わたくし、聖女様ではございませんっ!〜最低悪役令嬢ですので、勘違いはやめてください〜

Rimia

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本人無自覚の出会い編〈7歳~12歳〉

その光は悪役な聖女だった

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(ロゼット目線)




グゥオオォォォォォォッッッ!!


 ブラッドベアの咆哮。その声を目印に飛んでいくと眼下には魔法で感知したとおり4人の人がいた。
うち2人が戦っており、後の2人はその後方の木の下に避難していた。

 そして私がその場の真上に到着したとき、ちょうどブラッドベアがそれはそれは見事に2人の剣士を吹っ飛ばしたところだった。
 前世のバラエティー番組だったら、編集技術でヒュ―――ンというような効果音でもつきそうだ。

 そして剣士邪魔者がいなくなったところで、後方の2人にノシノシと詰め寄ってゆく。トドメを刺そうと、爪を振り下ろそうとしたその瞬間、ギリギリ私の方が発動し、強風と共にヤツを遠くに飛ばし傷を負わせた。


 (あっぶなああぁぁぁっっ・・・・・・!!今の一撃ってやつだったよね!?文字通りに気満々だったよぉ~~!目の前で顔面トマトピューレ事件だなんて、笑えないからホントに勘弁してよね・・・!!トマト系の赤いモノ食べれなくなるとこだった・・・。)


 さっき私がとっさに発動させたのは風の攻撃魔法。呪文を唱えることができないくらいギリギリだったから、とっさに無詠唱に切り替えてイメージに頼ったんだけど・・・これも日ごろの練習の成果だね!ありがとう!リフィー先生!!
・・・と言うのは置いといて。ひとまずブラッドベアを追っ払わなきゃ。

 私はそのままゆっくりと下降していき、地面へと降り立った。

 はっ!そうだ!今こそ台詞セリフを言うとき!!いざっ!

 「私が来るまでよく耐えましたね」


 キィィィマッタアァァァァァァァッッッッ~~~~!!!


 あれだよね、こういう人生で1回は言ってみたい言葉に限って、言う機会が皆無だよね!
 前世から言ってみたかったのに人生途中退場させられるし、気がついたら乙女ゲームの悪役令嬢になってて、処刑回避するためにこんな森の奥で生活することになってるし・・・。

 クソッッッ!!神がいたらとりあえずブン殴る!!

 この台詞セリフを言えたことで、悪役に転生した事を思い出して神への恨みが再燃&ハイになっている私は、誰かが逃げろ的な事を言っているのに気がつかずニヤついていた。
 絶対に他の人から見たらただニヤついている不審者だよなぁと思いつつも、攻撃を開始することにした。

負傷者の治療は敵をお料理ころしたあとにゆっくりとねっ☆
ん?八つ当たり?なにそれ おいしいの??とにかく我が恨みを食らうがいいブラッドベア!!

 「【龍の巣】」

 私が魔法を発動した瞬間、強い風とともに竜巻が現れて、ブラッドベ・・・もうクマでいいや。名前のベアってところとか、もろクマだし。肉も美味しいし味もクマだからいいよね。
 熊じゃなくって。クマなのがポイント!ここ、テストに出ますよ~。覚えておきましょうね~。

 あっ、そうだ。ついでに解体しておこっと。

 私は竜巻の中の魔力を操り、クマを解体していく。

 ・・・よし、できた。後はアイテムボックスに収納しとこ。クマ鍋の材料、ゲットだぜ!

 ちなみにこの“アイテムボックス”。以前リフィーにこういう収納系の魔法はないのかと聞いてみたら、あるというので教えてもらった。なんか古代の魔法とかなんとか言ってたけど正直言ってよくわからん。
 私的にはヒャッハー!異世界テンプレのアイテムボックスきたーーー!!って感じだったからよく聞いてなかったわ。

 おっと、そんな場合じゃなかった。クマも倒したため魔法を消して、唯一無傷そうな人に駆け寄って安否を尋ね――――――――。

 うわぉ。

 あまりの美しさに一瞬息が止まった。サラサラな金髪に、聡明さが感じられる深い青。まさに金髪碧眼の王子様、といった感じだ。全てが完璧に作られており、非の打ち所が一つもない。
 年は私より少し上くらいだろうか。だけどこの顔、どこかで見たような気が・・・?

 って、それどころじゃなかった。
 私はその金髪イケメンに怪我人がいないか聞いた。するとどうやらクマにやられた人がいて、重傷らしい。急いで重傷者のところへ行き背中の傷を見たところ、クマの爪にザックリと裂かれており出血もひどい。

 こんな重傷者がいるんならクマ鍋~とか言ってないで早く手当てすればよかった・・・っ!といっても治癒魔法なんてリフィーに習ってないし、どうしようっ!!あ~~~っっもうどうにでもなれっ!!

 「【ルポ安らぎのソレイユ陽光】」

 手に魔力を込めて傷口にかざす。すると、傷口が柔らかい白い光に包まれた。どうやら発動は成功したようだ。

 治れ治れ治れ治れ、治れ~~いッッ!っと、おし。完了だ!・・・多分。
とりあえずの応急処置としてならこれでもいいよね。

 一応、応急処置は完了したと私は心配している金髪イケメンに告げ、血のにおいでほかの魔物が来るのを避けるために我が家洞窟にお呼びした。あそこなら負傷している人の看病もできるからだ。

 ん?なに、遠すぎるって?安心してくれたまえ。実は私、この森の至る所に私専用の居住スペース、つまり別荘のようなものを作っておいたのですっ!
 そのうちの一つが近いから、そこに運ぼうと思っているわけ。

 魔法で作った家具もそろってるし、魔物よけの結界を何重にも張っているから安心安全!おまけに新鮮な果物がなる木があって食べ物には困らない!快適な物件だよ~~!さぁさぁ買うなら今だよ~!
 ・・・ごめんなさい。ふざけました。


 それにしてもこの患者、どうやって運ぼっかなぁ~。


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