24 / 28
其の五
24
しおりを挟む
「覚えておいて。次に誰かが幸明くんを泣かすようなことがあったら、僕は決して容赦しないから」
そう言い放ち、自分よりも大きな体の幸明を軽々と姫抱きにして教室を後にする日野西。
その後を追った俺の前で、アイツはまるで大切な宝物のように幸明を見つめていた。
***
「……日野西。お前、幸明のことをどう思っているんだ。恋愛対象として好きなのか?」
「うーん、どうだろ。性格は素直だし、突拍子もないことばかりするから見ていて退屈しないよね」
「まあな。すっげー迷惑だけど」
保健室のベッドに横たわる幸明。
こうしてアホなことを一切口にせずに眠る姿は普通に美し……いや、やっぱ駄目だ。見れば見るほど腹が立ってきた。
今すぐ手加減なしに頬を抓(つね)って叩き起こしてやりてぇ。が、見守るようにベッド脇の丸椅子に座る日野西が邪魔で手を出せない。
仕方なく日野西の横に突っ立ったまま睨みつけるだけで我慢する。くそがっ。
「……ぅ」
「幸明!?」
「よしよし、大丈夫だよ幸明くん」
悪夢でも見てるのか、急に眉を寄せ悲しそうな表情を浮かべた幸明。
その頭を優しく撫でる日野西。
「大丈夫、大丈夫、僕も美周くんもそばにいるからね」と繰り返す声がまるで幼子をあやす母親のようで――目の前の光景に、その言葉に、なぜか俺は動きを止めていた。
が、やがてうなされなくなった幸明が今度は幸せそうにへらりと笑い「ぐふぐへ」と気持ち悪い寝言をつぶやき、次にまた眉間にしわを寄せ「そ、そんな馬鹿な……俺の……理想の受けが……」と悶え苦しみだしたところで、容赦なくビンタを食らわしてやった。
「ぶへぇえっ!? ぅおお、何これ待って痛いよっ俺のほっぺ痛熱いいぃ! え、周と悠布? あれ、ここは誰。俺はどこ?!」
「うるせぇさっさと起きろアホ幸明が!」
「……うん、二人は本当に仲良しさんだよね」
直後。
「騒ぐほどの元気があるならさっさと教室へ戻りなさい」
と学校医に怒られたのは俺のせいだけじゃないと思う、絶対に。
<SIDE:都木美周/おわり>
【其の五 終了】2021.8.9
そう言い放ち、自分よりも大きな体の幸明を軽々と姫抱きにして教室を後にする日野西。
その後を追った俺の前で、アイツはまるで大切な宝物のように幸明を見つめていた。
***
「……日野西。お前、幸明のことをどう思っているんだ。恋愛対象として好きなのか?」
「うーん、どうだろ。性格は素直だし、突拍子もないことばかりするから見ていて退屈しないよね」
「まあな。すっげー迷惑だけど」
保健室のベッドに横たわる幸明。
こうしてアホなことを一切口にせずに眠る姿は普通に美し……いや、やっぱ駄目だ。見れば見るほど腹が立ってきた。
今すぐ手加減なしに頬を抓(つね)って叩き起こしてやりてぇ。が、見守るようにベッド脇の丸椅子に座る日野西が邪魔で手を出せない。
仕方なく日野西の横に突っ立ったまま睨みつけるだけで我慢する。くそがっ。
「……ぅ」
「幸明!?」
「よしよし、大丈夫だよ幸明くん」
悪夢でも見てるのか、急に眉を寄せ悲しそうな表情を浮かべた幸明。
その頭を優しく撫でる日野西。
「大丈夫、大丈夫、僕も美周くんもそばにいるからね」と繰り返す声がまるで幼子をあやす母親のようで――目の前の光景に、その言葉に、なぜか俺は動きを止めていた。
が、やがてうなされなくなった幸明が今度は幸せそうにへらりと笑い「ぐふぐへ」と気持ち悪い寝言をつぶやき、次にまた眉間にしわを寄せ「そ、そんな馬鹿な……俺の……理想の受けが……」と悶え苦しみだしたところで、容赦なくビンタを食らわしてやった。
「ぶへぇえっ!? ぅおお、何これ待って痛いよっ俺のほっぺ痛熱いいぃ! え、周と悠布? あれ、ここは誰。俺はどこ?!」
「うるせぇさっさと起きろアホ幸明が!」
「……うん、二人は本当に仲良しさんだよね」
直後。
「騒ぐほどの元気があるならさっさと教室へ戻りなさい」
と学校医に怒られたのは俺のせいだけじゃないと思う、絶対に。
<SIDE:都木美周/おわり>
【其の五 終了】2021.8.9
59
あなたにおすすめの小説
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
風紀委員長様は王道転校生がお嫌い
八(八月八)
BL
※11/12 10話後半を加筆しました。
11/21 登場人物まとめを追加しました。
【第7回BL小説大賞エントリー中】
山奥にある全寮制の名門男子校鶯実学園。
この学園では、各委員会の委員長副委員長と、生徒会執行部が『役付』と呼ばれる特権を持っていた。
東海林幹春は、そんな鶯実学園の風紀委員長。
風紀委員長の名に恥じぬ様、真面目実直に、髪は七三、黒縁メガネも掛けて職務に当たっていた。
しかしある日、突如として彼の生活を脅かす転入生が現われる。
ボサボサ頭に大きなメガネ、ブカブカの制服に身を包んだ転校生は、元はシングルマザーの田舎育ち。母の再婚により理事長の親戚となり、この学園に編入してきたものの、学園の特殊な環境に慣れず、あくまでも庶民感覚で突き進もうとする。
おまけにその転校生に、生徒会執行部の面々はメロメロに!?
そんな転校生がとにかく気に入らない幹春。
何を隠そう、彼こそが、中学まで、転校生を凌ぐ超極貧ド田舎生活をしてきていたから!
※11/12に10話加筆しています。
弟がガチ勢すぎて愛が重い~魔王の座をささげられたんだけど、どうしたらいい?~
マツヲ。
BL
久しぶりに会った弟は、現魔王の長兄への謀反を企てた張本人だった。
王家を恨む弟の気持ちを知る主人公は死を覚悟するものの、なぜかその弟は王の座を捧げてきて……。
というヤンデレ弟×良識派の兄の話が読みたくて書いたものです。
この先はきっと弟にめっちゃ執着されて、おいしく食われるにちがいない。
乙女ゲームのサポートメガネキャラに転生しました
西楓
BL
乙女ゲームのサポートキャラとして転生した俺は、ヒロインと攻略対象を無事くっつけることが出来るだろうか。どうやらヒロインの様子が違うような。距離の近いヒロインに徐々に不信感を抱く攻略対象。何故か攻略対象が接近してきて…
ほのほのです。
※有難いことに別サイトでその後の話をご希望されました(嬉しい😆)ので追加いたしました。
推しにプロポーズしていたなんて、何かの間違いです
一ノ瀬麻紀
BL
引きこもりの僕、麻倉 渚(あさくら なぎさ)と、人気アイドルの弟、麻倉 潮(あさくら うしお)
同じ双子だというのに、なぜこんなにも違ってしまったのだろう。
時々ふとそんな事を考えてしまうけど、それでも僕は、理解のある家族に恵まれ充実した引きこもり生活をエンジョイしていた。
僕は極度の人見知りであがり症だ。いつからこんなふうになってしまったのか、よく覚えていない。
本音を言うなら、弟のように表舞台に立ってみたいと思うこともある。けれどそんなのは無理に決まっている。
だから、安全な自宅という城の中で、僕は今の生活をエンジョイするんだ。高望みは一切しない。
なのに、弟がある日突然変なことを言い出した。
「今度の月曜日、俺の代わりに学校へ行ってくれないか?」
ありえない頼み事だから断ろうとしたのに、弟は僕の弱みに付け込んできた。
僕の推しは俳優の、葛城 結斗(かつらぎ ゆうと)くんだ。
その結斗くんのスペシャルグッズとサイン、というエサを目の前にちらつかせたんだ。
悔しいけど、僕は推しのサインにつられて首を縦に振ってしまった。
え?葛城くんが目の前に!?
どうしよう、人生最大のピンチだ!!
✤✤
「推し」「高校生BL」をテーマに書いたお話です。
全年齢向けの作品となっています。
一度短編として完結した作品ですが、既存部分の改稿と、新規エピソードを追加しました。
✤✤
学園の俺様と、辺境地の僕
そらうみ
BL
この国の三大貴族の一つであるルーン・ホワイトが、何故か僕に構ってくる。学園生活を平穏に過ごしたいだけなのに、ルーンのせいで僕は皆の注目の的となってしまった。卒業すれば関わることもなくなるのに、ルーンは一体…何を考えているんだ?
【全12話になります。よろしくお願いします。】
当て馬系ヤンデレキャラになったら、思ったよりもツラかった件。
マツヲ。
BL
ふと気がつけば自分が知るBLゲームのなかの、当て馬系ヤンデレキャラになっていた。
いつでもポーカーフェイスのそのキャラクターを俺は嫌っていたはずなのに、その無表情の下にはこんなにも苦しい思いが隠されていたなんて……。
こういうはじまりの、ゲームのその後の世界で、手探り状態のまま徐々に受けとしての才能を開花させていく主人公のお話が読みたいな、という気持ちで書いたものです。
続編、ゆっくりとですが連載開始します。
「当て馬系ヤンデレキャラからの脱却を図ったら、スピンオフに突入していた件。」(https://www.alphapolis.co.jp/novel/239008972/578503599)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる