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本人無自覚の出会い編〈7歳~12歳〉
最低悪役令嬢に転生しまして・・・
しおりを挟む皆さんに1つ問おう。
あなたが何かの原因で死んでしまい、目が覚めたら転生していて、その先が前世でプレイしていた乙女ゲームの世界で、処刑まっしぐらの最低悪役令嬢になっていたなんてことを信じられるだろうか。
・・・・なに、やけに具体的だって?
それもそのはず、だって・・・
これが今の私だからよ!!
前世の私は20代OL。ブラック企業に働きづめで、ある日ついに過労死。次に目を開けたら赤ちゃん状態で、どこぞのラノベかと思ったわ。
転生先は乙女ゲーム「Love・Labyrinth~身分違いの恋~」略して、「ラブ・ラビ」だ。
平民の主人公と攻略対象5人が恋をしていくのだけれど、5人は王子だとか公爵家とかの国でも最高峰の身分で、タイトルにあるように身分違いの恋なんだな。うん。
そして主人公が誰かと結ばれるのにあたって、重要な役割を果たす“最低悪役令嬢”ロゼット・カーライン侯爵令嬢、つまり私だ。
誰のルートになっても必ず出てきて、主人公にとんでもない犯罪まがいの嫌がらせをしてくる。
例えば、人を食べる魔物が出る森に置き去りにしたり、船の上から大海に突き落としたり、刃物で切りかかってきたりその他諸々・・・。
いやこれ犯罪まがいじゃなくて完全に犯罪だよね?嫌がらせの域を超えちゃってる。
魔王もびっくりの黒さというか、性格の悪さだと思うよ?ホントに。
とにかくこのロゼットからの嫌がらせ?に耐え、最後に国を救うイベントをクリアすると、みんなに認められて晴れて2人は結ばれハッピーエンド!のかなり王道のシンデレラストーリーだ。
なおハッピーエンドの場合、ロゼットは主人公にしてきた罪が露見して、処刑。斬首となる。
・・・・はぁ?ふざけんなっ!!
前世も人生途中退場だったのに、過労死の次は処刑!?
私は、たっくさーんの友達に囲まれてキャッキャウフフの青春をしたいの~っ!
確かゲームでのロゼットは、最後一緒に嫌がらせをしていた取り巻きに裏切られ、ついでにしていない罪までなすり付けられて終わる。
・・・なにが?
人生が。
理由は簡単。彼女は侯爵家という家柄以外がすべて最低で底辺だったからだ。
性格が終わっているどころか、幼い頃から我が儘放題で周りを見下していたため、人望は0ゼロどころかメーターを突き破ってマイナス。
令嬢なら必ずできなくてはならないダンスやマナーの練習も「どうして私わたくしがそんなものを?」という悪役っ気満載な発言で周りが勧められず、年頃の娘になっても基礎すらできないほど。
また、主人公への嫌がらせには恐ろしいくらいの力の入れようで、勉強なんてそっちのけ。
魔力をもっている人間は全人口の10分の1ほどなのだが、ロゼットは魔力を持っている人間だった。
そして、人並み以上の魔力量を持っていたにもかかわらず、頭から努力の2文字が抹消されていたため、碌ろくに魔法を使えず、勉強と同じく底辺。
・・・・あれ?でもこれってロゼットが努力していないだけだよね。
勉強は前世の記憶があるからどうにかなるし、魔力は人より多いんだから制御を練習すればいい。
もしかして、なんとかなるんじゃあ・・・?
このポイントに気がついた私は本っ当に天才だと思う。だって処刑されずにすむかもしれないのだ。
嬉しさのあまり発狂しそうになったが、赤ちゃんじゃあ「あぅぅ~~」とかしか言えないし、私に甘々なメイドたちが私が寝かされているベビーベッドにとんできそうだから、やめておいた。
それに赤ちゃんが泣くんじゃなく、いきなり発狂したら色々カオス過ぎる。メイドにビビられるわ。
結局ゴロゴロして喜びを表したが、落ちそうになってメイドさんたちを慌てさせてしまった。申し訳ない。
そして後日、メイドさんの腕に抱かれて揺られながら、私はこう考えた。
ゲームの舞台である魔法学園に行かなければいいじゃないか!と。だがこの国には、魔力を持つ者は平民貴族問わずいかなければならないという法・・・というか、暗黙のルールがある。
特に身分の高い貴族ほど行くことが強要される。そして我が家は侯爵家こうしゃくけ。家の体面を保つため、両親は私を必ず入れようとするだろう。
なら、侯爵令嬢じゃなくなればいい。
この世界は、平民・貴族・王族という身分があり、上の者には従わなければならない。
だが、“冒険者”という人々は、身分制度から解放されている。王は命令ができるが、その王を除いて何人たりとも冒険者に命令したりすることはできない。
そして基本的に、義務も発生しない。
そう。だから私は・・・
冒険者になる!!!
しかしこの“侯爵令嬢”という肩書きがあっては、それは叶わない。
1番良いのは、家系図から抹消してもらい、お家から追放してもらう方が今後の処刑フラグが立たなくっていい。
だが、余程のことをしない限りそんな事にはならないだろうし、家系図から消されるような重大なことをする気にはとてもなれない。
もしかしたら、うっかり処刑!なんてことになるかもしれないから、それはごめんだ。
だから私は、
誘拐されることにしましたーーーー。
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