9 / 28
其の三
9
しおりを挟む
※副会長さま視点
※物語の時期はスマホ普及以前の設定となります。
<SIDE:花本伊織/副会長>
生徒会室にて。
私たちが自己紹介を終えしばらくすると、ケータイを弄り出した幸明くん。
なんでも、
「あのさー何か書く物と紙あるかな? 俺、人の名前や顔覚えるの苦手だから皆の名前メモっときたいんだけど」
とのことだったのですが。
「紙ですか? 生徒会室内には余るだけ有りますが」
「んなもの要らねーだろ今すぐ頭に叩き込め」
「いや無理、面倒臭いし疲れるから」
「ひどッ!」
「幸明くん何気にヒドっ!」
「ん? ケータイ使えば良くね? 俺のアドレスも特別に教えちゃうよ」
そう告げた会計の園明良に大きくうなずくと、真剣な眼差しでポチポチカコカコと文字を入力し始めました。
(赤外線通信を使わないのは、そのほうが名前などを覚えやすいからだそうです)
「抜け駆けズルイ!」
「僕たちのも教えたげるしー」
「チッ、さっさと俺様の名前を登録しやがれ」
その隣で騒ぎはじめる書記の志崎 かなう・かなめ先輩方や、乱暴な口調に反してなぜか嬉しそうな会長の國井俊也。
皆にせっつかれて多少煩わしそうにも見えますが、時折眉を寄せ、むう~と何かを考え込む幸明くんの表情がまた……素敵です。
ハッ!?
私は一体、何を考えているのでしょうか。
コホン。いやしかし、それにしても。
まさかあの幸明くんがこれほどの美形だったとは、本当に驚きました。
初めてお会いしたのは一昨日、学園の門の前ですがその時は昨日同様、奇抜な仮装をされていましたし。
転入生の案内は初めてですが、そもそも本来そういったことは我々生徒会の仕事ではありません。
突然、理事長の方から直々にと頼まれたのです。
……なぜでしょう。
「編入試験も満点だったし、面白そうな子だよ」
とのことでしたが、まあ確かに変わっていましたね。門の前であの姿を初めて見た時は柄にもなく爆笑しそうになりました。
もちろん、そんなはしたない真似はしませんが。
ですが幸明くんは、微妙に視線を外して作り笑いを浮かべながら話す私に、意外な反応を示したのです。
「嘘くさい笑顔はやめろよ、俺の前では無理に笑わなくても良いんだゼ!(※棒読み)」
……は?
まるで「してやったぜ」と言わんばかりに親指を立てた握り拳をこちらに向けられ、私は思わず自分の耳を疑いました。
『嘘くさい笑顔はやめろ』
『無理して笑わなくても良い』
そんなふうに人から言われるのは生まれて初めてです。けれどなぜ、彼は初対面の私にそんなことを?
憤りよりも強い疑問を感じ、私は改めて目の前にいる相手をじっくり観察しようとしました。
…………。
「ブフォッ!」
「え? だ、大丈夫か副会長さん!?」
.
※物語の時期はスマホ普及以前の設定となります。
<SIDE:花本伊織/副会長>
生徒会室にて。
私たちが自己紹介を終えしばらくすると、ケータイを弄り出した幸明くん。
なんでも、
「あのさー何か書く物と紙あるかな? 俺、人の名前や顔覚えるの苦手だから皆の名前メモっときたいんだけど」
とのことだったのですが。
「紙ですか? 生徒会室内には余るだけ有りますが」
「んなもの要らねーだろ今すぐ頭に叩き込め」
「いや無理、面倒臭いし疲れるから」
「ひどッ!」
「幸明くん何気にヒドっ!」
「ん? ケータイ使えば良くね? 俺のアドレスも特別に教えちゃうよ」
そう告げた会計の園明良に大きくうなずくと、真剣な眼差しでポチポチカコカコと文字を入力し始めました。
(赤外線通信を使わないのは、そのほうが名前などを覚えやすいからだそうです)
「抜け駆けズルイ!」
「僕たちのも教えたげるしー」
「チッ、さっさと俺様の名前を登録しやがれ」
その隣で騒ぎはじめる書記の志崎 かなう・かなめ先輩方や、乱暴な口調に反してなぜか嬉しそうな会長の國井俊也。
皆にせっつかれて多少煩わしそうにも見えますが、時折眉を寄せ、むう~と何かを考え込む幸明くんの表情がまた……素敵です。
ハッ!?
私は一体、何を考えているのでしょうか。
コホン。いやしかし、それにしても。
まさかあの幸明くんがこれほどの美形だったとは、本当に驚きました。
初めてお会いしたのは一昨日、学園の門の前ですがその時は昨日同様、奇抜な仮装をされていましたし。
転入生の案内は初めてですが、そもそも本来そういったことは我々生徒会の仕事ではありません。
突然、理事長の方から直々にと頼まれたのです。
……なぜでしょう。
「編入試験も満点だったし、面白そうな子だよ」
とのことでしたが、まあ確かに変わっていましたね。門の前であの姿を初めて見た時は柄にもなく爆笑しそうになりました。
もちろん、そんなはしたない真似はしませんが。
ですが幸明くんは、微妙に視線を外して作り笑いを浮かべながら話す私に、意外な反応を示したのです。
「嘘くさい笑顔はやめろよ、俺の前では無理に笑わなくても良いんだゼ!(※棒読み)」
……は?
まるで「してやったぜ」と言わんばかりに親指を立てた握り拳をこちらに向けられ、私は思わず自分の耳を疑いました。
『嘘くさい笑顔はやめろ』
『無理して笑わなくても良い』
そんなふうに人から言われるのは生まれて初めてです。けれどなぜ、彼は初対面の私にそんなことを?
憤りよりも強い疑問を感じ、私は改めて目の前にいる相手をじっくり観察しようとしました。
…………。
「ブフォッ!」
「え? だ、大丈夫か副会長さん!?」
.
63
あなたにおすすめの小説
風紀委員長様は王道転校生がお嫌い
八(八月八)
BL
※11/12 10話後半を加筆しました。
11/21 登場人物まとめを追加しました。
【第7回BL小説大賞エントリー中】
山奥にある全寮制の名門男子校鶯実学園。
この学園では、各委員会の委員長副委員長と、生徒会執行部が『役付』と呼ばれる特権を持っていた。
東海林幹春は、そんな鶯実学園の風紀委員長。
風紀委員長の名に恥じぬ様、真面目実直に、髪は七三、黒縁メガネも掛けて職務に当たっていた。
しかしある日、突如として彼の生活を脅かす転入生が現われる。
ボサボサ頭に大きなメガネ、ブカブカの制服に身を包んだ転校生は、元はシングルマザーの田舎育ち。母の再婚により理事長の親戚となり、この学園に編入してきたものの、学園の特殊な環境に慣れず、あくまでも庶民感覚で突き進もうとする。
おまけにその転校生に、生徒会執行部の面々はメロメロに!?
そんな転校生がとにかく気に入らない幹春。
何を隠そう、彼こそが、中学まで、転校生を凌ぐ超極貧ド田舎生活をしてきていたから!
※11/12に10話加筆しています。
弟がガチ勢すぎて愛が重い~魔王の座をささげられたんだけど、どうしたらいい?~
マツヲ。
BL
久しぶりに会った弟は、現魔王の長兄への謀反を企てた張本人だった。
王家を恨む弟の気持ちを知る主人公は死を覚悟するものの、なぜかその弟は王の座を捧げてきて……。
というヤンデレ弟×良識派の兄の話が読みたくて書いたものです。
この先はきっと弟にめっちゃ執着されて、おいしく食われるにちがいない。
乙女ゲームのサポートメガネキャラに転生しました
西楓
BL
乙女ゲームのサポートキャラとして転生した俺は、ヒロインと攻略対象を無事くっつけることが出来るだろうか。どうやらヒロインの様子が違うような。距離の近いヒロインに徐々に不信感を抱く攻略対象。何故か攻略対象が接近してきて…
ほのほのです。
※有難いことに別サイトでその後の話をご希望されました(嬉しい😆)ので追加いたしました。
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
【完結済み】準ヒロインに転生したビッチだけど出番終わったから好きにします。
mamaマリナ
BL
【完結済み、番外編投稿予定】
別れ話の途中で転生したこと思い出した。でも、シナリオの最後のシーンだからこれから好きにしていいよね。ビッチの本領発揮します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる