35歳独身男。少女漫画で恋を学んだ結果

音無響一

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恋ってなんだろう。

俺は恋に憧れている。

少女漫画のような恋に────



「君が好き……」
「僕も…僕も君が好きだ!」


「せーんぱい、だいすきっ」
「まっ、おま、こんな人が多いとこで……」


「キス、して……?」
「ダメだよ、そんなの……」




ふぅ、今日も少女漫画は面白い。
小学生の時だったかな。
俺は少女漫画に出会った。
誰かの影響だったのかもしれない。

甘酸っぱい恋をしてみたい。
小学生の時の俺は、頭が少女漫画でいっぱいだった。

少女漫画のような出会い
少女漫画のような関係
少女漫画のような恋愛

クラスの子を、読んだ少女漫画で妄想する日々を送っていた。

俺は勉強が出来た。
中学受験を親に勧められ、中学校から男子校に通った。
それが失敗だったのかもしれない。
俺の思考はさらに少女漫画で満たされていった。

大学生の時に恋をしてみたかった。
少女漫画のような出会いを期待していた。
来る日も来る日も。






「さてと、今日も仕事に行こう」


今日はオープンキャンパスの日。
俺は大学の事務員をしている。
こういう日は事務員はやることがいつもより多い。
今日の俺の役目は駅前での誘導だ。
それっぽい学生が迷わないようにな。

電車に乗り大学へと向かう。
今日も俺は妄想している。
なんてことのない日常が変化する瞬間を期待して。

35年間一度も起こったことなんてない。
でも期待するのは自由だろ。




今日も何も無かったな。
分かってはいるんだ。
自分から動こうと、変えようとしなければ何も起こらないことを。
心の中でため息を吐く。
毎日ため息を吐きながら過ごしている。

俺って何しているんだろうな。

こんな何もない日常に何かが起きてくれないのかな。
受動的な生き方しかしたことない俺は、わかっていても何もできなかった。




「川村さん、これを持って駅前に行ってください」


事前に用意されていた物を事務長から受け取った。

何かが起きないかな。
ありもしない期待を抱き、心の中でため息を吐きながら駅へと向かった。





いろんな学生がいるな。
ここの駅には大学しかないから、制服の子が駅からこの時間に出てくるのは違和感だな。
みんな迷わず行けてていいな。
俺もただ突っ立ってるだけだから、飽きて飽きて……


ん?あそこの子どうした?
明らかに焦ってるし、挙動不審だな。
こんな時が俺の役目だし、気は進まないが声をかけなくちゃか。


「どうされましたか?」
「え、あっ、えっと、その……」


ここから俺の生活が変化するなんて、誰がわかったというのだろう。
俺が求めているナニカが──
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