カノコの日常〜妖怪があつまる『幻灯の夜市』で《後悔石》を探すバイト生活が始まった。あなたのその後悔、晴らします〜

灰緑

文字の大きさ
12 / 24

幻灯の夜市(二)

しおりを挟む

 妙音鳥が見つめる視線の先を、わたしもじっと見つめている。
 少しだけ周囲が明るくなる気配を感じた。
やがて、ぼんやりと光る円環が、空気の沈黙を破り地面に現れる。円環は微細な光の粉を上方に撒き散らして、それは線香花火のように消え散っていった。
 
 異様な光景に視線を奪われていると、光の輪が一層強く輝き、その中から青い火を宿した灯籠が、ゆっくりと垂直に浮かび上がってくる。二つの灯籠を渡すようにしめ縄が結ばれ、放物線を描いていた。怪談の出来事にふさわしく、灯篭の根の部分は消えかかっている。
 
 灯篭は静止した。揺らいでいた青い火は静かに姿勢を正して、耳がしんとする静寂が訪れる。
 
 わたしは、まじですか、と頭の中で繰り返す。
 日々わたしの信じる気持ちは上向いていたけど、まだ四割ぐらいは妙音鳥を疑っていた。だが、この光景を自分で 見てしまった以上、もはや信じるしかなかった。

「さ、行きましょう。ケーキ箱をひとつ持ちます。あと、……手首にはブレスレットはありますよね?」
 
 妙音鳥の確認に、「はい」と右手を上げた。
 
 なぜか妙音鳥は、ことあるごとにそれを尋ねてくる。

「僕が先にしめ縄を飛び越えます。姿が消えても驚かないでください。向こうの世界に行くだけです。カノコもすぐにしめ縄を飛び越えてください。いいですね」

 しめ縄って……。
 
「あ……」

「なんです?」

「しめ縄って神道ですよね? 確か。妖怪ってなんか仏教っぽいので違和感が……」

「仏教っぽい?……ですかね。この世との境界線は八百万の神々が管理していますので、しめ縄というわけです。僕は仏教系ですので、この儀式では神道の力をお借りしています。神々は決して対立しませんから」

「な、なるほど」

 あ、わたし、意外と緊張している。
 肩を上下させて、緊張も一緒にほぐそうと試みた。だが身体は凍っているようで、首筋に小さく痛みが走る。

「では、お先に……」
 
 え、もう? まだ気持ちの準備が————と言う暇はなかった。
 わたしの右手は先ゆく妙音鳥の背中を追ってみたが届かずに、彼はさっと飛び越えた。
 右の灯篭から青い火の玉が、ゆらゆら、と現れる。妙音鳥が持つ赤紙に、燐の粉を飛ばしながら飛びついて、一気に燃え上がった。

「あ」と、わたしが発するのと同時に、妙音鳥は、ぱっと消えた。

 怖けど置いていかれるのはもっと困る。

 わたしは、ええい、と飛び越えた。
 もともと体重が軽いわたしだが、ふわりと羽毛が落ちるように着地する。赤紙を前に差し出すと、右の灯籠から青い火の玉が、よろよろ、と現れる。 
 
 なんだか可愛いと見つめていると、ようやく赤紙に辿り着いて、瞬時に青く燃え上がる。
 同時にわたしの視線に、真っ白く強い光りが飛び込んできた。
 
 眩しくて左腕で目を隠し、下を向く。おそるおそる目を開けると、地面は青く照らされていた。
 なぜか背後が気になって振り返ると、色を失った深淵の暗闇が待ち受けていた。先などまるで見えない黒の中の極。

「……ノコ、カノコ。こっちです」

 どこからからわたしを呼ぶ声。声の出所を探すと妙音鳥がいた。怖かったよと足が勝手に動いて、わたしは駆け寄った。

「気をつけてください。あの暗闇の先は虚無です。迷子になったら誰も助けられません。今、僕たちは、夜市の最果ての際にいます」

 妙音鳥の声は角が立っていて、鼓膜に突き刺ささる。

「いいですか。カノコ。ここでは明るい場所だけが安全です。暗闇に囚われないでください」

 妙音鳥の袖口にしがみついて、顔をぶんぶんと上下させた。

「大丈夫。落ち着いてください。僕の背後は青く明るいでしょう。中心が最も明るい場所です。そして……耳を澄ませてください」

 すーはーと息を吸って、わたしは自分を落ち着かせる。
 妙音鳥の袖口は未だ死守したままだが、耳は音階を捕まえる余裕を少しだけ取り戻した。
 
 不思議なリズムが聞こえてきた。
 日本の太鼓や西洋のバイオリン、あるいはアジアの民族楽器だろうか、古今東西の文化が混ざり合った摩訶不思議な音色が聞こえてきた。  

 耳に心地良いとか、美しいとか、そう言うものではなくて奇々怪界。
 だが決して怖い感じはしない。

「妖怪はいつの間にかこの狭間に生まれてしまって、人間の世界を支配しようとか考えません。中には、人間の世界に干渉しようとする狡猾なやつもいますが、大半はおとなしく、悪意のない連中です。人間の世界から流れ着く楽器を演奏し、ガラクタをいじって暮らしている妖怪も多いのです」

「流れてくるって、私たちの世界と繋がる川があるのです?」

「神隠しですよ」

 それって人が突然消えるやつですか、と身体を震わせる。
 離さない袖口から振動が伝ったのか、妙音鳥はわたしを包み込むように微笑んだ。

「神隠しって、人だと思うでしょうけど、物が忽然と消えることの方が多いんです。それは、この狭間の世界と人間の世界がねじれて、くっついた時に起こります。ありませんでしたか? 突然、消しゴムが消えて二度と出てこないこと。もちろん大体が見つかるでしょう。ですが、そのうちのいくつかは、この世界に流れてしまったりします」

 それはなんとなく合点がいく説明だった。
 そろそろ行きましょう、と妙音鳥は手を強引に振りほどこうとして、それでも必死に抵抗したが力及ばす、わたしの手は宙に舞った。

 わたしは妙音鳥の後を必死に追う。
 妙音鳥が狭間と呼ぶこの世界は、深い森で焚き火をする時に照らされる空間のようで、中心部がひときわ青く明るい。
 中心に向かって伸びる道の両脇には、数多の露店が並んでいて、明るくなるにつれて見かける妖怪の数は増えていった。
 
 店先に視線を送ると、盗んだのか流れ着いたのか、明らかに壊れたものを売る露店。ゴミと言ったら怒られるが、そういう類の物を売る露店の方が、妖怪を集めているようだ。
 
 ようやく妖怪に視線を向ける準備ができたわたしは、少し細目で細部をなぞってみた。異形異型に驚くだろうと身構えては見たがそうでもない。どちらかと言えば既視感すら感じる。
 
 なんだか見たことがあるような妖怪さんたち。それもわんさか。西洋的な悪魔の格好をしたものまでいた。怪談の挿絵や妖怪全集で見たものとそっくりな気がする。

「あれ、妖怪さんたち、なんだか見たことがある気が……そんなこと……ないですよね」

 背後からの小さな声を妙音鳥はちゃんと拾った。

「驚きましたか。人は現れた妖怪の容姿を、ちゃん本に記録していたということです。もっとも、僕たちが来た道は見知った顔が特に多いですね。おそらく売るものが人間の世界のものだから、懐古的に集まってくるのでしょう。向こうで生活していた妖怪もいますから。だがほとんどの妖怪はこの狭間の世界でしか生きられないのですよ……」

 妙音鳥の声は、少しだけひとりぼっちの音色を含んでいる気がした。
 
 甘ったるい、メイプルシロップを十倍濃縮したような匂いがわたしを誘う。くんくんと犬のように鼻を頼りに辺りを探ってみると、右前方から甘い空気の一団が押し寄せてくる。その先にはお菓子を売るお店があった。
 
 長い串の先に、宇宙から見た地球に似た円球が乗っている。たぶんそれは飴玉で、明らかに美味しそうに見えた。
わたしは妙音鳥のジャケットの後ろ裾を引っ張って、振り向いた彼に分かるように指差した。その指の意味はあれが食べてみたいです。

「あれを食べたいのですか? いいですよ。ただ……耳、生えますよ。それでもいいなら」

 ひっ、と両手で黒髪を押さえた。なんなのこの世界。

「あれは、獣人系の妖怪が好むお菓子ですよ。確かに美味しいと聞いています」

 そう言われれば、耳の生えた人間に近い容姿の親子が、楽しそうにお菓子を選んでいる。

「あの妖怪はおとなしいです。人に悪さも加えない。今どきなら、異世界系の漫画に出てくるキャラクターに近いですね」

 不意に子供の猫耳妖怪が振り向いて、飴玉を食べながら、にこっと、わたしに微笑んだ。
 やだ、なにそれ、あの子供かわいい。いつかふもふもしてやる。だがわたしの顔ほうが怖かったのか、妖怪の子供は母親の背中にさっと身を隠した。
 
 妙音鳥はさらに先へと進んだ。明かりの中心部は満員電車に近い混雑ぶりで、ここで迷子になったら確実に帰れないと悟って、必死で妙音鳥の背中に食いついてった。
 
 黒い背中は突然に止まった。
 わたしは頭をぶつけて、もう何よっ! と恐怖混じりの目で上を向くと、少しだけ後ろを振り向いた妙音鳥が、「着きましたよ」と軽い調子で囁いた。

 妙音鳥の隣に並び、ゆっくりと視線を昇らせていくと、そこには水ではなく青い炎を湧き上げる噴水が聳え立っていた。天に目指す青い炎を含めると十階立てのマンションぐらいの高さだ。

「あの炎の柱が中心となり、『幻灯の夜市』を照らすドーム状の光域を作り出しています。光が届かない場所が、先ほどカノコに注意した虚無の暗闇。そこだけは絶対に行っては駄目です……。この噴水から放射線状に道が伸びていて、六本あります。僕たちが来た道は、人間界の色が強い露店が多いですが、それぞれの道に特徴があって面白いですよ。我々の目的のお店も、その中の一本にあるはずです……」

 話し終えると妙音鳥は噴水の縁に近づいて行く。熱くないのかと思ったが、むしろ青い炎は冷たくて、いまだ緊張気味のわたしには気持ちいい。のこのこと彼の後を追う。

 そこには初老の妖怪がいた。日本の紋付に似た服装から男性のようだが、異様に長いあごひげ
と荒涼とした頭はいかにもありがちな妖怪風情だ。噴水を取り囲む円形の縁に腰を下ろし、ぼんやりと宙を見つめている。

 わたしはじっと見つめてしまって、当然のように気づかれて目線が合う。
うげ、どうしよう……。慌てるわたしの心は放置されて、老妖怪の視線は隣の妙音鳥に向けられた。先に口を開いたのは妙音鳥だった。

「お久しぶりですね。ご老体」
 
 いきなり話しかけた妙音鳥。ちょっと! 何するの、この人! 

「その言い方は……おお、坊じゃないか」

 どうやら知り合いのようだが、坊っていつの時代よ。

「坊はもういい加減、やめてください。今は祖父を継いで五代目ですから」

 声はどこか気恥ずかしさを装っているけど、その内側には老妖怪への親しみが溢れている気がした。そう、それは自分の祖父に久しぶりに会う時の懐旧に近いなにか。

「あのおいぼれ、謙十郎もくたばって、もう十五年か。いやはや感傷だのう」

「……ええ、そうですね。もう随分と過去のようです」

「お前と会うのは一年振りかのう。最近、わしもこの夜市には、めっきり訪れなくなってな。よくわしがいることが分かったのう」

「ええ、そういう能力が僕にあることを、ご存知でしょう」

「はは、そうだったのう……ん? その隣の子は……ほぉ、これは、これは珍しい。お嬢さん、もしや手に赤い紐を付けていないかい?」

「え、は、ひゃい」

 急遽の名指しに、わたしは綺麗にダメ声を出す。わたしは、どんだけ、アドリブに弱いのよ————。でも、どうしてこの赤いブレスレットのこと、分かったの、妖怪さん。

「私の助手です。カノコと言います……ご老体。その辺で……」

「ほほ、まぁ、いいわい。お前のアレか」

 老妖怪は右手の小指を突き出した。え、妖怪でも恋愛とかあるのですか、と勘ぐるが、妙音鳥は切れ味鋭く首を左右に振って否定する。
 え、いや、確かに違うけどそこまで否定されると、ちょっと傷つく。

「ご老体、ところで今日は差し入れがあります。カノコ。あれを。チョコのほうを」

「あ、はい」

 多分このことだろうと、ケーキ箱を差し出した。
 マジックで黒いペケの印は、チョコレートショートだ。
 艶のない白い箱を見た途端、老妖怪は目を見開いて、「おおぉ! もしやそれはわしの好きなチョコレートかや?」と身を前に乗り出す。
 え、うそ。チョコ好きなんて妖怪としてありですか、おじいちゃん。

「はい。そうです」

 妙音鳥は静かに笑う。

「カカオが多めかのう?」

 何、そのこだわりっ! と突っ込みたいがそこは我慢した。

「そこまでは……ただ、美味しいと評判ですよ。人間の世界では。ご老体も気に入ってもらえると思います」

「そうか、そうか。それは楽しみだ」

 老妖怪は丁寧にわたしから箱を受け取ると、噴水を囲む縁の上に置いた。

「尋ねてくるとは、あれじゃな。隼人」

 老妖怪は求めるように手のひらを差し出した。

「ええ、お願いします」 

 妙音鳥は島崎の名前が書かれた赤紙を取り出して渡した。

「ふむ。相変わらず、奇特なことをしているの。他人のことなどほっとけばいいものを」

「人間は……そうも行かないのですよ。血が繋がっていなくても」

「まあな。そこがいいところ、かもしれんな……妖怪は、血族以外はほとんど無関心だからの……」

「ご老体は僕のこと覚えているではないですか。ただ珍しいとは思いますね……」

「お主とは色々あったからの……さて、この紙に書かれた人物の『後悔石』がある場所を探しているのだな」

「はい。お願いします。何しろ、五年前のものですから赤紙と引き合う力も弱まっています……ですが、この紙に名前が書けるということは、どこかにあるということ。ゆえにご老体を訪れた訳です」
「よかろう」

 老妖怪は目を閉じて言葉を発し始めたが、何を喋っているかまるで分からなかった。むしろわたしには雑音に聞こえる。なんとか聞き取ろうと耳を傾けていると、「カノコ。聞こえませんよ。あれは人間には分からない言語です」と妙音鳥が教えてくれた。

「北……四の通り、左の列……二十五軒目にある」

「ありがとうございます。ご老体。助かりました」

「なんの。なんの。またおいで。隼人。お前は……人間だが、わしにとっては孫に近い」

 妙音鳥は深く丁寧に頭を下げた。わたしも助手の務めで頭を下げる。

「そう言っていただいてありがとうございます。では、これで……ご老体、またの機会に」

 意外にもあっさりと妙音鳥はその場を後にして、目的の道へと進んで行った。
でも、久しぶりならもう少し話を咲かせてもいいと思う。

「妙音鳥さん……あの、一年振りなら、もう少し話しても……せっかくだし」

 わたしは後ろで手を組んで、妙音鳥を隣から見上げた。 

「あれでいいのですよ。妖怪は人間的な関係を求めません。あの妖怪は僕と長年付き合うぐらいですから、少し違いますが、ほとんどの妖怪はその場限りで忘れてしまいます」

 そう言われると納得するしかない。
 だけど、やっぱり少し寂しいし、話せば楽しい会話が記憶に残ると思いたい。
振り返ってみたが、既に老妖怪の姿はなかった。お爺ちゃん……また会おうね。

「妙音鳥さん……『後悔石』って、探すの、大変なんですね」

「二、三年年以内のものは比較的容易です。距離が離れていても、名前が書かれた赤紙と『後悔石』は強く引き合いますから。ただそれ以上の年月が過ぎると反応が鈍く、僕でも難しい。だからご老体にお願いしたのです。あの妖怪の能力は、繋がりがある二つの物の場所を感知できる。あとはその露店で、『後悔石』に赤紙を近づけると反応しますから、容易に分かります」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

あやかし家族 〜五人の兄と愛され末妹〜

南 鈴紀
キャラ文芸
 妖狩りにより両親を奪われ、囚われの身となった半妖の少女・鈴音は浄化の狐火を利用するだけの道具のように扱われていた。呪いにより成長は止まり、容姿も思考も幼いまま、感情が消え失せてもなおただ生かされるままに生きていた。  しかし妖保護部隊本部第一部隊との出会いにより、鈴音の止まっていた時間が動き出す。  掴みどころはないが頼れる氏神・雅仁、兄には厳しいが弟妹には優しい狼の妖・千里、人間嫌いだが人当たりの良い振りが得意な人間・遥杜、可愛いもの好きで元気いっぱいの猫又・鴇羽、大人しいが思いやりに溢れる猫又・瑠璃。  五人の兄と過ごす時間の中で、無いものだらけだった鈴音にもやがて大切なものが増えていく。  妖×家族の心温まる和風ファンタジー。

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

白苑後宮の薬膳女官

絹乃
キャラ文芸
白苑(はくえん)後宮には、先代の薬膳女官が侍女に毒を盛ったという疑惑が今も残っていた。先代は瑞雪(ルイシュエ)の叔母である。叔母の濡れ衣を晴らすため、瑞雪は偽名を使い新たな薬膳女官として働いていた。 ある日、幼帝は瑞雪に勅命を下した。「病弱な皇后候補の少女を薬膳で救え」と。瑞雪の相棒となるのは、幼帝の護衛である寡黙な武官、星宇(シンユィ)。だが、元気を取り戻しはじめた少女が毒に倒れる。再び薬膳女官への疑いが向けられる中、瑞雪は星宇の揺るぎない信頼を支えに、後宮に渦巻く陰謀へ踏み込んでいく。 薬膳と毒が導く真相、叔母にかけられた冤罪の影。 静かに心を近づける薬膳女官と武官が紡ぐ、後宮ミステリー。

烏の王と宵の花嫁

水川サキ
キャラ文芸
吸血鬼の末裔として生まれた華族の娘、月夜は家族から虐げられ孤独に生きていた。 唯一の慰めは、年に一度届く〈からす〉からの手紙。 その送り主は太陽の化身と称される上級華族、縁樹だった。 ある日、姉の縁談相手を誤って傷つけた月夜は、父に遊郭へ売られそうになり屋敷を脱出するが、陽の下で倒れてしまう。 死を覚悟した瞬間〈からす〉の正体である縁樹が現れ、互いの思惑から契約結婚を結ぶことになる。 ※初出2024年7月

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

後宮薬師は名を持たない

由香
キャラ文芸
後宮で怪異を診る薬師・玉玲は、母が禁薬により処刑された過去を持つ。 帝と皇子に迫る“鬼”の気配、母の遺した禁薬、鬼神の青年・玄曜との出会い。 救いと犠牲の狭間で、玉玲は母が選ばなかった選択を重ねていく。 後宮が燃え、名を失ってもなお―― 彼女は薬師として、人として、生きる道を選ぶ。

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

処理中です...