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野望−弘毅ver.−/餓えた狼の野望
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その瞬間、俺の中で何かが弾けた。
こちらに伸ばされた太郎の手を掴みシーツに押し付け、仰向けになった体に覆いかぶさる。
驚いて怖がりながらも怒った顔をする太郎。ああ無理だ、やっぱくそ可愛い。
「!?」
「なぁんて言っとけば、太郎も満足か?」
「な、まさか嘘……お前、今のは全部俺をだますために!? や、やめろ離せこの馬鹿力、ふざけやがってマジで死ね強姦野郎ぉ」
「……念のために言っとくが、だますつもりはないから。一応今の全部本当だし」
「へ」
「この俺が、本気で太郎に一目惚れだったってことだよ。何度も言わせんなアホ太郎」
「あほ!?」
「けどまあ、実は両想いだってことがはっきりしたわけだし。改めて同室者兼、これからは恋人としてもよろしくな。
つっても身体の相性は最高に良いみたいなんで、そっちは今まで我慢した分、遠慮しねーから」
「な……んんっ!?」
自分でも歯止めが効かなくて噛みつくようなキスを繰り返す。
慣れていない太郎が苦しそうに漏らす吐息を聞きながら、やがて力が抜けてトロンとした表情を浮かべるまで何度も何度も。
そうして大人しくなった耳元でささやくように、全ての思いを告白してやった。
俺がどんなにお前のことを好きか、今までどれほど苦しかったか、俺の純情を弄ぶような太郎……お前の小悪魔っぷりを改めて思い知るがいい。そして反省しろ、頼むから!
当の本人は話を聞いて赤くなったり青くなったり、納得いかないと不満そうに唇を尖らせたりと一人で百面相をしていたが。
俺の方はまあ、とりあえず溜まってた鬱憤も多少すっきりしたような。
それから動けない太郎の食事とシモの世話を――あ、残念ながらトイレの中までは入れてもらえなかったわ。
真っ赤な顔と涙目で「断固拒否します!」と言われちまったしこれ以上怒らせるのもな。
結局お姫さま抱っこでトイレの前まで運んでやっただけだ。チッ。
まあ、そっちの楽しみはまた後日にとっとくか。
再びベッドまで運んでやれば、羞恥心と警戒心で懐かない野良猫みたいだった太郎もさすがに疲れたのだろう、あっという間に眠ってしまった。
頬をつつくとムズがりながらむにゃむにゃと面白い反応をする太郎。
思わず「くっ」と吹き出しそうになる。
……あーやべ。情けねえけどなんか泣きそう、嬉しくて。
絶対もう駄目だと思ったのに。決して許してもらえないと覚悟までしたのに。
んだよ、太郎の奴。あんなアホみたいな顔で笑いやがって。
というか「にこっ」じゃなくて「にへらっ」て感じの間抜け面を、めちゃくちゃ可愛いと思ってしまう俺は何なんだろうな。
「ん……弘毅の、バ……カ……」
「ははっ、悪いな馬鹿で。だけど太郎、お前も相当な馬鹿だぞ?」
祈るような気持ちでお前の反応を窺っていたあのとき。
『え、なんだよこれ。ワンコ? 見た目不良のワンコ属性か? ドS鬼畜と思わせといて実は単にしつけのなってない「待て」が苦手な駄目馬鹿ワンコだったのか……弘毅。
やだ、何それ萌える』
そんないつものふざけた独り言と、あの顔を見せられて。
もし本当に俺が犬なら、きっとお前にも千切れそうなほどブンブン振りまくる尻尾が見えただろうな。
失いかけていた大事なものを、もう二度と見ることができないはずの笑顔を、こんなどうしようもない馬鹿に与えちまったんだ。
失敗したな太郎。多分これが俺から逃れられる唯一のチャンスだったのに。
お前があんな嬉しそうに笑わなけりゃ、きっと諦めていたかもしれない。
だがもう無理だ。
こんなに惚れさせまくっておきながらなんの責任も取らずに逃げられると思うなよ。
なんたって俺はしつけのなってない「待て」が苦手な駄目馬鹿ワンコらしいからなぁ。
ハハッ、馬鹿犬の執念なめんじゃねえぞ?
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こちらに伸ばされた太郎の手を掴みシーツに押し付け、仰向けになった体に覆いかぶさる。
驚いて怖がりながらも怒った顔をする太郎。ああ無理だ、やっぱくそ可愛い。
「!?」
「なぁんて言っとけば、太郎も満足か?」
「な、まさか嘘……お前、今のは全部俺をだますために!? や、やめろ離せこの馬鹿力、ふざけやがってマジで死ね強姦野郎ぉ」
「……念のために言っとくが、だますつもりはないから。一応今の全部本当だし」
「へ」
「この俺が、本気で太郎に一目惚れだったってことだよ。何度も言わせんなアホ太郎」
「あほ!?」
「けどまあ、実は両想いだってことがはっきりしたわけだし。改めて同室者兼、これからは恋人としてもよろしくな。
つっても身体の相性は最高に良いみたいなんで、そっちは今まで我慢した分、遠慮しねーから」
「な……んんっ!?」
自分でも歯止めが効かなくて噛みつくようなキスを繰り返す。
慣れていない太郎が苦しそうに漏らす吐息を聞きながら、やがて力が抜けてトロンとした表情を浮かべるまで何度も何度も。
そうして大人しくなった耳元でささやくように、全ての思いを告白してやった。
俺がどんなにお前のことを好きか、今までどれほど苦しかったか、俺の純情を弄ぶような太郎……お前の小悪魔っぷりを改めて思い知るがいい。そして反省しろ、頼むから!
当の本人は話を聞いて赤くなったり青くなったり、納得いかないと不満そうに唇を尖らせたりと一人で百面相をしていたが。
俺の方はまあ、とりあえず溜まってた鬱憤も多少すっきりしたような。
それから動けない太郎の食事とシモの世話を――あ、残念ながらトイレの中までは入れてもらえなかったわ。
真っ赤な顔と涙目で「断固拒否します!」と言われちまったしこれ以上怒らせるのもな。
結局お姫さま抱っこでトイレの前まで運んでやっただけだ。チッ。
まあ、そっちの楽しみはまた後日にとっとくか。
再びベッドまで運んでやれば、羞恥心と警戒心で懐かない野良猫みたいだった太郎もさすがに疲れたのだろう、あっという間に眠ってしまった。
頬をつつくとムズがりながらむにゃむにゃと面白い反応をする太郎。
思わず「くっ」と吹き出しそうになる。
……あーやべ。情けねえけどなんか泣きそう、嬉しくて。
絶対もう駄目だと思ったのに。決して許してもらえないと覚悟までしたのに。
んだよ、太郎の奴。あんなアホみたいな顔で笑いやがって。
というか「にこっ」じゃなくて「にへらっ」て感じの間抜け面を、めちゃくちゃ可愛いと思ってしまう俺は何なんだろうな。
「ん……弘毅の、バ……カ……」
「ははっ、悪いな馬鹿で。だけど太郎、お前も相当な馬鹿だぞ?」
祈るような気持ちでお前の反応を窺っていたあのとき。
『え、なんだよこれ。ワンコ? 見た目不良のワンコ属性か? ドS鬼畜と思わせといて実は単にしつけのなってない「待て」が苦手な駄目馬鹿ワンコだったのか……弘毅。
やだ、何それ萌える』
そんないつものふざけた独り言と、あの顔を見せられて。
もし本当に俺が犬なら、きっとお前にも千切れそうなほどブンブン振りまくる尻尾が見えただろうな。
失いかけていた大事なものを、もう二度と見ることができないはずの笑顔を、こんなどうしようもない馬鹿に与えちまったんだ。
失敗したな太郎。多分これが俺から逃れられる唯一のチャンスだったのに。
お前があんな嬉しそうに笑わなけりゃ、きっと諦めていたかもしれない。
だがもう無理だ。
こんなに惚れさせまくっておきながらなんの責任も取らずに逃げられると思うなよ。
なんたって俺はしつけのなってない「待て」が苦手な駄目馬鹿ワンコらしいからなぁ。
ハハッ、馬鹿犬の執念なめんじゃねえぞ?
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