王道くんと、俺。

葉津緒

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第六章

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直後、扉の向こうがやけに騒がしかったけれど。
気にせず俺は、真っ赤になってた幼なじみの顔を思い出し、くすくすと笑うのだった。





「大丈夫ですか優馬隊長、耳まで真っ赤っ赤になってますよ。立てますか?」

(くっ、保健室でのことも相まって、久々に郁人の破壊力にやられた……あいつの裸なんて子供の頃から見慣れてんのに。落とした物を拾おうとして偶然ドエロいポーズになってただけだろが! い、いや、多分たまたま俺の位置から見える角度がめちゃくちゃアレだっただけで。くそおおお、落ち着け俺。心頭滅却……っ)

「いつまで床の上で四つん這いになってるのさ、優馬しゃんだけズルイ! 煙る浴室、白い肌、水も滴る郁人きゅん。俺もその国宝級な裸身をしっかりこの目で見たい! そして撮影――ごふっ」

「黙れ敦兼。とりあえずこいつは縛って自室に放り込む」

「俺がやろうか?」

「いやあああッられる!? 土屋亮介に殺されちゃうよおぉ助けて郁人きゅーんッ」

「うるさい、口にガムテ貼るぞ」

「むがーッ!」





「ん? あ。これ、間違えて優ちゃんの着替えを持ってきちゃったのかー」


あのあとすぐに床を片付け、少し温まってから浴室を出た俺。
だけど着替えようとしたら……どうやら持ってくる服を間違えてたみたいです。
うーん、しょうがない。
バスタオルを腰に巻き、キスマークが隠れるよう小さめのタオルを首にもかけて、と。


 ガチャッ


「優ちゃんごめんねー。服、間違えて持ってっちゃってたよぉ。俺の着替えどこだっけー」

「…………」


リビングは今までぎゃあぎゃあ騒がしかったはずなのに、全員が俺を凝視したままピタリと動きを止めちゃいました。
あれ?
やがて、わなわなと肩を震わせはじめる優ちゃん。


「――なんっでそんな格好して出てくるんだバカ郁人!!」

「ひいいぃい?! ごご、ごめんなさいーッ」



そうして俺はこっぴどく叱られ、慎ちゃん先輩に苦笑され、亮ちゃんはため息を。敦くんはスマホを没収されましたとさ。
うわーん、優ちゃん許してぇぇ。

その後、真っ赤な顔でお怒りモードが継続したままの優ちゃんに薬を塗って(※下腹部は除きます)もらったところ、余計に怒気が強まりました。
俺ではなく加害者への怒りらしいんだけどね。
かすり傷と内出血程度とはいえ確かに自分でもうわぁって思ったし、見た目気持ち悪いよねー。
でも、お願いだから俺の耳元で呪詛するのはやめてえぇッ!?
……正直チビリそうなくらい怖かったです(泣)


あ、慎ちゃん先輩は隣の寮棟(※学年ごとに別の棟が建っています)なので、遅くなる前にと亮ちゃんが送っていきましたよー。むふ♪



でもって俺は今夜、優ちゃんのお部屋にお泊まりです。
「大丈夫だよ?」って言ったんだけど、心配性の優ちゃんに

「顔色も悪いし、今のお前を一人にするのは俺が不安なんだ。俺を助けると思って今夜はここに泊まっていけよ郁人、頼むから」

とツンデレのデレなお願いをされちゃったので!
んもぉ、貴重なデレ優ちゃんは本っ当に可愛いよねぇ。
なんてヘラヘラ笑ってたら

「ところで、そもそもお前はなぜ親衛隊のお茶会を脱走して中庭へ行ったんだ?」

そう質問されて。
え、なんでだっけ…………あ。


「あああーっ、王道くん!? そうだよ俺、歩くんと生徒会役員達の絡みを覗き見するために行ったんだった。え、でも全然見られてないしっ。あの中庭からもう少し行った先の木を登れば、とっておきの生徒会室・覗き見ベストスポットがあったのにいぃッ」

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