王道くんと、俺。

葉津緒

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第三章

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「……では次に、先程の校内放送についてですが。若干、私物化され過ぎている感があります。もう少しご配慮をお願いしたい」

「ん? あれどっか変だったか、郁人」

「うん。校長先生とかに怒られないのが不思議なくらいー」

「ああ、そういや前に何か言われてたな。まあ俺は気にしてねーし」


いや、そこは気にしようよ。
校長先生も可哀相だし、何より俺が迷惑。


「教師としてありえないですよね」

「お前のその嘘くさい笑顔と猫撫で声はもっとありえねーけどな」


ああッせっかく優ちゃんが可愛く笑ってたのに、何言ってるんですか千葉ちゃん!
ハッ、それともまさか

「お前の笑顔を俺以外の奴に見せんなよ」

ってことですか。いやん、千葉ちゃんってば素直じゃないんだからぁ。
うをっ、何で優ちゃんと千葉ちゃんが二人してこっち睨んでるのかな……。すみません、もう考えませんゴメンナサイ。



「最後に――」

「え、うわっ!?」


 グイッ


「彼の腕にある傷、及び鬱血痕は先生が原因ですか?」

「……」「……」「……」


りっちゃん先輩に腕を引っ張られて、皆の前に手首を公開中な俺。
えーと、優ちゃんの目が怖いです。


「ああ、確かに俺が郁人を傷モノにしたな」


傷モノって、いや、そうだけど。
ニヤリと笑いながら千葉ちゃんが言うと別の意味にしか聞こえないから凄いよね。さすがホスト教師。
これで相手が王道、つまり歩くんなら

「お前を傷モノにした責任は、俺の一生をかけてとってやるよ」

とか言ってプロポーズから甘エロな展開に繋がるのにね!



「教師による未成年者への暴行は、学園内にとどまらず公の場で事件として裁かれることに――」

「ちちちょっ、待ってぇ!?」

「何だ、郁人」


それはこっちの台詞だよぉ。
俺がのんびり腐な妄想を楽しんでる時に、何言い出すのさぁぁぁ!?


「俺されてない、暴行されてないから。ね! そうでしょ千葉ちゃん!? りっちゃん先輩も、大丈夫だからそんな大事にしないでぇッ」

「だ、そうだ。本人が言ってんだから間違いないだろ、風紀委員長さん?」

「……」


再び無言で見つめ合う二人。
あ、間違えた。
ニヤニヤ笑う千葉ちゃんを、風紀委員長の顔をしたりっちゃん先輩が睨んでます。

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