103 / 124
第六章
14
しおりを挟む
「あの、ええとですね。そういえば今日ここへ来る前に、親衛隊の皆からすごく応援? というか激励? されてしまいました。
『副隊長、頑張ってください』
『あんな転入生なんかに負けないで!』
『郁人様の胃袋、しっかりつかんできてくださいね』
……みたいな感じの内容だったかなと」
「ああ、なるほど。転入生か」
「胃袋つかめるのはポイント大きいもんなぁ」
「確かに山内先輩の料理は旨い」
うんうん、とうなずく三人。慎平先輩がポッと赤くなる。
とその時だった。
突然バスルームから大きな音が聞こえて――
「郁人!」
瞬時に誰よりも早く、優馬は駆け出していた。
<NO SIDE・終わり>
「……うわぁ、これはひどい。俺の首辺りとかちょっと変な病気みたい」
鏡に映る自分の姿にぎょっとして息をのむ。
晴巳せんせぇに手当てしてもらった際のガーゼを剥がせば、いくつも散らばる皮下出血の跡。
それに噛み傷まで。まるで(甘)噛み癖のある犬か猫にでもやられたみたい。
こんなの、思わずため息も出ちゃうよね。
他にも叩かれたせいで少し赤く腫れた頬や、強くつかまれた跡が残る手首。中庭で押し倒されたときに負った擦り傷……は、やっぱり背中側に多い。
あの二人よくあんな場所でヤる気になれるなぁ。痛くないのかな。単に俺が抵抗して暴れたから怪我しちゃっただけ?
「あー、こんなトコまで」
胸の小さな傷に気づいてそっと指先で触れる。
たったそれだけなのに、ゾワリと鳥肌が立つ。
あの二人に襲われて無理やりされた行為が、触られた身体が――あの日の記憶を重ねてしまう――ひどく嫌で。
気がつけば赤くヒリヒリと痛むほど、ゴシゴシこするように洗ってた。
「あ、そうか。あとで優ちゃんに薬塗ってもらうんだっけ。だからこれ以上は我慢しないと。バレたらまた心配させちゃうから……っと、あれ」
手が滑って、シャワーヘッドやらボトルやら色んなものを浴室の床に落としちゃった。どうしよう、床に傷とかついてないかな。
ああ、今日は本当に色々あったし実はかなり疲れてるのかも。うまく頭が回らないや。
ん?
誰かが走ってくるような足音が――
「大丈夫か郁人!? 今の音はなん、だ」
バンッと浴室の扉が開き、血相を変えて突入してきたのは優ちゃんでした。
「ゆ、優ちゃんごめんねぇ。ちょっと手が滑っただけなんだけど……?」
目を見開き、俺を凝視したままカチンと固まる優ちゃん。え、何どうしたの瞬きしようよ怖いから。
ねえ動いてー、開きっぱの扉から冷気も入り込んでちょっと寒いし。
「くしゅんっ」
「わ、悪い! 問題ないならいいんだ。け、怪我とかしてないか?」
俺のくしゃみの音に反応したのか、ようやく再起動する優ちゃん。
「大丈夫、してないよー」
「そ、そうか。なら、しっかり温まってから、で、出てこいよッ」
早口でそう言い残すと慌てて出ていきました。変なの。でも多分また心配してくれたんだよね。
ふふっ、本当にもぉ優ちゃんてば。
.
『副隊長、頑張ってください』
『あんな転入生なんかに負けないで!』
『郁人様の胃袋、しっかりつかんできてくださいね』
……みたいな感じの内容だったかなと」
「ああ、なるほど。転入生か」
「胃袋つかめるのはポイント大きいもんなぁ」
「確かに山内先輩の料理は旨い」
うんうん、とうなずく三人。慎平先輩がポッと赤くなる。
とその時だった。
突然バスルームから大きな音が聞こえて――
「郁人!」
瞬時に誰よりも早く、優馬は駆け出していた。
<NO SIDE・終わり>
「……うわぁ、これはひどい。俺の首辺りとかちょっと変な病気みたい」
鏡に映る自分の姿にぎょっとして息をのむ。
晴巳せんせぇに手当てしてもらった際のガーゼを剥がせば、いくつも散らばる皮下出血の跡。
それに噛み傷まで。まるで(甘)噛み癖のある犬か猫にでもやられたみたい。
こんなの、思わずため息も出ちゃうよね。
他にも叩かれたせいで少し赤く腫れた頬や、強くつかまれた跡が残る手首。中庭で押し倒されたときに負った擦り傷……は、やっぱり背中側に多い。
あの二人よくあんな場所でヤる気になれるなぁ。痛くないのかな。単に俺が抵抗して暴れたから怪我しちゃっただけ?
「あー、こんなトコまで」
胸の小さな傷に気づいてそっと指先で触れる。
たったそれだけなのに、ゾワリと鳥肌が立つ。
あの二人に襲われて無理やりされた行為が、触られた身体が――あの日の記憶を重ねてしまう――ひどく嫌で。
気がつけば赤くヒリヒリと痛むほど、ゴシゴシこするように洗ってた。
「あ、そうか。あとで優ちゃんに薬塗ってもらうんだっけ。だからこれ以上は我慢しないと。バレたらまた心配させちゃうから……っと、あれ」
手が滑って、シャワーヘッドやらボトルやら色んなものを浴室の床に落としちゃった。どうしよう、床に傷とかついてないかな。
ああ、今日は本当に色々あったし実はかなり疲れてるのかも。うまく頭が回らないや。
ん?
誰かが走ってくるような足音が――
「大丈夫か郁人!? 今の音はなん、だ」
バンッと浴室の扉が開き、血相を変えて突入してきたのは優ちゃんでした。
「ゆ、優ちゃんごめんねぇ。ちょっと手が滑っただけなんだけど……?」
目を見開き、俺を凝視したままカチンと固まる優ちゃん。え、何どうしたの瞬きしようよ怖いから。
ねえ動いてー、開きっぱの扉から冷気も入り込んでちょっと寒いし。
「くしゅんっ」
「わ、悪い! 問題ないならいいんだ。け、怪我とかしてないか?」
俺のくしゃみの音に反応したのか、ようやく再起動する優ちゃん。
「大丈夫、してないよー」
「そ、そうか。なら、しっかり温まってから、で、出てこいよッ」
早口でそう言い残すと慌てて出ていきました。変なの。でも多分また心配してくれたんだよね。
ふふっ、本当にもぉ優ちゃんてば。
.
64
あなたにおすすめの小説
悪の策士のうまくいかなかった計画
迷路を跳ぶ狐
BL
いつか必ず返り咲く。それだけを目標に、俺はこの学園に戻ってきた。過去に、破壊と使役の魔法を研究したとして、退学になったこの学園に。
今こそ、復活の時だ。俺を切り捨てた者たちに目に物見せ、研究所を再興する。
そのために、王子と伯爵の息子を利用することを考えた俺は、長く温めた策を決行し、学園に潜り込んだ。
これから俺を陥れた連中を、騙して嵌めて蹂躙するっ! ……はず、だった……のに??
王子は跪き、俺に向かって言った。
「あなたの破壊の魔法をどうか教えてください。教えるまでこの部屋から出しません」と。
そして、伯爵の息子は俺の手をとって言った。
「ずっと好きだった」と。
…………どうなってるんだ?
主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
ひみつのモデルくん
おにぎり
BL
有名モデルであることを隠して、平凡に目立たず学校生活を送りたい男の子のお話。
高校一年生、この春からお金持ち高校、白玖龍学園に奨学生として入学することになった雨貝 翠。そんな彼にはある秘密があった。彼の正体は、今をときめく有名モデルの『シェル』。なんとか秘密がバレないように、黒髪ウィッグとカラコン、マスクで奮闘するが、学園にはくせもの揃いで⁉︎
主人公総受け、総愛され予定です。
思いつきで始めた物語なので展開も一切決まっておりません。感想でお好きなキャラを書いてくれたらそことの絡みが増えるかも…?作者は執筆初心者です。
後から編集することがあるかと思います。ご承知おきください。
平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています
七瀬
BL
あらすじ
春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。
政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。
****
初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m
僕はただの妖精だから執着しないで
ふわりんしず。
BL
BLゲームの世界に迷い込んだ桜
役割は…ストーリーにもあまり出てこないただの妖精。主人公、攻略対象者の恋をこっそり応援するはずが…気付いたら皆に執着されてました。
お願いそっとしてて下さい。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
多分短編予定
平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
異世界で孵化したので全力で推しを守ります
のぶしげ
BL
ある日、聞いていたシチュエーションCDの世界に転生してしまった主人公。推しの幼少期に出会い、魔王化へのルートを回避して健やかな成長をサポートしよう!と奮闘していく異世界転生BL 執着最強×人外美人BL
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる