カノコの日常〜妖怪があつまる『幻灯の夜市』で《後悔石》を探すバイト生活が始まった。あなたのその後悔、晴らします〜

灰緑

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わたしがすることだから(二)

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 全力で噴水へと疾走した。
 肩がぶつかったら、ごめんなさい、と後ろに声を落として、背中にぶつかったら両手を合わせて謝って、それから脇を抜けて前に進む。

 中心から外縁に伸びる道は噴水の大きさに比例して前よりも遥かに長く、混雑ぶりを考えると普通に歩いていたら時間はまるで足らない。焦る気持ちさえ身体を前に傾ける力に変えて、押し寄せる妖怪たちの海を必死で泳いでいく。

 ようやく噴水に到着したわたしは、ハアハアと荒い息を繰り返しながら両手を膝に付いて呼吸を整えていた。
 わたしの横目が捕らえた妙音鳥は、涼しい顔で誰かを探しているようだった。

「……妙、音鳥さん……あのお爺ちゃんを……探しているのですか」

「ええ、今日もいるはずです。感じますから」

 噴水の縁をざっと見渡しが、あの老妖怪の姿は見えない。

「妙音鳥さん、噴水の裏側に回りましょう」

 わたしは言い切る前にすでに駆け出していて、息を更に荒げながら裏側に回り込んだ。

 裏側では沢山の妖怪が噴水の縁に座っていて、その中に見知った顔を見つけたわたしは喉を鳴らして叫ぶ。

「お爺ちゃん!」
 
 噴水の縁に座る妖怪たちはお爺ちゃんが多いから一斉にわたしを見つめ返したけど、その中に髭が長く、頭が青光りする老妖怪がいた。あのお爺ちゃんだ。

 わたしはその老妖怪に駆け寄って、「お爺ちゃん……覚えている? わたしのこと」とすがった。老妖怪の目が僅かに揺れた気がした。
 老妖怪は髭を触りながら、「ん……お嬢さん……はて、どこかで会ったかのう……」とわたしの顔を不思議そうに見つめている。

「ほら、この前、チョコレートショートをあげたじゃない」

「……」

 他者に関心がない妖怪らしく、長髭の老妖怪は何も思い出せないようだった。
 だけど揺れた目はきっと何かを感じていると思ったわたしは、より強い刺激ならばとポシェットから一枚を取り出した。

「これ! チョコレート。そして……なんとカカオが二倍よ!」

 どうだ! とチョコレートを一枚、眼前でちらつかせる。

「……そういえば、前にチョコレートショートをくれた人間がおったの————」

「そう、それわたし。妙音鳥さんと一緒に来たの……妙音鳥隼人さんよ」

 老妖怪は、かっと目を見開いて立ち上がり、わたしを軽々と飛び越えた。

 慌てて振り返ると、にんまりと笑う老妖怪がいる。

「思い出したわい。あの時のお嬢さんではないか……」

「気づくのが遅いですよ。ご老体。せっかくのチョコレート、いらないのですか?」

 追いついた妙音鳥が割って入ってきた。

「隼人か。何を言うんだ。もちろんいるわい! すまんのうお嬢さん。妖怪は————」

「————血族にしか関心がないんですよね。いいんです。それで。今日はわたしも自分の家族の為に、ここに来ているんです」

「おぉ、そうか。それでお嬢さん。また『後悔石』を探しているのかね」

 わたしは頷いた。

「はい。自分のお母さんの『後悔石』です。でも今日の『幻灯の夜市』は大き過ぎて、祭りの終わりまでに探せるかどうか……」

「ほっほっ。それでわしのところに来たわけじゃな」

 老妖怪は嬉しそうに目を細めて、左手で長髭を何度も撫でた。

「そうなんです」

「良かろう。ちと頑張るかのう。隼人、赤い紙をくれ」

 妙音鳥はお母さんの名前が書かれた赤い紙を手渡そうとしたそのとき————。

「————そこの人間の女! お前、いいもの持っているじゃないか!」

 突然放たれた獣の咆哮のような鋭い声音。
 
 どすんと心臓に響いて、わたしは動きを止められた。

 老妖怪の背後から覗く視線は剣先のように鋭く、開いた口から垂れ落ちる唾は粘り気を帯びていた。青い袴のようなパンツを履いた白い狼がいた。

 足は凍るように冷たくなって、わたしはふらふらとその場にへたれ込んだ。
 老妖怪は半分だけ振り返って、「おまえは白尾か……こんなところをうろつきおって」と言葉を吐き捨てた。

「やかましい! 爺さん。おれの自由だろう」

「お前の種族は過去の禁忌破りによって、三百年間はこの祭りに来てはならんはずじゃ」

「知らねえ。俺は自由に……やるさ。女、その菓子は人間界のものだろう。俺によこしな」

 かろうじて動く腕でチョコレートを抱きかかえる。これだけはどうしても渡せない。

「この世界の礼儀も廃れたもんだのう。わしを見て何も分からんとは。お主らの種族はそうやって見るべきものを見ない。それでは過ちを繰り返すぞ」

 老妖怪はやれやれという表情で、紋付の袖下から黒色の扇子を取り出た。手首を、くっと曲げて勢いよく開く。開いた扇子を地面と水平にして白尾に突き出し、真下に扇いだ。

「ほれ」

 軽い掛け声とは反対に、空気は突然に重さをまとって、わたしの上に圧しかかる。わたしは目を瞑り、体を縮こませた。

 やがて上からの圧力がすっと自然に消えて、ゆっくりと目を開いた。

 白尾は突っ伏したままの姿勢で地面にめり込んでいた。

「うごぉ……う、動けねぇ……」 

 白尾は苦しそうな声を、めり込んだ顔と地面の隙間から吐き出した。

「なんだよこれは……お前、誰だよ。なんでいつもこうなるんだよ……俺が何を……したっていうんだよ」

 漏れる声はひび割れた絶望を含んだ嘆きのようだった。

「無駄じゃよ。わしの重力帯から逃れることはできぬ。諦めるんじゃ」

 白尾は握っていた拳を弱々しく解いた。彼の体から放たれていた威圧感は地面に落とされて、洗いざらしの犬のように随分と小さく見える。

 ようやくわたしの心臓は勢いづいて、冷えた足は少しだけ暖かさ取り戻す。わたしは踏ん張って立ち上がり、地面に砂絵を描くように足を引きずりながら白尾に近づこうとした。
老妖怪の横を通り過ぎようとした時、「お嬢さん、そやつは気性が荒くてのう……近づかないほうがいいぞ」と忠告された。

「……あ、はい。でも」

 白尾から距離を取ってしゃがみ、声をかけた。

「あなたの一族は何をしたのですか……」

 老妖怪が術を緩めたようで、白尾は上体を反らして肘を付き、顔を上げた。
わたしを睨めつける目は少しだけ潤んでいる。それは、悲しそうな、くやしいような、思い通りに生きられないような、そんな目。

「……うるせえ。お前には……関係ないだろう」

 白尾は下を向いた。よく見ると頭の毛は野良犬のように煤汚れている。噴水の青い炎は冷たく白尾を照らしていた。

「……そうですか」

 ポシェットから一枚を取り出して、白尾から少し離れた場所にそっと置いた。

「それ……あげます」

 わたしの言葉に反応した白尾は顔を上げて、その瞳は大きく見開いている。

「……なんだ、それ……」

「チョコレートです」

「てめぇ、俺に情けでもかけたつもりか! あぁっ!」

 白尾は困惑ぎみに声を荒げて、わたしの肩は少しだけ震えた。でも。

「生きていたら……それだけでいいじゃないですか。後悔だって、消化できるチャンスがあるんですよ」

「……何言っているんだ、お前」

「食べてください。チョコレート。食べると、前向きになります。わたしが保証します」

 わたしは、にかっ、口を開いてみせた。

 ちょっとわざとらしいけど、それでもいい。

「昔に何があったのか分かりませんが、妖怪は長く生きられるんでしょう? なら償ってから、またここに来ればい
いじゃないですか。チャンスがあるなんて……それはすごく嬉しいことじゃないですか」

 わたしの問いかけに白尾は無言のままだった。

「無駄じゃよ。お嬢さん。白尾は、かつては誇り高き一族だったが、やがてそれは他者を見下す傲慢に変わり……災いを起こしてしまったのじゃ。一度、そうなってしまっては、もはや傲慢さを捨て去ることなど、できまいて」
 背後から聞こえる、真に残念そうな老妖怪の嘆きが、耳にちくちくと刺さる。それでもわたしは、「想像したらいいんですよ」とつとめて明るい声を出した。

「想像する?」

 老妖怪は言葉を繰り返した。

「ねえ、白尾さん、名前はなんと言うのですか?」

「……エン十郎……」

「エン十郎さん。思い浮かべてください。いつか、家族や友達とこの夜市を訪れることを……想像する力って素敵なんですよ。思い浮かべたことは、いつ現実になる……そうやって、想像した未来を前に置いて、そこに向けて歩いていく。わくわくしませんか? 未来を思い描くエン十郎さんは、きっと傲慢さなんてなくて、楽しい気持ち、いっぱいです」

「……なんで、お前……俺のことを気にかけるんだ……」

 エン十郎は困惑を顔に浮かべていた。

「え……うーん、なんとなく」

 わたしは、へへっ、という顔を作った。

 エン十郎は少しだけ頬を緩めた。

「訳が分かんねえな。お前……あ————やめた。もういいや。早くいけよ」

 エン十郎は術がすっかり解けたようで立ち上がった。袴に付いている砂を勢い良く払い落とす。

「チョコ、食べてくださいね」

 エン十郎は無言のまま地面に手を伸ばし、チョコレートを拾い上げた。エン十郎はわたしに視線を送る。表情は薄いけど鋭い目尻は完全に鳴りを潜め、柔和そのものだった。わたしは嬉しくて微笑んだ。

「あんた、名前はなんていうんだ……」

「カノコ、月カノコ」

「……カノコ……じゃあな……あ、り……ぅ」

 エン十郎は振り返り、混雑する妖怪の海の中に消えて行った。最後は聞き取れなかったけど、きっとあの言葉だ。

「ははっ。これは痛快じゃ。あの白尾がのぉ……」

 老妖怪はわたしの横に立って勢いよく言葉を響かせた。
 わたしはしゃがんだまま、老妖怪に顔を向けた。下から見える老妖怪の顔はくしゃりとほころび、嬉しそうに見えた。老妖怪はわたしを見おろす。

「知っておろう。妖怪同士は基本的に無関心でな……だがお嬢さんは、あの面倒な種族、白尾から一本とったわけじゃ。人間らしい関わり方でのう。しかし、妖怪が名前を訪ねるなど————」

「————珍しいですね。ご老体。わたしも聞いたことがありません」

 わたしの後ろから妙音鳥の声。振り返ると彼は噴水の縁に腰を下ろしていた。
妙音鳥は立ち上がり、わたしに近づいて手を伸ばす。おもむろに妙音鳥の手を取り、ぐいっと立ち上がった。しゃがみ過ぎたせいで、足が痺れ気味だった。

 妙音鳥はわたしの瞳を見つめる。

「妖怪は関係を作らないから名前を聞く必要がないのです。しかも人間となる余計に。カノコに……興味を持ったということでしょう。誰かに感情を寄せられ、硬い殻を開くことなど……実に珍しい」

 わたしは自然と笑顔になって、「きっと踏み出せないだけなんです。そう……きっかけがあれば大丈夫……」と答えた。

「そうかも……知れん。お嬢さん、すまぬのう。巻き込んでしもうて」

 老妖怪の謝罪に、わたしは慌てて手を振ってそれを否定する。

「あ、お爺ちゃん。『後悔石』! どうしても今日、持ち帰らないと苦しみが続く人がいるの!  お願い! 前みたいに見つけてほしいの」

「おお、そうじゃった! 赤紙をくれるかのう」

 妙音鳥はようやくそれを渡した。

 老妖怪は目を閉じてこの前と同じように呪文を唱え始めた。

「……うむ……北の一の通り、右の列……七十八か九軒目じゃ。今日は『後悔石』も数が多くてこれ以上は分からん。すまんの」

「大丈夫です! ありがとうございます」

 わたしは力一杯頭を下げて、お礼の気持ちを伝えた。

「カノコ、急ぎましょう。もう五十分が過ぎています。今日の混雑ぶりだと、辿り着くまでも時間がかかります」

 わたしは、はい、と答えて、「お爺ちゃん……名前、教えてください」

「ほっほっ。名前を聞かれるのは隼人以来じゃわい。案外嬉しいものだ。わしにも、こんな感情があるとはのう。わ
しの真名は、水天じゃ」

「ありがとう。水天さん。また……きっと……会いましょう……」

 チョコレートを丁寧に手渡した。

「気をつけてな、お嬢さん。いやカノコ。またきっと……会おうぞ……」

 小さくなる言葉尻と合わせるように、天水は透明になって、やがてその姿は消え去った。

「カノコ、もう一度、走ります。僕を見失わないように着いて来てください。いいですね」

「はいっ!」

 妖怪の荒波がいまだ収まらず、激しくわたしに打ち寄せてくる。
 
 でもわたしは飲まれるわけにはいかない。必ず『後悔石』を持ち帰るって、二人に約束したんだ。前を行く妙音鳥の背中を視線で捕まえながら、必死に追いかた。

 やがて妙音鳥は突然に立ち止まった。相変わらず彼は息を切らしていない。

「この辺りですが……弱りましたね。本来なら店番号が書かれた札が貼られているのですが、今日は無いです。露店を端から数える余裕もありませんでした」

「妙音鳥さん、この辺りを端から全部確認していくしか————」

 何かが勢い良くぶつかって、わたしは両手を地面に付いた。

 ピンク色のビニールっぽい袋から、ガラクタといったら失礼だけど、役に立ちそうに無いものが溢れ出て、地面に散乱していった。

「ごめん————。前をちゃんと見てなくてぇ……」

 わたしはガラクタを拾いながら、その声の主人に顔を向ける。

「わたしは大丈夫です。荷物、これで全部ですか? あっ……」

 ぶつかって来たのは前回の夜市で出会った犬耳の獣人だった。

 今日は『後悔石』を売るのではなく遊びに来ているようだ。

「あれ、どこかで会ったことあります?」

 犬耳の獣人は耳先をぴくぴくと動かした。

「前に夜市で会いました。ほら、ケーキと『後悔石』を交換したでしょう? 人間の世界のスウーツゥです」

 わたしは指で四角いケーキ箱を描いた。

「スイーツゥ……」

 考え込む犬耳を見かねて、わたしは追撃の一閃を放った。

「そう……イチゴタルトよ!」

 犬耳は、ぴんっ、と上向いた。

「あ、あぁ、あの時の!————」

 わたしはいきなり抱きつかれ、「あれ美味しかったよっ。本当にありがとう」と頬ずりをされて、犬の髭がくすぐったい。

 髭……そうだ! 犬属性ならば! 

「ねえ、お願い。『後悔石』を探しているんだけど、この辺の露店にあるということしか分からないの。全部を赤紙で調べていたら、夜市が終わっちゃう……獣人さんならその鼻で匂いを嗅ぎ分けられるよね?」

 犬耳の獣人を引き剥がして両腕を掴み、わたしは必死にすがった。

「え……できないこともないと思うけど……でも、ただという訳にはいかないなぁ……スイーツゥくれたらいいよ」
 
 実に妖怪らしい交換条件。でもわたしが持つチョコレートはあと一枚。これは『後悔石』との交換用だ。

 わたしは項垂れ、犬耳の獣人から離した両腕は身体の脇に落ちていく。だが右手はわたしの腰の辺りで微かな膨らみを捕えた。視線を向けるとそれはポケットの膨らみ。

 これ、なんだろう……あ————。ちーちゃん! 
 
 わたしは透明な袋に包まれたチョコチップクッキーをポケットから取り出して、犬耳の獣人に手渡した。

「これは破壊力抜群のチョコチップクッキーよ。間違いない味。そう、口の中に濃厚なチョコレートの宇宙が広がるわ。それはスウーツゥの真理に近づく行為よ」

  わたしは甘すぎる甘言を、犬耳めがけて吹きかけるように囁いた。

 彼女の頬は赤く膨らんで、その顔はまるまると跳ねそうだった。

「なぬぅ————それは! 体験せねば! 分かったわ。わたしがなんとかする————この前は確か、赤い紙を持っていたわよね?」

 妙音鳥は犬耳の獣人に赤い紙を渡した。

 彼女は赤い紙に鼻を寄せて目を瞑り、くんくんと匂いを嗅いだ。ぱっと目を見開いて、今度は顎を浮かせて露店の方に向き直る。もう一度、ゆっくりと目を閉じて香りを掴むように鼻先を小さく動かした。周りの妖怪たちも何事かと自然に場所を空けていく。

 犬耳が、ぴくりぴくりと動いた。
 
 連なる露店の中、犬耳の獣人は白い屋根の店先へ向かう。

『後悔石』が並べられた雛壇を舞う鼻先は、中段の右端あたりでぴたりと止まった。

「うん。この辺り」と『後悔石』が入ったガラス容器を三個、指差した。

 店の脇に鎮座している白い着物を着た白肌の妖怪は、犬耳の獣人を横目で見ていたが何も言わなかった。

 わたしは犬耳の獣人から赤紙を受け取り、右から順に近づけていく。

 一つ目に当ててみたが紙の文字に変化は起こらない。ならば二つ目に……駄目だ。これも反応しない。残るは一つ
だけ。だが焦る気持ちは手の震えとなって、赤紙を近づけることができない。

 その時、わたしの震える右手は掴まれた。暖かかった。

「カノコ。大丈夫です。そのまま近づけてください」

 わたしの右手は声の主人に導かれてガラス容器との距離は縮んでいく。

「あぁ……」

 月リエコの文字が震えた。わたしに叫ぶように震えた。

 文字は上下左右に大きく揺れ出し、飛び出した字画は赤紙の中で暴れ泳ぐ。
 
 わたしは言葉以外を吐き出しそうな口元を左手で押さえながら、妙音鳥を見つめた。
 
 やがて少しだけ言葉が喉を通る。

「これ……」

 妙音鳥は確かに繋げてくれて「これです。間違いない」と言ってくれた。

「お母さん……」

 わたしは天を見上げて、虹色の川に言葉を流した。 
 目尻がきゅっと上がった白肌の妖怪に、残りの一枚を差し出すと、彼女は目尻を下げて喜んでくれて、『後悔石』を譲ってくれた。

「さあ、カノコ。戻りますよ」

 わたしは大粒の涙をこぼしながら大きく一度だけ頷いた。
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