野望

葉津緒

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野望−弘毅ver.−/餓えた狼の野望

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まあ、仮に太郎が初めてじゃなかったら相手の男を見つけ出してぶっ殺すけど。
幸いにもちゃんと慎ましやかな太郎のそこは、俺のために大切な処女(本人の確認もとった)を捧げてくれたのだった。

あーくっそ、思い出すだけでまたヤりたくなるし。


カーテンの隙間から朝日が射し込む中、俺の部屋のベッドで気絶したように眠る太郎。
浴室で体を洗ってやったり、中に注いだ大量の白濁液を掻き出す作業はついさっき終わらせたばかりだ。

それにしても……意識もないくせになんつーエロい声を出しやがる。
せっかく綺麗にしてやってんのに何度もぶち込みたくなっては必死に我慢して。
耐え切れずにたった一度だけ先っぽを入れた途端、まさかの暴発。

あれにはさすがの俺も「嘘だろ」とつぶやくしかなかった。童貞じゃあるまいし、いくら何でも興奮しすぎだ。
……お返しに俺のを入れただけでイっちまう体にしてやろう。うん、それが良い。


ともかくだ。
このままそばにいるとまた手を出しかねない。
なんたって今の色気たっぷりな太郎を見て、この俺が平常心でいられるわけがない。というか、すでにもう痛ぇくらいに勃ちまくってるし。
正直離れたくはないが頭を振って無理やり気持ちを切りかえてと。
よっしゃ、後片付けの続きに戻ろう。
シーツは洗濯中だし、太郎が食い散らかしていたテーブルの上でも綺麗にするか。


だが、俺が浮かれていられたのはそこまでだった。

テーブルの上で見つけたウイスキーボンボンの包み紙。
そして数日前に悪友が「こっそり酔わせて太郎くんを襲っちゃえよ」と渡してきた缶チューハイ、の空き缶……。
おい、ちょっと待て。
もしかして最初やけに楽しそうに俺を襲っていた太郎は、俺が隠しておいたそれらを勝手に飲み食いした末の、酔っ払いだった?


血の気が引いていく。

上か下かの違いはあっても当然合意だと思っていた。だって最初に俺の寝込みを襲ったのは太郎だ。俺とヤりたいと思ってくれたってことは、つまり太郎は俺を好きなんだよな?
そう勝手に信じ込んで、苦しい片恋がようやく実ったと本気で舞い上がっていたのに。

単に酔いがまわってのでたらめな行動だったんなら、俺は嫌がる太郎を無理やり犯して酷いことをしただけの最低野郎だ。

もしそうなら、次に目が覚めたとき太郎は俺をどんな目で見るだろう。
いや、見てもらえるだけマシかもしれない。たとえば二度と俺の顔を見たくないと、名を呼びたくない、話しかけられたくないと言われたら。
一生許してもらえず、憎まれ、怯えられて近づけなくなったり当然触れることもできなくなったら。
そしてもし、太郎が俺の前から完全に姿を消してしまったとしたら――。

考えれば考えるほど不安で怖くて、太郎が目覚めるまで俺はずっと怯え続けるしかなかった。



なのに。


「……おい、そんな色っぽい目で見るなよ。また襲われたいのか、太郎」

「なっ!? い、色っぽくないし、おお襲うなよ絶対!」

「…………それってお笑い番組でよくある『絶対押すなよ』的な」

「違うわボケッ!」


その反応は予想とまるで違ってた。
俺自身の不安をごまかそうとわざとふざけた感じに話しかければ、確かに非難はされるし怒ってもいたけれど。
不自然に視線をそらし、たまに目が合えば真っ赤な顔をさらに染め上げて、めちゃくちゃ俺のことを意識しまくる太郎。
…………え、あれ?


「笑うなよ!」

「はは、悪い。つーか良かった、太郎が思ったより怒ってなくて」

「はあぁ!? どこがだよ、めちゃくちゃ怒ってるよ俺!」

「まあ……そういうんじゃなくて。例えば」


隠さずに俺の不安だった気持ちを全部ぶちまけてやれば。
ベッドの上で横になったまま首を動かし、俺を見つめてくる太郎。なぜか見開いたその目はやがてキラキラと輝き、頬を染め、嬉しそうに――――笑った。



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