54 / 57
それは夜を統べるもの
最古なる者
しおりを挟む
「え~っと、つまり、どういう事?」
ミリアムが聞き返す。突然一つにして全てのものと言われても、それがどういう事なのかにわかには分からない。勿論彼女が超常の力を有している事は皆が理解している。しかし、だからと言ってそんな事を言われても、ポカンとするのが関の山だ。
「おぉ、良い感じに砕けて来た様では無いか。突然に余りにも突拍子の無い事を言われると、人間と言うものは思考がリセットされる傾向にある。これで変な緊張感など持たずに私の話も聞けるであろう。」
敢えてあのような事を言ったというウムル。だが確かに扉をくぐる前にはあった皆のウムルに対する恐怖心は薄れている、若しくは無くなっている様に感じられた。
その恐怖の根源が何かはともかく、それが無くなればコミュニケーションが円滑に行く事は確かに間違い無い様に思える。
「あまりスケールの大きい事を言うと理解が追いつかないであろうから簡潔に述べるが、この図書館にはあらゆる情報が本として存在しておる。その中にはお主等の世界の、例えばアルベール、お主の人生が記された本もあるのだよ。まぁ、それはお主に限らず、ジョンやミリアム、セリエ、お主等の人生の物語もだ。」
「私たちの人生が記された、本?」
にわかには信じがたいと言う顔で皆がウムルを見る。しかしそれも当然だろう。自分の人生が記された本があるなど、信じろと言う方が無理というもの。しかし、ウムルが冗談で言ってる様にも見えない。頭をかしげるのが精一杯と言った所だった。
「そうだ。お主等に限らず、世界のあらゆることに関してそれらはここに本と言う形で存在しておる。このアカシャ大図書館にいる者達は、その本を読む事だけをしてここにおるのだ。先に言っておくが、それを知ってどうこうしようと言う訳ではないぞ?我らは本を読むだけなのだ。」
辺りをみやればウムルと同じ姿かたちをした者達が、黙々と本を読んでいる。声を発しているのはこのテーブルに座っている者だけ。しかし彼女らは、本を読むばかりで彼らを一瞥もしない。
「しかし、この世界に関する本が一部、ある時を境に読めなくなってしまった。そして読めない本の数がみるみる内に増えていき、しまいにはこの世界に関する全ての本が黒く塗りつぶされ、閲覧できぬようになってしまったのだ。」
ウムルの目が座っている。どうやら相当に頭に来ている様である。
「通常であるならば私達には本を読む以外の思考は無い。しかしその本が読めないと言う事は本来あり得ない事なのだ。この図書館の本には全ての事が書き記されている。読めない事などありえないのだ。」
「しかし、現実にそれは起こったと?」
「そうだ、だから原因を探った。我らはあらゆる世界に接する者。全ての私と情報のやり取りをして因果を探った。そしてその結果、お主等が異界と呼ぶ世界から繋がるドリームランドにある私の門が、何者かにこじ開けられていたことが分かったのだ。」
それが何者かなど今更の事だ、黒き者共である。
「そこからはお主等も知っておろうが、あ奴等が世界を渡って無茶苦茶しおったおかげで元のこの世界の因果律が見る影もなく狂ってしまった。しかもこのままではアザトースの顕現によってこの星ごと消え失せてしまうだろう。いやはや、怒った事など無かったから知らんかったが、怒りとはこの様な感情なのだな。黒き者どもを捻りつぶさずにはいられん。」
努めて冷静な声でウムルは言うが、内心憤懣やるかたないのは皆が皆分かっていた。薄れていた恐怖心がまたぞろ鎌首をもたげてきそうだった。
「この世界だけは現在進行形で時が進んでおる。本の読み手たる我らが本を読めぬという事はそう言う事だ。故に何が起こるか分からぬ。しかし本が無ければ我らは暇で仕方がない。黒き者共にも意趣返しをしなければならん。だからこそ、お主等に味方しようというのだよ。我らの力を存分に使ってな。」
ウムルはその力を使ってアルベール達に協力すると申し出た。願っても無い事だろう。黒き者共の動向はしれず、何時どんなことをするか分からない。常に後手に回るしかないのだ。しかもどれだけこの世界でアルベール達の力が強くとも、それは結局人の内なのだ。それ以上の力を有するであろう黒き者共に対抗するには常に不安が付きまとう。
それは死への恐怖でもあるが、先ほどウムルが述べたアザトースの顕現による星の消失。アルベール達が住むこの大地の消滅に対する恐怖だ。
現状アルベール達が黒き者共に対する最前線の位置にいる。彼らがもし敗れれば、あまつさえ命を失う事があれば、天秤は黒き者共の方に大きく傾き、挽回は非情に厳しいものになるだろう。
「ウムル、君が途轍もない力を持ち、そしてその力を以て我々に味方をしてくれると言うのは大変心強い。だが・・・」
アルベールが静かに言う・
「何故我々なのだ?この世界にはともすれば、我々よりも黒き者共に対抗し得る者がいるのではないだろうか?無論我々も弱いつもりはない。しかし、世界となると、我々よりも適任が、君の力を注ぐに足る者達がいるようにも思えるのだ。」
アルベール達は強いだろう。魔術と武器を同時に扱って戦える者などこの世界にはそうそういないし、その扱う魔術だって相当のものだ。更には凄まじい力と速さを兼ね備えたジルベルタ、伝説の剣に素晴らしい盾や鎧を身に着けるジェラール。更には異界の魔法を駆使する妖精の魔術師マリオン。
この世界の全体を知る者ならば、現状では彼らが適任と知り得る。しかしアルベールらはそうではないのだ。彼らは彼らが適任である事を知らないのだから。
勿論ウムルはそれを知っている。知ってはいるが口には出さない。彼等しかいないと口に出し、余計なプレッシャーを与えたくはないからだ。
明らかにあからさまに彼らを、いや、ウムルはアルベールをひいきにしているのだ。
ウムルは何処からか本を一冊取り出し、テーブルに置いた。
「タイトルを読んでみるがいい。黒き者共が邪魔をする直前まで、私が読んでいた本だ。」
タイトルの字は彼等には覚えのない文字だった。しかしどう言う訳か、その字を彼らは読むことが出来た。タイトルにはこう書いてある。
アルベール
ミリアムが聞き返す。突然一つにして全てのものと言われても、それがどういう事なのかにわかには分からない。勿論彼女が超常の力を有している事は皆が理解している。しかし、だからと言ってそんな事を言われても、ポカンとするのが関の山だ。
「おぉ、良い感じに砕けて来た様では無いか。突然に余りにも突拍子の無い事を言われると、人間と言うものは思考がリセットされる傾向にある。これで変な緊張感など持たずに私の話も聞けるであろう。」
敢えてあのような事を言ったというウムル。だが確かに扉をくぐる前にはあった皆のウムルに対する恐怖心は薄れている、若しくは無くなっている様に感じられた。
その恐怖の根源が何かはともかく、それが無くなればコミュニケーションが円滑に行く事は確かに間違い無い様に思える。
「あまりスケールの大きい事を言うと理解が追いつかないであろうから簡潔に述べるが、この図書館にはあらゆる情報が本として存在しておる。その中にはお主等の世界の、例えばアルベール、お主の人生が記された本もあるのだよ。まぁ、それはお主に限らず、ジョンやミリアム、セリエ、お主等の人生の物語もだ。」
「私たちの人生が記された、本?」
にわかには信じがたいと言う顔で皆がウムルを見る。しかしそれも当然だろう。自分の人生が記された本があるなど、信じろと言う方が無理というもの。しかし、ウムルが冗談で言ってる様にも見えない。頭をかしげるのが精一杯と言った所だった。
「そうだ。お主等に限らず、世界のあらゆることに関してそれらはここに本と言う形で存在しておる。このアカシャ大図書館にいる者達は、その本を読む事だけをしてここにおるのだ。先に言っておくが、それを知ってどうこうしようと言う訳ではないぞ?我らは本を読むだけなのだ。」
辺りをみやればウムルと同じ姿かたちをした者達が、黙々と本を読んでいる。声を発しているのはこのテーブルに座っている者だけ。しかし彼女らは、本を読むばかりで彼らを一瞥もしない。
「しかし、この世界に関する本が一部、ある時を境に読めなくなってしまった。そして読めない本の数がみるみる内に増えていき、しまいにはこの世界に関する全ての本が黒く塗りつぶされ、閲覧できぬようになってしまったのだ。」
ウムルの目が座っている。どうやら相当に頭に来ている様である。
「通常であるならば私達には本を読む以外の思考は無い。しかしその本が読めないと言う事は本来あり得ない事なのだ。この図書館の本には全ての事が書き記されている。読めない事などありえないのだ。」
「しかし、現実にそれは起こったと?」
「そうだ、だから原因を探った。我らはあらゆる世界に接する者。全ての私と情報のやり取りをして因果を探った。そしてその結果、お主等が異界と呼ぶ世界から繋がるドリームランドにある私の門が、何者かにこじ開けられていたことが分かったのだ。」
それが何者かなど今更の事だ、黒き者共である。
「そこからはお主等も知っておろうが、あ奴等が世界を渡って無茶苦茶しおったおかげで元のこの世界の因果律が見る影もなく狂ってしまった。しかもこのままではアザトースの顕現によってこの星ごと消え失せてしまうだろう。いやはや、怒った事など無かったから知らんかったが、怒りとはこの様な感情なのだな。黒き者どもを捻りつぶさずにはいられん。」
努めて冷静な声でウムルは言うが、内心憤懣やるかたないのは皆が皆分かっていた。薄れていた恐怖心がまたぞろ鎌首をもたげてきそうだった。
「この世界だけは現在進行形で時が進んでおる。本の読み手たる我らが本を読めぬという事はそう言う事だ。故に何が起こるか分からぬ。しかし本が無ければ我らは暇で仕方がない。黒き者共にも意趣返しをしなければならん。だからこそ、お主等に味方しようというのだよ。我らの力を存分に使ってな。」
ウムルはその力を使ってアルベール達に協力すると申し出た。願っても無い事だろう。黒き者共の動向はしれず、何時どんなことをするか分からない。常に後手に回るしかないのだ。しかもどれだけこの世界でアルベール達の力が強くとも、それは結局人の内なのだ。それ以上の力を有するであろう黒き者共に対抗するには常に不安が付きまとう。
それは死への恐怖でもあるが、先ほどウムルが述べたアザトースの顕現による星の消失。アルベール達が住むこの大地の消滅に対する恐怖だ。
現状アルベール達が黒き者共に対する最前線の位置にいる。彼らがもし敗れれば、あまつさえ命を失う事があれば、天秤は黒き者共の方に大きく傾き、挽回は非情に厳しいものになるだろう。
「ウムル、君が途轍もない力を持ち、そしてその力を以て我々に味方をしてくれると言うのは大変心強い。だが・・・」
アルベールが静かに言う・
「何故我々なのだ?この世界にはともすれば、我々よりも黒き者共に対抗し得る者がいるのではないだろうか?無論我々も弱いつもりはない。しかし、世界となると、我々よりも適任が、君の力を注ぐに足る者達がいるようにも思えるのだ。」
アルベール達は強いだろう。魔術と武器を同時に扱って戦える者などこの世界にはそうそういないし、その扱う魔術だって相当のものだ。更には凄まじい力と速さを兼ね備えたジルベルタ、伝説の剣に素晴らしい盾や鎧を身に着けるジェラール。更には異界の魔法を駆使する妖精の魔術師マリオン。
この世界の全体を知る者ならば、現状では彼らが適任と知り得る。しかしアルベールらはそうではないのだ。彼らは彼らが適任である事を知らないのだから。
勿論ウムルはそれを知っている。知ってはいるが口には出さない。彼等しかいないと口に出し、余計なプレッシャーを与えたくはないからだ。
明らかにあからさまに彼らを、いや、ウムルはアルベールをひいきにしているのだ。
ウムルは何処からか本を一冊取り出し、テーブルに置いた。
「タイトルを読んでみるがいい。黒き者共が邪魔をする直前まで、私が読んでいた本だ。」
タイトルの字は彼等には覚えのない文字だった。しかしどう言う訳か、その字を彼らは読むことが出来た。タイトルにはこう書いてある。
アルベール
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
『異世界に転移した限界OL、なぜか周囲が勝手に盛り上がってます』
宵森みなと
ファンタジー
ブラック気味な職場で“お局扱い”に耐えながら働いていた29歳のOL、芹澤まどか。ある日、仕事帰りに道を歩いていると突然霧に包まれ、気がつけば鬱蒼とした森の中——。そこはまさかの異世界!?日本に戻るつもりは一切なし。心機一転、静かに生きていくはずだったのに、なぜか事件とトラブルが次々舞い込む!?
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる