝を折り、彼女の膝の上に載せた。するとそこからまた彼女を下から突き上げる。
「まだ……イってるっ!啓治。変になる。ああああ!」
 そのまま彼は胸に、耳にそして唇に手を這わせる。すると彼女の腰も動き始めた。
「んっ!ああああ!」
「凄い。春。今日、何回イくの?春。そんな顔は俺だけの前だけだからな。春。」
「啓治……。」
 背中に伸ばされる左手の薬指には、銀色のリングが光った。
 最初にあったときにもあって、それはさながら彼女をつなぎ止めるための手錠のような気がしてた。今は違う。それは彼が彼女を愛している形だった。
「春。」
 そのまま唇を重ねる。そして彼女のその肌に触れてきた。

 裸のまま抱き合い、春川は自分の性器から桂の性器が抜かれたとき、ドロッとしたものが出てくるのを感じた。それは彼の精液と自分の愛液が混ざったものだったのかもしれない。
「ずいぶん濡れたな。裕太に怒られなければいいが。」
 だが反省の色はない。むしろそれくらい激しくできて良かったと思っているのだろう。
 彼女は息を切らせて彼の体に体を寄せた。
「どうした?」
「熱い。体が……。頭がどうにかなるかと思った。」
「明日のことまで何も考えられないくらい激しくしたかったんだろう?」
「うん……。」
「でもコレで終わりじゃないから。」
「え?」
「まだ俺、二回イっただけだし。」
「……啓治……。」
「抱き足りない。春。明日はデキるかわからないなら、今日沢山抱きたいんだ。」
「駄目。」
「春。」
 そう言って彼女は彼の体に体を寄せる。
「コレ以上したら、頭がどうにかなる。あなたしか欲しくなくなるから。」
「俺だけ見ろ。春。俺はあんたしか見てないから。セックスの価値を変えてくれたあんたしか見てない。」
「啓治。私も、あなたしか見てない。怖かったセックスが幸せの行為だと気がつかせてくれたのよ。価値観が変わったわ。」
 彼はそう言って、彼女の頭を撫でる。そして背中に手を伸ばす。
「んっ……。」
「背中弱かったよな。と言うか、あんたはどこを責めても敏感だからな。」
「あなただからよ。」
 滑らかな肌に指を滑らせると、彼女の吐息が荒くなった。
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