102 / 123
第六章
13
しおりを挟む
<NO SIDE>
風呂に入ると言ってリビング(共有スペース)から出ていった郁人。
残された全員が、心配そうな表情を浮かべていた。
「郁人様、本当に大丈夫でしょうか」
「正直、今の郁人を一人にさせるのは不安しかないですよ。アイツ絶対、俺達に心配かけないようにって無理してるし」
「郁人きゅん……おのれ、美濃岡巧と古村一男め許すまじ!」
「お、もう一人の犯人も特定し終わったのか。さすがだな敦兼」
「ハッハッハッ、この俺にかかれば御茶の子さいさいだぜぃ!」
「おースゲースゲー」
鼻高々にふんぞり返る敦兼と、棒読みで称え拍手する優馬。まるで、おだてれば木に登るなんとか、を見るような目つきだ。
「へえ、すごいな三宅。さすがは学園の優秀な情報屋。うちのチームもお前には何度も痛い目にあわされているしな」
「ん? なんのこと? 俺はちょっぴりオタクなただの新聞部員ですよ。ねえ優馬しゃん」
「ちょっぴり程度のオタクじゃねーけどな」
亮介の推測に、笑顔でとぼける敦兼そして優馬。
ちなみに亮介が所属する不良チームと、優馬・祥太郎・敦兼が所属する不良チームは隣町同士。たまに仲良く喧嘩し合うくらいの関係だ。
その中で常に大きな黒いマスクで顔半分を隠し、パーカーのフードを目深に被る者がいた。チームの幹部以外は誰も素顔を知らない男。喧嘩に参加することはなく、どうやらその筋では一目置かれるハッカーらしい……。
蛇足だが、斬り込み隊長の祥太郎は血の気が多く、時々お使いに出たまま帰ってこなくなる鉄砲玉だ。その短所だけは早々に直してほしいとチーム内から懇願されている。
「そういえば親衛隊のほう、あのあと任せっきりですみません。夕食の件も急に山内副隊長にお願いしてしまって」
「いいえ、僕でお役に立てることがあるなら、なんでも言ってください。以前から郁人様は何度も、亮介くんのことを『白馬の王子様』と口にするんですが……あの日、襲われかけた僕を一番に助けてくれたのは、まぎれもなく郁人様なんです」
だから恩返しさせてくださいね、と話す慎平先輩。
「少し良いですか山内先輩」
「は、はい」
「その『白馬の王子』ってやつ、実は気になっていたんだが。白い馬? つまり馬王国の跡取り息子、と俺がどう関係するんだろうか」
「え。あ、ええと、それは『白馬に乗った王子様』を縮めて言っただけで。颯爽と現れて人を助ける姿がまるで、その」
「王子が助けるのか? 危険な場面をわざわざ目立つ白馬に乗って。騎士とかではなく?」
「えっ、いや、あの」
「おーい。話が脱線しまくってますよ馬王子」
「ぶふっ、や、やめろ敦兼。笑かすなッ」
ムッとする亮介。
気まずそうに苦笑しながら、慎平先輩が話題を変える。
.
風呂に入ると言ってリビング(共有スペース)から出ていった郁人。
残された全員が、心配そうな表情を浮かべていた。
「郁人様、本当に大丈夫でしょうか」
「正直、今の郁人を一人にさせるのは不安しかないですよ。アイツ絶対、俺達に心配かけないようにって無理してるし」
「郁人きゅん……おのれ、美濃岡巧と古村一男め許すまじ!」
「お、もう一人の犯人も特定し終わったのか。さすがだな敦兼」
「ハッハッハッ、この俺にかかれば御茶の子さいさいだぜぃ!」
「おースゲースゲー」
鼻高々にふんぞり返る敦兼と、棒読みで称え拍手する優馬。まるで、おだてれば木に登るなんとか、を見るような目つきだ。
「へえ、すごいな三宅。さすがは学園の優秀な情報屋。うちのチームもお前には何度も痛い目にあわされているしな」
「ん? なんのこと? 俺はちょっぴりオタクなただの新聞部員ですよ。ねえ優馬しゃん」
「ちょっぴり程度のオタクじゃねーけどな」
亮介の推測に、笑顔でとぼける敦兼そして優馬。
ちなみに亮介が所属する不良チームと、優馬・祥太郎・敦兼が所属する不良チームは隣町同士。たまに仲良く喧嘩し合うくらいの関係だ。
その中で常に大きな黒いマスクで顔半分を隠し、パーカーのフードを目深に被る者がいた。チームの幹部以外は誰も素顔を知らない男。喧嘩に参加することはなく、どうやらその筋では一目置かれるハッカーらしい……。
蛇足だが、斬り込み隊長の祥太郎は血の気が多く、時々お使いに出たまま帰ってこなくなる鉄砲玉だ。その短所だけは早々に直してほしいとチーム内から懇願されている。
「そういえば親衛隊のほう、あのあと任せっきりですみません。夕食の件も急に山内副隊長にお願いしてしまって」
「いいえ、僕でお役に立てることがあるなら、なんでも言ってください。以前から郁人様は何度も、亮介くんのことを『白馬の王子様』と口にするんですが……あの日、襲われかけた僕を一番に助けてくれたのは、まぎれもなく郁人様なんです」
だから恩返しさせてくださいね、と話す慎平先輩。
「少し良いですか山内先輩」
「は、はい」
「その『白馬の王子』ってやつ、実は気になっていたんだが。白い馬? つまり馬王国の跡取り息子、と俺がどう関係するんだろうか」
「え。あ、ええと、それは『白馬に乗った王子様』を縮めて言っただけで。颯爽と現れて人を助ける姿がまるで、その」
「王子が助けるのか? 危険な場面をわざわざ目立つ白馬に乗って。騎士とかではなく?」
「えっ、いや、あの」
「おーい。話が脱線しまくってますよ馬王子」
「ぶふっ、や、やめろ敦兼。笑かすなッ」
ムッとする亮介。
気まずそうに苦笑しながら、慎平先輩が話題を変える。
.
53
あなたにおすすめの小説
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。
天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!?
学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。
ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。
智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。
「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」
無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。
住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!
平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
悪役側のモブになっても推しを拝みたい。【完結】
瑳来
BL
大学生でホストでオタクの如月杏樹はホストの仕事をした帰り道、自分のお客に刺されてしまう。
そして、気がついたら自分の夢中になっていたBLゲームのモブキャラになっていた!
……ま、推しを拝めるからいっか! てな感じで、ほのぼのと生きていこうと心に決めたのであった。
ウィル様のおまけにて完結致しました。
長い間お付き合い頂きありがとうございました!
この僕が、いろんな人に詰め寄られまくって困ってます!〜まだ無自覚編〜
小屋瀬
BL
〜まだ無自覚編〜のあらすじ
アニメ・漫画ヲタクの主人公、薄井 凌(うすい りょう)と、幼なじみの金持ち息子の悠斗(ゆうと)、ストーカー気質の天才少年の遊佐(ゆさ)。そしていつもだるーんとしてる担任の幸崎(さいざき)teacher。
主にこれらのメンバーで構成される相関図激ヤバ案件のBL物語。
他にも天才遊佐の事が好きな科学者だったり、悠斗Loveの悠斗の実の兄だったりと個性豊かな人達が出てくるよ☆
〜自覚編〜 のあらすじ(書く予定)
アニメ・漫画をこよなく愛し、スポーツ万能、頭も良い、ヲタク男子&陽キャな主人公、薄井 凌(うすい りょう)には、とある悩みがある。
それは、何人かの同性の人たちに好意を寄せられていることに気づいてしまったからである。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
【超重要】
☆まず、主人公が各キャラからの好意を自覚するまでの間、結構な文字数がかかると思います。(まぁ、「自覚する前」ということを踏まえて呼んでくだせぇ)
また、自覚した後、今まで通りの頻度で物語を書くかどうかは気分次第です。(だって書くの疲れるんだもん)
ですので、それでもいいよって方や、気長に待つよって方、どうぞどうぞ、読んでってくだせぇな!
(まぁ「長編」設定してますもん。)
・女性キャラが出てくることがありますが、主人公との恋愛には発展しません。
・突然そういうシーンが出てくることがあります。ご了承ください。
・気分にもよりますが、3日に1回は新しい話を更新します(3日以内に投稿されない場合もあります。まぁ、そこは善処します。(その時はまた近況ボード等でお知らせすると思います。))。
【完結】我が兄は生徒会長である!
tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。
名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。
そんな彼には「推し」がいる。
それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。
実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。
終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。
本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。
(番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)
平凡ハイスペックのマイペース少年!〜王道学園風〜
ミクリ21
BL
竜城 梓という平凡な見た目のハイスペック高校生の話です。
王道学園物が元ネタで、とにかくコメディに走る物語を心掛けています!
※作者の遊び心を詰め込んだ作品になります。
※現在連載中止中で、途中までしかないです。
推しにプロポーズしていたなんて、何かの間違いです
一ノ瀬麻紀
BL
引きこもりの僕、麻倉 渚(あさくら なぎさ)と、人気アイドルの弟、麻倉 潮(あさくら うしお)
同じ双子だというのに、なぜこんなにも違ってしまったのだろう。
時々ふとそんな事を考えてしまうけど、それでも僕は、理解のある家族に恵まれ充実した引きこもり生活をエンジョイしていた。
僕は極度の人見知りであがり症だ。いつからこんなふうになってしまったのか、よく覚えていない。
本音を言うなら、弟のように表舞台に立ってみたいと思うこともある。けれどそんなのは無理に決まっている。
だから、安全な自宅という城の中で、僕は今の生活をエンジョイするんだ。高望みは一切しない。
なのに、弟がある日突然変なことを言い出した。
「今度の月曜日、俺の代わりに学校へ行ってくれないか?」
ありえない頼み事だから断ろうとしたのに、弟は僕の弱みに付け込んできた。
僕の推しは俳優の、葛城 結斗(かつらぎ ゆうと)くんだ。
その結斗くんのスペシャルグッズとサイン、というエサを目の前にちらつかせたんだ。
悔しいけど、僕は推しのサインにつられて首を縦に振ってしまった。
え?葛城くんが目の前に!?
どうしよう、人生最大のピンチだ!!
✤✤
「推し」「高校生BL」をテーマに書いたお話です。
全年齢向けの作品となっています。
一度短編として完結した作品ですが、既存部分の改稿と、新規エピソードを追加しました。
✤✤
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる