王道くんと、俺。

葉津緒

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第六章

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<NO SIDE>


風呂に入ると言ってリビング(共有スペース)から出ていった郁人。
残された全員が、心配そうな表情を浮かべていた。


「郁人様、本当に大丈夫でしょうか」

「正直、今の郁人を一人にさせるのは不安しかないですよ。アイツ絶対、俺達に心配かけないようにって無理してるし」

「郁人きゅん……おのれ、美濃岡巧と古村一男め許すまじ!」

「お、もう一人の犯人も特定し終わったのか。さすがだな敦兼」

「ハッハッハッ、この俺にかかればお茶の子さいさいだぜぃ!」

「おースゲースゲー」


鼻高々にふんぞり返る敦兼と、棒読みで称え拍手する優馬。まるで、おだてれば木に登るなんとか、を見るような目つきだ。


「へえ、すごいな三宅。さすがは学園の優秀な情報屋。うちのチームもお前には何度も痛い目にあわされているしな」

「ん? なんのこと? 俺はちょっぴりオタクなただの新聞部員ですよ。ねえ優馬しゃん」

「ちょっぴり程度のオタクじゃねーけどな」


亮介の推測に、笑顔でとぼける敦兼そして優馬。
ちなみに亮介が所属する不良チームと、優馬・祥太郎・敦兼が所属する不良チームは隣町同士。たまに仲良く喧嘩し合うくらいの関係だ。

その中には常に大きな黒いマスクで顔半分を隠し、パーカーのフードを目深に被る者がいた。チームの幹部以外は誰も素顔を知らない男。喧嘩に参加することはなく、どうやらその筋では一目置かれるハッカーらしい……。

なお蛇足だが、斬り込み隊長の祥太郎は血の気が多く、時々お使いに出たまま帰ってこなくなる鉄砲玉だ。その短所だけは早々に直してほしいとチーム内から懇願されている。



「そういえば、あのあと親衛隊のほうを山内副隊長に任せっきりですみません。夕食の件も急にお願いしてしまって」

「いいえ、僕でお役に立てることがあるなら、なんでも言ってください。以前から郁人様は何度も亮介くんのことを『白馬の王子様』と口にするんですが……あの日、襲われかけた僕を一番に助けてくれたのは、まぎれもなく郁人様なんです」

だから恩返しさせてくださいね、と話す慎平先輩。


「少し良いですか山内先輩」

「は、はい」

「その『白馬の王子』ってやつ、実は気になっていたんだが。白い馬? つまり馬王国の跡取り息子、と俺がどう関係するんだろうか」

「え。あ、ええと、それは『白馬に乗った王子様』を縮めて言っただけで。颯爽と現れて人を助ける姿がまるで、その」

「王子が助けるのか? 危険な場面をわざわざ目立つ白馬に乗って。騎士とかではなく?」

「えっ、いや、あの」

「おーい。話が脱線しまくってますよ馬王子」

「ぶふっ、や、やめろ敦兼。笑かすなッ」


ムッとする亮介。
慎平先輩は気まずそうに苦笑しながら、そっと話題を変える。

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